【R18】【挿絵多い】ラバーマスクガール

まへまへ

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第30話 私の居場所

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フロアに一歩踏み出した瞬間、ハルカの全身を包むラバーが視線を集める。

ヒールの高い音がフロアに響き、客席のざわめきが徐々に高まっていく。

「ハルカ、行ける?」

アキの小さな声が背後から聞こえる。

ハルカは深呼吸を一つ。

心の奥でまだ、悟に知られたらどうしようという不安がよぎる。

けれど、それ以上に――自分がラバーとして輝く瞬間を待ち望んでいた気持ちが強くなる。

フロア中央に立つと、視線が自分に集中する。

胸の高鳴りとともに、ラバーの圧迫感が全身を包み、身体が自然に動き出す。

ドリンクを運ぶだけの単純な動作も、いつの間にか舞台のパフォーマンスのようになっていた。

客席からは小さな歓声や拍手が飛び、ハルカの胸をさらに高鳴らせる。

「ああ……やっぱり、これが私の居場所……」

アキはハルカの横でサポートしつつ、安心そうに微笑む。

「うん、すごいわ。あなたなら大丈夫」

ハルカは次第に自信を取り戻す。

フロアを歩く一歩一歩が、自分自身の力強さを実感させる。

かつての恥ずかしさや罪悪感は少しずつ溶け、代わりに自由と高揚感が満ちていく。

配膳をこなしながらも、視線を感じると自然に目線を返し、軽く会釈をする。

客たちの反応に応えるたび、ハルカの心は解放されていった。

最後の一杯を運び終え、フロアの端に立った瞬間、ハルカは自分を取り戻したことを実感する。

「私……やっぱり、この姿も、私なんだ」

控え室に戻るとアキがそっと肩に手を置く。

「今日はよくやったわね」

ハルカは満面の笑みを返し、初めて胸の奥まで晴れやかな気持ちを味わった。

控え室の鏡に映る自分の姿を見つめ、ハルカは深く息を吐いた。

ラバーの光沢に包まれた自分は、確かに誰も見たことのない私――

でも、胸の奥には順子としての私も確かに存在する。
(悟……私がこういう姿を見せても、嫌いにならないかな……)

頭の中に悟の顔が浮かぶ。

あの笑顔、あの優しい声。

ラバーマスク姿の自分を悟に見られたら、どう思うだろう。

罪悪感と羞恥心が胸に押し寄せる。

けれど同時に、今日のフロアで感じた高揚感も消せない。

ラバー姿の自分は、私に自由と強さをくれる。

それに、悟に隠すために嘘をつくのではなく、私自身の一部として大事にしていきたい――そう思う。

「順子としての自分」と「ハルカとしての自分」、二つの顔を持つことに、まだ戸惑いはある。

でも少しずつ、それを受け入れられる自分もいることに気づいた。
(悟には、まだ見せられない。でも、いつか……)

心の中で小さく決意する。

ラバーとしての自分も、順子としての自分も、どちらも私の大切な一部。

そしてその両方を抱えながら、悟と向き合う日が来る――そう信じていた。

控え室を後にして、ハルカは再びフロアに戻る。

視線の先にあるのは、知らない人々の好奇心と期待――

でも、その中で、自分の本当の気持ちを大切に抱えながら動く自分を感じていた。

自由と高揚、羞恥と愛情が入り混じる心地よい緊張感――

それが、これからの私の歩む道を静かに照らしていた。
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