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第38話 ホテルの朝
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次の朝。
淡い光がカーテンの隙間から差し込んで、白いシーツをやわらかく照らしていた。
順子はまぶしさに目を細めながら、ゆっくりとまぶたを開く。
視線を横に向けると、すぐ隣で悟が穏やかな寝息を立てていた。
――あぁ……夢じゃなかったんだ。
昨夜の出来事が、静かな現実として胸の奥にじんわりと広がる。
悟の肩越しに見える、乱れたシーツ。
握ったまま眠っていた手。
すべてが、優しくも確かな「朝」を告げていた。
枕元の時計を見ると、まだ八時前。
「もう少しこのままでいたい……」
そんな思いが一瞬、心をかすめたが、すぐに小さく頭を振る。
――ダメ。今日は日曜日。夕方には悟が帰っちゃう。
順子はそっとベッドを抜け出し、悟を起こさないようにバスルームへ向かった。
冷たい水で顔を洗う。鏡に映った自分の頬は、ほんのりと紅潮している。
少しでも綺麗でいたい。
少しでも長く、悟と一緒に笑っていたい。
タオルで顔を拭きながら、順子は微笑んだ。
「……よし」
白いワンピースを手に取り、今日という一日を胸いっぱいに迎えようとしていた。
ーーーーーー
順子は髪を整え、軽くメイクを直してから、ベッドのそばにしゃがみ込んだ。
まだ眠そうにうつ伏せになっている悟の肩を、そっと揺らす。
「……悟。朝だよ、起きて」
悟が目をゆっくりと開けた瞬間、ぼんやりとした視界に白い光が差し込む。
そこには、白いワンピースに身を包んだ順子の姿があった。
肩のラインが柔らかく見える清楚なデザイン。
ベッド脇で微笑む彼女の姿に、悟の眠気は一瞬で吹き飛んだ。
「……え、順子……? すげぇ……」
悟は思わず上体を起こし、目を丸くした。
彼女の頬が、ほんのりと朝の光に染まっている。
「どうかな? どうかな?」
順子が、くるりとその場で一回転してみせる。
ふわりと裾が舞い上がり、光沢を帯びた髪が肩に落ちた。
悟は、目を細めてニヤニヤと笑う。
「綺麗だよ。……ほんとに、すごく」
順子は、照れくさそうに目をそらしながら、唇の端を上げた。
「なんか……昨日のラバー姿より恥ずかしいかも」
悟は笑いをこらえきれず、ベッドの上で軽く頭をかく。
「いや、それはずるいだろ。昨日は“非日常”だったけど……今日は完全に“恋人”だもん」
順子の頬が、ふわりと赤く染まった。
彼女は、朝の光の中で、静かに微笑む。
――こんな風に見つめ合える朝が来るなんて。
それだけで、胸の奥がじんわりと満たされていくのだった。
ホテルを出ると、朝の東京の街はすでに人で賑わっていた。
ビルの谷間をすり抜ける風が、順子の白いワンピースの裾をふわりと揺らす。
悟はキャリーケースを引きながら、見上げるように高層ビルを見渡した。
「うわぁ……やっぱ東京ってすげぇな。ビルが空まで続いてるみたいだ」
「ふふ、そんなにキョロキョロしてると、田舎から出てきた人みたいだよ」
順子は笑いながら、そっと悟の横に並ぶ。
「だって実際そうだもん。新幹線で来たときから、ずっと胸がソワソワしてる」
悟は照れくさそうに頭をかく。
二人は駅前のコインロッカーに着き、キャリーケースを預ける。
荷物を入れ終えると、悟は小さく息をついた。
「よし、これで身軽だ。どこ行く? 順子のおすすめの場所、行ってみたいな」
順子は少し考えたあと、ふわりと笑って悟の手を取った。
冷たい指先が一瞬触れたかと思うと、悟の手の中に柔らかい温もりが滑り込む。
「……ん?」
悟が驚いて順子を見る。二人は手を繋ぐ。
順子は視線を前に向けたまま、小さな声で言った。
「東京、すごい人が多いから……はぐれないように、ね」
悟は頬を赤らめながら、少し力を込めてその手を握り返す。
「うん。離さない」
二人の影が、朝の日差しの中で長く並んで伸びていく。
交差点を渡るとき、悟が少し照れたように言った。
「なんかさ、順子とこうして歩いてるだけで、夢みたいだな。昨日のことも、ここにいるのも……全部」
順子は笑って悟の腕を軽く引いた。
「夢でもいいよ。……だって、今は現実よりずっと幸せだから」
悟はその言葉に何も返せず、ただ優しく順子の手を握り直した。
