【R18】【挿絵多い】ラバーマスクガール

まへまへ

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第23話 帰省

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長い夏休みが終わりに近づいたある日。

順子は故郷へと向かうバスに揺られていた。

窓の外に流れる景色は、見慣れた田畑や小さな町並み。

けれど、頬に残る手術跡はもうなく、金髪の彼女は、もう以前の順子とは違っていた。

親には「帰省する」とだけ伝えてある。

整形手術のことはもちろん言っていない。

だから――宿は理恵を頼るしかなかった。

寮に着く前、順子はスマホを手に取り、深呼吸して発信ボタンを押した。

「……理恵? 久しぶり」

電話の向こうで一瞬の沈黙の後、弾けるような声が返ってくる。

「順子!? 本当に久しぶりじゃん! どうしたの?」

順子は迷った末に、はっきりと告げた。

「……実はね、整形手術を受けたの」

受話口の向こうで理恵が息を呑むのが伝わる。

「……え、マジで? 整形って……顔?」

「うん。ずっと気になってた火傷の跡、なくしたの。夏休みを全部使って」

少し照れくさそうに笑いながら話す順子の声は、以前よりもずっと明るい。

理恵はしばらく黙っていたが、次の瞬間、柔らかい笑い声が響いた。

「……そっか。順子、変わったんだね。でも……なんか嬉しい」

「え?」

「声だけで分かるよ。明るくなった。前よりずっと元気そう」

順子は胸の奥が熱くなるのを感じた。

「……理恵、今夜泊めてもらえないかな?」

「もちろん! 断るわけないでしょ。直接会って……新しい順子をちゃんと見たいから」

電話が切れたあとも、順子はスマホを胸に抱え、静かに微笑んだ。

長い夏休みを終えて、新しい自分として歩み出す第一歩は――理恵の前に立つことだった。

ーーーーーー

駅前のロータリー。

夕方の空は茜色に染まり、少し肌寒い風が吹き抜ける。

順子はキャリーケースを横に置き、人の波に紛れながら理恵を探していた。

「……順子?」

振り返った瞬間、そこに立っていたのは変わらない笑顔の理恵。

大学時代からよく見ていた親しげなその笑みが、今はどこか懐かしく胸に刺さる。

「理恵……!」

順子が手を振ると、理恵は駆け寄ってきて、目の前で立ち止まった。

その瞳が一瞬、大きく揺れる。

「……ほんとに……順子?」

驚きと戸惑いと、少しの感動が入り混じった声。

金髪にイメチェンし、頬の火傷跡が完全に消えた順子は、確かに別人のように見えた。

順子は少し不安そうに微笑む。

「……変わったでしょ?」

理恵は何度も瞬きをし、次の瞬間、破顔した。

「変わった! めちゃくちゃ綺麗になった! ……でも、やっぱり順子だ」

そう言って理恵はためらわず順子を抱きしめる。

「すごいよ。勇気出したんだね……」

順子は胸が熱くなり、堪えきれず小さく笑った。

「ありがと、理恵。……こうして会ってくれて」

二人の間に、懐かしさと新しさが入り混じる不思議な空気が流れていた。

ーーーーーーーー

理恵の部屋。

夕食を一緒に作って食べ、片付けも終わったあと。

畳に腰を下ろして、二人はお茶を飲みながらゆったりとした時間を過ごしていた。

「ねえ、順子」

ふいに理恵が口を開く。

「悟のこと、どう思ってる?」

順子は驚いてコップを置く。

「……どう、って……。昔は好きだったけど……」

理恵は順子をまっすぐ見つめ、真剣な口調で続ける。

「悟はね、今でも順子のこと、引きずってるよ。私、あの人の目を見ればわかる」

「……そんな……」

順子は思わず首を振る。

「理恵……本気で言ってるの? だいぶ前の話なのに」

理恵は少し笑って、でもその瞳は真剣だった。

「本気。順子が思ってる以上に、悟は順子のことを大事にしてる。忘れられないんだよ」

順子は心臓が大きく跳ねるのを感じた。

信じられない、そう思いながらも、理恵の言葉は胸の奥を強く揺さぶってくる。

熱いものが込み上げ、順子は視線を落とした。

そんな順子を見て、理恵はふっと柔らかく笑う。

「ね、明日のお昼、悟のお店に行こうよ。今の順子なら、堂々と会えるんじゃない?」

「……えっ……」

順子の胸が急に熱くなった。

嬉しさなのか、不安なのか、自分でもわからない。

ただ確かなのは――明日が待ち遠しいという気持ちだった。

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