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落とされる冷たさ、行き場のない家
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落とされる冷たさ、行き場のない家
なんとなく名残惜しいアインハルト家に別れを告げて、車に乗った。
「疲れてないか?」
「うん、不思議と。楽しかった。」
「また来いよ。デートも。次は自然系がいいんだったか?」
「そうだね。お店は今日行ったし。」
「なら場所考えとく。その前に今週はうちの会社来てもらわないとな。」
「はい、よろしくお願いします。」
「何で敬語....」
「だって職場ではそうでしょ。」
「お前がそういう話し方すると.....変な扉が開きそうになるからやめてくれ。木曜学校から直接。いいな?」
変な扉って何だ。イマイチレオに何が刺さっているのか分からない時がある。
「さて、着いたけど....俺も上がるか?母親に会えそうなら会っときたいんだが。」
「う.....ん。まだ流石に起きてるとは思う。」
階段を上がり、鍵を開ける。
何も聞こえない。全員寝てるのか。
「ただいま.....」
「なんなのよ!」
バンっ!
何かが当たって壊れる音。
「ライ、あんたまであの子の味方なの!?」
「味方も何も、俺は最初からセラ姉以外どうでもいいよ。」
「育ててあげたのは私よ!分かってるの!」
「看病なんか殆どセラ姉がやってただろ。何勘違いしてんの。」
「ライもお母さんもやめてよぉ.....」
まずい。ライはいつも母親とメアに腹を立てている。私がいることでいつもは押さえてたんだろうけど.....
「ちょっとライ!お母さん!」
「セラ!」
「セラ姉!」
「帰ってきたらいきなりらこんなんだから....レオが挨拶したいって来てくれたのに。」
「え.....」
母が、後ろのレオを見た。その瞬間しまったというようによそ行きの顔を作り上げる。
「あら、みっともないところをお見せしてごめんなさいね。この子ちょっと反抗期で.....」
「いえ、僕こそ突然お邪魔して申し訳ありませんでした。申し遅れましたがセラさんとお付き合いさせていただいている、レオポルト・アインハルトです。」
レオは母の性質を一瞬で見抜いたようだ。こちらも見事によそ行きの仮面をつけている。
「アインハルトって....あの?まあそんな方がうちのセラと....あの子ったらいつも漫画読んでばかりなのにいつの間にか貴方みたいな子を捕まえるなんて、魔性の女だったのねえ....それに比べてメアベルは最近彼氏に振られて悲しんでるのに。」
「妹さんの事情は存じ上げませんが、僕はセラさん以外考えられません。僕の家族もセラさんを気に入ってるんですよ。なのでセラさんに傷がつけば一家総出で怒り出してしまうでしょうね。」
「ま、まあ.....気に入ってもらえてよかったじゃない、セラ。どんな手を使ったのか知らないけど....あの、レオポルトくん、今日はもう....」
「ええ、遅いのでお暇させていただきます。また後日、改めて伺ってもよろしいでしょうか?」
御曹司の人間関係の手腕は中々のもので母はたじろいでいる。
「え、ええもちろんよ。近いうちに是非いらして。」
「ではその時に。失礼します、ああ、ライ。」
ライがレオの元に駆け寄った。
小声で何やら話したようだがセラには聞こえなかった。
「じゃあまたな、セラ。眠れなかったら連絡しろよ。」
そう言いながら額にキスを落として家族を睨むレオはどう考えてもわざとやっている。
レオが出ていくのを見た母親はよそ行きの顔を見事に崩した。
「あんた、どうなってるの!?彼氏のことも何も言わなかったじゃない!」
「いや、お母さんいなかったし...言ったって困るでしょ?」
「アインハルト家よ!?有名な社長さんじゃないの!」
「だからって何も変わるわけじゃないから。」
「あら、そう言いながらあんた救世主を得たってわけ?いいわね、どうせ私私のことが不満なんでしょう?」
「そういう意味じゃないから....」
「いつもそうよ。外の人間はあんたを良い子だって勘違いする。親のことも放っておくような子が。」
「ごめんなさい.....」
謝る、しかないのだ。泣きたい。でも、泣いたら負けなのだ。
「そうやって謝ってまた私を悪者にするんでしょ?勝手ね。私は貴女を産まなければ自由に生きられたの。私の人生、あんたのお金で好きにして何が悪いの?」
「母さん、いい加減にしろよ。」
「あら、また貴方あの子の味方するの?」
「母さんの味方だったことなんかねえよ。」
「親によくそんなことが言えるわね。誰が産んでやったのか忘れたのかしら。」
「ああ、忘れたかもな。」
「あなたねぇっ....!」
「ライ、お母さん!私が悪かったから......」
「.....ごめん、セラ姉。」
「また1人で悲劇のヒロインみたいな顔して。ほんと可愛くないわ。部屋に入ってこないでちょうだい。」
また、やってしまった。私に少しでもいいことが起きるとこうなるのだ。ライは私を庇おうとする。放っておけばいいのに。私が悪いんだと思う。レオに会って、幸せだなんて思ったから。こういう時、いつもリビングで寝る。
でも、今日はどうしていいのか分からなかった。アインハルト家はあんなに温かったのに、うちは何でこんなに寒いんだろう。
家に、いたくなかった。外に出た。理由は、よく分からなかった。
なんとなく名残惜しいアインハルト家に別れを告げて、車に乗った。
「疲れてないか?」
「うん、不思議と。楽しかった。」
「また来いよ。デートも。次は自然系がいいんだったか?」
「そうだね。お店は今日行ったし。」
「なら場所考えとく。その前に今週はうちの会社来てもらわないとな。」
「はい、よろしくお願いします。」
「何で敬語....」
「だって職場ではそうでしょ。」
「お前がそういう話し方すると.....変な扉が開きそうになるからやめてくれ。木曜学校から直接。いいな?」
変な扉って何だ。イマイチレオに何が刺さっているのか分からない時がある。
「さて、着いたけど....俺も上がるか?母親に会えそうなら会っときたいんだが。」
「う.....ん。まだ流石に起きてるとは思う。」
階段を上がり、鍵を開ける。
何も聞こえない。全員寝てるのか。
「ただいま.....」
「なんなのよ!」
バンっ!