ビルのガラスに映る二人の姿は、都会のざわめきの中で、どこまでも穏やかに寄り添っていた。
淡い光がカーテンの隙間から差し込んで、白いシーツをやわらかく照らしていた。
順子はまぶしさに目を細めながら、ゆっくりとまぶたを開く。
視線を横に向けると、すぐ隣で悟が穏やかな寝息を立てていた。
――あぁ……夢じゃなかったんだ。
昨夜の出来事が、静かな現実として胸の奥にじんわりと広がる。
悟の肩越しに見える、乱れたシーツ。
握ったまま眠っていた手。
すべてが、優しくも確かな「朝」を告げていた。
枕元の時計を見ると、まだ八時前。
「もう少しこのままでいたい……」
そんな思いが一瞬、心をかすめたが、すぐに小さく頭を振る。
――ダメ。今日は日曜日。夕方には悟が帰っちゃう。
順子はそっとベッドを抜け出し、悟を起こさないようにバスルームへ向かった。
冷たい水で顔を洗う。鏡に映った自分の頬は、ほんのりと紅潮している。
少しでも綺麗でいたい。
少しでも長く、悟と一緒に笑っていたい。
タオルで顔を拭きながら、順子は微笑んだ。
「……よし」
白いワンピースを手に取り、今日という一日を胸いっぱいに迎えようとしていた。
ーーーーーー
順子は髪を整え、軽くメイクを直してから、ベッドのそばにしゃがみ込んだ。
まだ眠そうにうつ伏せになっている悟の肩を、そっと揺らす。
「……悟。朝だよ、起きて」
悟が目をゆっくりと開けた瞬間、ぼんやりとした視界に白い光が差し込む。
そこには、白いワンピースに身を包んだ順子の姿があった。
肩のラインが柔らかく見える清楚なデザイン。
ベッド脇で微笑む彼女の姿に、悟の眠気は一瞬で吹き飛んだ。
「……え、順子……? すげぇ……」
悟は思わず上体を起こし、目を丸くした。
彼女の頬が、ほんのりと朝の光に染まっている。
「どうかな? どうかな?」
順子が、くるりとその場で一回転してみせる。
ふわりと裾が舞い上がり、光沢を帯びた髪が肩に落ちた。
悟は、目を細めてニヤニヤと笑う。
「綺麗だよ。……ほんとに、すごく」
順子は、照れくさそうに目をそらしながら、唇の端を上げた。
「なんか……昨日のラバー姿より恥ずかしいかも」
悟は笑いをこらえきれず、ベッドの上で軽く頭をかく。
「いや、それはずるいだろ。昨日は“非日常”だったけど……今日は完全に“恋人”だもん」
順子の頬が、ふわりと赤く染まった。
彼女は、朝の光の中で、静かに微笑む。
――こんな風に見つめ合える朝が来るなんて。
それだけで、胸の奥がじんわりと満たされていくのだった。
ホテルを出ると、朝の東京の街はすでに人で賑わっていた。
ビルの谷間をすり抜ける風が、順子の白いワンピースの裾をふわりと揺らす。
悟はキャリーケースを引きながら、見上げるように高層ビルを見渡した。
「うわぁ……やっぱ東京ってすげぇな。ビルが空まで続いてるみたいだ」
「ふふ、そんなにキョロキョロしてると、田舎から出てきた人みたいだよ」
順子は笑いながら、そっと悟の横に並ぶ。
「だって実際そうだもん。新幹線で来たときから、ずっと胸がソワソワしてる」
悟は照れくさそうに頭をかく。
二人は駅前のコインロッカーに着き、キャリーケースを預ける。
荷物を入れ終えると、悟は小さく息をついた。
「よし、これで身軽だ。どこ行く? 順子のおすすめの場所、行ってみたいな」
順子は少し考えたあと、ふわりと笑って悟の手を取った。
冷たい指先が一瞬触れたかと思うと、悟の手の中に柔らかい温もりが滑り込む。
「……ん?」
悟が驚いて順子を見る。二人は手を繋ぐ。
順子は視線を前に向けたまま、小さな声で言った。
「東京、すごい人が多いから……はぐれないように、ね」
悟は頬を赤らめながら、少し力を込めてその手を握り返す。
「うん。離さない」
二人の影が、朝の日差しの中で長く並んで伸びていく。
交差点を渡るとき、悟が少し照れたように言った。
「なんかさ、順子とこうして歩いてるだけで、夢みたいだな。昨日のことも、ここにいるのも……全部」
順子は笑って悟の腕を軽く引いた。
「夢でもいいよ。……だって、今は現実よりずっと幸せだから」
悟はその言葉に何も返せず、ただ優しく順子の手を握り直した。
ビルのガラスに映る二人の姿は、都会のざわめきの中で、どこまでも穏やかに寄り添っていた。
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