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第31話 悟からの手紙
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それから2ヶ月後。
順子は二つの顔を持ちながらも自分を受け入れて前向きになっていた。
順子は大学から寮に戻ると、エントランスで管理人に呼び止められる。
「順子さん荷物が届いていますよ。」
順子はエントランスで管理人から手渡された小さな箱を抱え、自然と頬が緩む。
「要冷蔵で、こちらは悟さんからです」
思わず小さく声を上げ、箱をそっと抱えて寮の自室へ向かう。
部屋に戻ると、手を滑らせないように注意しながら箱を机の上に置いた。
蓋を開けると、そこには整然と並べられた東北幕内弁当が顔を出す。
光沢のあるパッケージは、まるで贈り物のように美しく、順子は思わず微笑む。
(ネット販売用が、ついに完成したんだ……)
箱の奥に、薄い封筒が挟まれていることに気づく。
順子はそっと取り出し、手に取る。
封筒の質感に、丁寧に書かれた文字が浮かび上がる。
心臓が少し高鳴り、胸が温かくなる。
この弁当も、手紙も――すべて、悟が順子のために用意してくれたのだと気づき、順子の唇が自然と緩む。
順子は封筒をゆっくりと開き、中に入っていた手紙を取り出す。
淡いクリーム色の紙に、見慣れた文字が並んでいる。
ーーーー手紙の文ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この前の別れ際に渡した弁当がついに完成しました。一番に順子に食べてほしい。
それから、あのときは冗談で流してしまったけど、整形の費用は大変だったと思います。
きっとまともな食事も取らないでアルバイトしてるんじゃないかと心配してます。
この弁当は、そんな順子に食べてもらいたくて、栄養素をバランスよく使ってます。
はやく順子に会いたいよー。
悟
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
順子は読み終えると、胸の奥がじんわりと温かくなる。
(悟……私のこと、ずっと考えてくれてたんだ……)
包まれるような優しさと、細やかな気遣い。
弁当も手紙も、すべて悟の気持ちが詰まっていることを感じ、順子の目から自然と涙が溢れた。
唇をかみしめながら、順子はそっと呟く。
「ありがとう、悟……」
順子は手紙を胸に抱き、深く息を吸った。
悟の優しさが、そのまま自分の心に流れ込んでくるようで、胸の奥が熱くなる。
(悟……あなたに、もう隠しごとはしたくない……)
頭に浮かぶのは、夜の倶楽部での自分の姿。
ラバーに身を包み、別の名前で、別の顔で立つ自分。
悟が知らないもう一つの世界。
(嫌われるかもしれない……軽蔑されるかもしれない……でも、それでも……知ってもらいたい。私の全部を)
順子は拳をぎゅっと握りしめ、胸の奥に決意を固めた。
目に涙がにじむが、同時に心は澄み切っていた。
――もう、隠さない。
自分の全てを悟に伝える。
順子は、手紙を胸に抱きしめたまま、ゆっくりとスマホを見つめた。
画面の中には、これまで“ラバーマスクガール”として積み重ねてきた配信のアカウントが並んでいる。
何度も削除しようとしては、できずに残してきたもの。
悟の笑顔が頭に浮かぶ。
(……もう、逃げない)
心臓が早鐘のように鳴る。
怖い。嫌われるかもしれない。
けれど、このままでは、悟に対してずっと嘘を抱えたまま生きていくことになる。
それだけは絶対に嫌だった。
(悟……私のすべてを知ってほしい)
順子は震える指先で“ライブ配信”の準備画面を開く。
「ラバーマスクガール」としてではなく、順子として。
ラバー姿の自分を、悟に見せるために。
SNSを通して、悟に自分の正体を明かす、その決意を胸に刻む。
スマホの画面に、自分の決意が映り込む。
順子は深く息を吸い込んだ。
――これが、本当の私。
悟に伝えるために、私が選んだ道。
順子は二つの顔を持ちながらも自分を受け入れて前向きになっていた。
順子は大学から寮に戻ると、エントランスで管理人に呼び止められる。
「順子さん荷物が届いていますよ。」
順子はエントランスで管理人から手渡された小さな箱を抱え、自然と頬が緩む。
「要冷蔵で、こちらは悟さんからです」
思わず小さく声を上げ、箱をそっと抱えて寮の自室へ向かう。
部屋に戻ると、手を滑らせないように注意しながら箱を机の上に置いた。
蓋を開けると、そこには整然と並べられた東北幕内弁当が顔を出す。
光沢のあるパッケージは、まるで贈り物のように美しく、順子は思わず微笑む。
(ネット販売用が、ついに完成したんだ……)
箱の奥に、薄い封筒が挟まれていることに気づく。
順子はそっと取り出し、手に取る。
封筒の質感に、丁寧に書かれた文字が浮かび上がる。
心臓が少し高鳴り、胸が温かくなる。
この弁当も、手紙も――すべて、悟が順子のために用意してくれたのだと気づき、順子の唇が自然と緩む。
順子は封筒をゆっくりと開き、中に入っていた手紙を取り出す。
淡いクリーム色の紙に、見慣れた文字が並んでいる。
ーーーー手紙の文ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この前の別れ際に渡した弁当がついに完成しました。一番に順子に食べてほしい。
それから、あのときは冗談で流してしまったけど、整形の費用は大変だったと思います。
きっとまともな食事も取らないでアルバイトしてるんじゃないかと心配してます。
この弁当は、そんな順子に食べてもらいたくて、栄養素をバランスよく使ってます。
はやく順子に会いたいよー。
悟
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
順子は読み終えると、胸の奥がじんわりと温かくなる。
(悟……私のこと、ずっと考えてくれてたんだ……)
包まれるような優しさと、細やかな気遣い。
弁当も手紙も、すべて悟の気持ちが詰まっていることを感じ、順子の目から自然と涙が溢れた。
唇をかみしめながら、順子はそっと呟く。
「ありがとう、悟……」
順子は手紙を胸に抱き、深く息を吸った。
悟の優しさが、そのまま自分の心に流れ込んでくるようで、胸の奥が熱くなる。
(悟……あなたに、もう隠しごとはしたくない……)
頭に浮かぶのは、夜の倶楽部での自分の姿。
ラバーに身を包み、別の名前で、別の顔で立つ自分。
悟が知らないもう一つの世界。
(嫌われるかもしれない……軽蔑されるかもしれない……でも、それでも……知ってもらいたい。私の全部を)
順子は拳をぎゅっと握りしめ、胸の奥に決意を固めた。
目に涙がにじむが、同時に心は澄み切っていた。
――もう、隠さない。
自分の全てを悟に伝える。
順子は、手紙を胸に抱きしめたまま、ゆっくりとスマホを見つめた。
画面の中には、これまで“ラバーマスクガール”として積み重ねてきた配信のアカウントが並んでいる。
何度も削除しようとしては、できずに残してきたもの。
悟の笑顔が頭に浮かぶ。
(……もう、逃げない)
心臓が早鐘のように鳴る。
怖い。嫌われるかもしれない。
けれど、このままでは、悟に対してずっと嘘を抱えたまま生きていくことになる。
それだけは絶対に嫌だった。
(悟……私のすべてを知ってほしい)
順子は震える指先で“ライブ配信”の準備画面を開く。
「ラバーマスクガール」としてではなく、順子として。
ラバー姿の自分を、悟に見せるために。
SNSを通して、悟に自分の正体を明かす、その決意を胸に刻む。
スマホの画面に、自分の決意が映り込む。
順子は深く息を吸い込んだ。
――これが、本当の私。
悟に伝えるために、私が選んだ道。
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