何かが当たって壊れる音。
「ライ、あんたまであの子の味方なの!?」
「味方も何も、俺は最初からセラ姉以外どうでもいいよ。」
「育ててあげたのは私よ!分かってるの!」
「看病なんか殆どセラ姉がやってただろ。何勘違いしてんの。」
「ライもお母さんもやめてよぉ.....」
まずい。ライはいつも母親とメアに腹を立てている。私がいることでいつもは押さえてたんだろうけど.....
「ちょっとライ!お母さん!」
「セラ!」
「セラ姉!」
「帰ってきたらいきなりらこんなんだから....レオが挨拶したいって来てくれたのに。」
「え.....」
母が、後ろのレオを見た。その瞬間しまったというようによそ行きの顔を作り上げる。
「あら、みっともないところをお見せしてごめんなさいね。この子ちょっと反抗期で.....」
「いえ、僕こそ突然お邪魔して申し訳ありませんでした。申し遅れましたがセラさんとお付き合いさせていただいている、レオポルト・アインハルトです。」
レオは母の性質を一瞬で見抜いたようだ。こちらも見事によそ行きの仮面をつけている。
「アインハルトって....あの?まあそんな方がうちのセラと....あの子ったらいつも漫画読んでばかりなのにいつの間にか貴方みたいな子を捕まえるなんて、魔性の女だったのねえ....それに比べてメアベルは最近彼氏に振られて悲しんでるのに。」
「妹さんの事情は存じ上げませんが、僕はセラさん以外考えられません。僕の家族もセラさんを気に入ってるんですよ。なのでセラさんに傷がつけば一家総出で怒り出してしまうでしょうね。」
「ま、まあ.....気に入ってもらえてよかったじゃない、セラ。どんな手を使ったのか知らないけど....あの、レオポルトくん、今日はもう....」
「ええ、遅いのでお暇させていただきます。また後日、改めて伺ってもよろしいでしょうか?」
御曹司の人間関係の手腕は中々のもので母はたじろいでいる。
「え、ええもちろんよ。近いうちに是非いらして。」
「ではその時に。失礼します、ああ、ライ。」
ライがレオの元に駆け寄った。
小声で何やら話したようだがセラには聞こえなかった。
「じゃあまたな、セラ。眠れなかったら連絡しろよ。」
そう言いながら額にキスを落として家族を睨むレオはどう考えてもわざとやっている。
レオが出ていくのを見た母親はよそ行きの顔を見事に崩した。
「あんた、どうなってるの!?彼氏のことも何も言わなかったじゃない!」
「いや、お母さんいなかったし...言ったって困るでしょ?」
「アインハルト家よ!?有名な社長さんじゃないの!」
「だからって何も変わるわけじゃないから。」
「あら、そう言いながらあんた救世主を得たってわけ?いいわね、どうせ私私のことが不満なんでしょう?」
「そういう意味じゃないから....」
「いつもそうよ。外の人間はあんたを良い子だって勘違いする。親のことも放っておくような子が。」
「ごめんなさい.....」
謝る、しかないのだ。泣きたい。でも、泣いたら負けなのだ。
「そうやって謝ってまた私を悪者にするんでしょ?勝手ね。私は貴女を産まなければ自由に生きられたの。私の人生、あんたのお金で好きにして何が悪いの?」
「母さん、いい加減にしろよ。」
「あら、また貴方あの子の味方するの?」
「母さんの味方だったことなんかねえよ。」
「親によくそんなことが言えるわね。誰が産んでやったのか忘れたのかしら。」
「ああ、忘れたかもな。」
「あなたねぇっ....!」
「ライ、お母さん!私が悪かったから......」
「.....ごめん、セラ姉。」
「また1人で悲劇のヒロインみたいな顔して。ほんと可愛くないわ。部屋に入ってこないでちょうだい。」
また、やってしまった。私に少しでもいいことが起きるとこうなるのだ。ライは私を庇おうとする。放っておけばいいのに。私が悪いんだと思う。レオに会って、幸せだなんて思ったから。こういう時、いつもリビングで寝る。
でも、今日はどうしていいのか分からなかった。アインハルト家はあんなに温かったのに、うちは何でこんなに寒いんだろう。
家に、いたくなかった。外に出た。理由は、よく分からなかった。
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