【R18】【挿絵多い】ラバーマスクガール

まへまへ

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第50話 到着

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車内には、エンジンの低い音とタイヤが舗装路を踏むリズムが響いていた。

運転席の悟は前方を見つめながらも、後部座席の麗子子と助手席の順子の話が気になって仕方がない。

「麗子さんの“女王バージョン”、ほんとにすごかったです」

順子が、思い出したようにぽつりと言う。

「背筋がゾクってするくらい。照明が当たるたびに、ラバーの艶が変わって……あれ、完全に“芸術”ですよ」

「やだ~、やめてよ~」

麗子は照れたように笑いながらも、まんざらでもない顔。

「でも、順子だってすごかったじゃない。あの黒と白のスーツのライン、あれは完全に“禁断の美”ってやつね」

順子は顔を赤らめて両手を振る。

「や、やめてくださいよ~! あれはお店の照明マジックです!」

「照明マジックって言うけど、あのときのお客さん全員、順子に目を奪われてたわよ? 空気がピンって張りつめてたもん」

麗子の声には、ほんのり誇らしさが混じっている。

「“ああ、後輩がちゃんと育ったなぁ”って思ってたんだから」

順子は思わず笑って、少しだけ視線を落とす。

「……ありがとうございます。麗子さんがいたから、私ここまで頑張れたんですよ」

そんな二人の会話を、悟は前を見つめたまま無言で聞いていた。

だが、その口元は――明らかに緩んでいる。(……麗子さんの女王バージョン……順子の黒と白のラバー……)

頭の中で、勝手に再生される映像。

妄想が止まらない。

「……悟?」

バックミラー越しに、順子が眉をひそめた。

「……ん? な、なに?」

「なに? じゃないよ!」

順子は身を乗り出し、悟の頬を両手でむぎゅっとつねる。

「いてててっ! ちょ、順子! 運転中だから危ないって!」

「顔がにやけてるの! バレバレ!」

麗子は後部席で大笑いしていた。

「もう、悟くん……妄想しなくても大丈夫よ」

麗子はにやりと笑い、少し声のトーンを落とす。

「今日は、二人の妖艶なラバーガールを、たっぷりと見せてあげるんだから……ね?」

悟はその言葉に、思わず口元が緩む。
(え、えっ、マジか……!)

頭の中で膨らんでいた妄想が、現実に近づく予感に興奮を抑えられない。

「ほら、またニヤニヤしてる! つねっちゃうからね」

順子が悟の頬を軽くつねる。

「い、痛っ! でも……順子、その顔……恥ずかしいけど……なんか嬉しいな」

悟の声は、少し震えている。

「ふふっ、ほら、麗子さんもニヤニヤしてるでしょ?」

順子は二人を交互に見て、小さく笑う。

「んふふ……そうね。今日は存分に楽しませてもらうから、覚悟してね、悟くん」

麗子は後部席で背筋を伸ばし、妖艶に微笑む。

悟はハンドルを握ったまま、つい再び頬をつねられ、慌てて手を動かす。

「い、痛っ……でも、楽しみすぎて……もう、どうにでもなれって感じだな」

車内は笑いと小さな緊張感が混じった、不思議な高揚感に包まれていた。

ーーーーーー

車は静かに山道を上がっていった。

左右には木々が生い茂り、遠くからは風に揺れる葉の音だけが聞こえる。

対向車は一台もなく、昼間なのにどこか神秘的な雰囲気が漂っていた。

「……この先、誰もいなさそうね」

順子が窓の外を見ながら呟く。

「うん、静かすぎるくらいだな」

悟も窓から景色を眺めつつ頷く。

しばらく進むと、古びたパーキングが視界に入った。

舗装は少し荒れていて、年季の入った公衆トイレと公衆電話がぽつんと建っている。

遠くには鳥居が小さく見え、奥に古い神社の屋根も確認できた。

「ここにいったん停めて様子を見てみようか」

悟がハンドルを握りながら提案する。

車を降りた三人は、山の冷たい空気を吸い込みながら駐車場の端へと歩く。

周囲に人影はなく、風に揺れる木々の葉と小鳥のさえずりだけが耳に入る。

「鳥居、あそこね。くぐってみようか」

麗子が指差す方向に皆の視線が向く。

三人は鳥居をくぐり、古い神社へと続く小道を歩き始めた。

小道は思ったより整備されており、ハイヒールでも歩けそうな平坦な道だ。

左右には低い木々や苔むした石が点在し、古い神社の静謐な空気を引き立てている。

「ここなら、撮影も安心してできそうね」

麗子が立ち止まり、二人に向かって微笑む。

「確かに。人もいなさそうだし、トイレもあるし」

順子が横目でトイレを確認しながら答える。

「じゃあ、ここにしようか」

麗子は満足そうに頷き、順子と悟も自然に同意する。

三人は荷物を整え、森の静寂に包まれた神社へ向かって歩き始めた。

心地よい緊張感と期待が入り混じり、今日の撮影の始まりを予感させる。
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