【R18】【挿絵多い】ラバーマスクガール

まへまへ

文字の大きさ
22 / 58

第22話 美容整形

しおりを挟む
夏の光が差し込む大学の夏休み。

順子は深く息を吸い込み、今日が自分にとって大きな一歩だと実感していた。

「……ついに、この日が来たんだ」

ラバーマスクも、ハルカのラバー姿も、今はひとまず脇に置く。

今日の主役は、順子としての自分――顔の火傷の跡を整え、新しい自分に生まれ変わることだ。

オーナーが手配したクリニックに到着する。

白く清潔な空間に、緊張で心臓が高鳴る。

医師や看護師が手際よく準備を進める中、順子は手術台の前に座った。

「緊張していますか?」

優しい看護師の声に、順子はかすかに頷く。

オーナーはクリニックの外で待っているが、心配そうに順子の姿を思い浮かべている。

「大丈夫、順子ならきっと乗り越えられる」

オーナーの励ましが、順子の胸に静かな勇気を与える。

医師が手術の準備を説明し、順子は目を閉じる。
(これで……変われるんだ……)

局所麻酔が効き始め、顔に手が触れる感覚が徐々に鈍くなる。

不安と期待が入り混じった感情の中、順子は深く息をつき、心の中で小さく誓った。

「……新しい自分として、前に進む」

手術室に静寂が訪れ、いよいよ順子の人生を変える瞬間――手術が始まった。



ーーーーーー



手術から一カ月。

顔にはぐるぐるに巻かれた包帯も、ようやく外す日がやってきた。

順子は震える手で、鏡の前に立つ。
(……これが、私の新しい顔……)

包帯をゆっくりほどき、少しずつ現れる肌――まだ赤みはあるものの、火傷の跡はきれいに整えられていた。

目元、頬、口元……すべてが、今までの自分とは違う。

順子は声を上げられず、ただ涙が頬を伝う。
(私……本当に変われたんだ……)

胸の奥に、抑えてきた不安やコンプレックスが一気に解放されるような感覚。

過去の自分、火傷の跡に怯えていた日々、ラバーマスクに隠れていた日々――すべてが溶けていく。

鏡の前で小さく笑う。

「……ありがとう、オーナー……そして私、よく頑張った」

涙と共に、順子は新しい自分を静かに抱きしめるように、顔を包み込んだ。

これからは、順子として、ハルカとして、そしてラバーマスクガールとして生きる未来が、静かに広がっていく――。

鏡の前で、順子は深く息を吸った。

手術で火傷の跡は消え、新しい顔がそこにあった。

だが、順子の胸の内には、まだ「変わりたい」という強い欲求が残っていた。
(顔だけじゃ足りない……全部変わろう)

決意を胸に、順子はヘアカラーの予約を入れた。

長い黒髪を大胆に金髪に染め、外見からも新しい自分を作り上げるつもりだ。

「私、もう逃げない」

ラバーマスクガールやハルカとしての自分も含め、すべての自分を統合する――

そのために、順子は自分を徹底的に変えることを選んだ。

鏡に映る自分の顔を見つめながら、指先で顎に触れる。

金髪に変わった自分の姿を想像すると、胸が高鳴る。
(新しい私……やっと、スタートラインに立てたんだ)

決意の熱を胸に、順子は美容院を出た。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

継承される情熱 還暦蜜の符合

MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。 しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。 母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。 同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

処理中です...