王弟が愛した娘ー音に響く運命ー現代パロ

Aster22

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家の温かさとズルい眼鏡の彼。

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家の温かさとズルいメガネの彼。
期待を裏切らないアインハルト家の豪邸。
本当にここに足を踏み入れていいのかと固唾を飲まずにはいられない。
「おい、落ち着け。外は確かにデカいが中にいんのは俺の家族だ。」
いやだからそれも緊張するのだけど。
門から玄関までが遠い。綺麗にされた庭にゆったりとした芝生とプール。
“レオくん”としてしか見ていなかった人が、急に遠い世界の人みたい。
レオが玄関のドアを開けた。
「ただい.....」
「お兄ちゃーーーん!セラちゃん!いらっしゃい!」
工場の時も思ったがこの妹はかなりの勢いだ。
「お前......もう少し落ち着いて出て来い。セラがびっくりするだろうが。」
「ええー、だってお兄ちゃんが遂に彼女を家に連れて来るっていうから!セラちゃん、さあ入って!あのね、お兄ちゃんね....」
「お邪魔します。」
「余計なこと喋んなっつったろ!」
「お兄ちゃんうるさーい。セラちゃんも聞きたくない?お兄ちゃんの昔話。」
「それは確かに聞いてみたいです。」
「でしょ?あと敬語じゃなくていいよ!私妹だし。セラちゃんがお姉ちゃん!」
「こんなに可愛い妹なら大歓迎だけど」
「ほら!やっぱりセラちゃん優しい!お兄ちゃんのどこがいいの?」
「おい。」
「それは私も聞いてみたいな。こんなののどこがいいのか。」
リビングの一角から聞こえて来たのは別の声だ。年から見るにレオの姉だろう。
「セラだな?私はフェルシオーネ。フェルでいい。」
「はい。初めまして。セラと申します。」
「で、こいつに何を言われたんだ?お前なら他にいくらでも男はいたんじゃないか?」
なるほど、これは同族嫌悪になるのも分かる。話し方も表情もレオそっくりどころか上手かもしれない。
「いや、そうでもないですが....」
「お兄ちゃん、セラちゃんに振り向いてもらおうとして必死だったんだよ?漫画も読み出して....」
「え、そうなの?」
「お前らマジで後で覚えてろよ.....」
「こうなるって分かってて連れて来たんだろ。諦めろ。」
「貴方たち全員落ち着きなさい。セラちゃん困ってるじゃないの。」
鶴の一声で静かになる母親はこちらも纏う雰囲気がレオそっくりだ。
「いえ、私こそご挨拶が遅れました。セラと申します。いつもレオくんにお世話になってます。」
「まあお世話になってるのは確実にあの子の方ね。私はジースティナ。ジーナでいいわ。手土産とかは気にしなくていいからいつでも来てちょうだい。」
「ありがとうございます。」
「ほんとほんと。」
「私たちがセラちゃんにお土産あげなきゃいけないくらい。」
「レオの改心代だな。」
いつも口達者なレオが何も言わせてもらえない。流石に強い女3人には敵わないようだ。
レオの過去の話をセラはよく知らない。出来れば聞いてみたい気もするが、本人の前では流石に気が引けた。
「セラちゃん可愛いもの好き?」
「うん、好きだよ。」
「なら私の部屋行こ!集めたアクセや貝があるの!」
シャッツェルは言うが早いわ手を取り2階へ上がり去った。


「....残念、シャッツに取られちゃったわね。」
母親が忙しくキッチンで手を動かしながら揶揄って来る。
「うるせぇ。こうなることぐらい分かってた。」
「それでも連れて来たかったんでしょう?」
「.....あっちの家は挨拶どころじゃなさそうだからな。せめてこっちで落ち着いてもらわないと。」
「まあ落ち着くかはさておきうちはあんな子なら歓迎よ。よくもまああんな子落とせたものね。」
「全くだ。どんな手使ったんだか。」
「フェル、お前は黙れ。」
「抱いてもないんだろ?」
「当たり前だ....」
「夜も返すって?人間何があるか分かんないねー」
ガチャリ。
「ただいまー」
「あら、お帰りなさい。早いのね。」
「今日は夕飯が家で食べられそうでね。お客さんかい?」
「セラちゃんよ。」
「おお、恋人になったのかい?」
「.....なった。父さんも余計なこと言うなよ。」
「さあ、その保証はできないな?」
「おい.....」
と上から楽しそうな笑い声が降りて来た。
「セラちゃんたら方向音痴よ!トイレに行ったら迷子になって帰って来ちゃった!」
「ちょっと!シャッツ.....」
ちゃっちゃと仲良くなったらしい2人は既に姉妹のようだ。
「お前方向音痴だよなあ。この間校内でも迷ってなかったか?」
「ゲッ見てたの....」
「学校入りたての時どうしてたんだ?」
「しょっちゅう授業遅刻してた。」
「それは酷いな。」
「あ....お邪魔してます。セラと申します。」
「気を遣わないでゆっくりしていってね。」
「ありがとうございます。」
「セラ」
「はい、フェルさん」
「レオの、何がいいんだ?」
「えっと....」
「おいフェル」
「横槍を入れるな。私は単に聞きたいんだ。お菓子会社の息子としてのレオが好きなのか、それとも違うのか。」
「ううん....難しいですね。確かにお菓子は私も好きな共通点で、会社の息子として働いている姿は頼もしく見えます。」
家族全員、本人含めて何かしらしながら聞き耳を立てているのを感じる。正直穴があったら入りたい。だけどここで逃げたらレオの恋人である資格はないように感じた。
「でも普段は表情豊かで、優しくて、意外と繊細です。いつも私が困ってたら助けてくれるし守ろうとしてくれます。隣にいたら安心してつい気が抜けてしまう。なので両方のレオくんが好きなんだと思います。」
「.....聞いて損した。全く問題ないじゃないか。」
「だから言っただろ。聞くだけ無駄だって。」
「お前を少しだけ見直してやろう。こんな女を連れて来れるとは思ってなかった。」
「俺を見くびった罰だ.....そういえばセラ、ライには連絡したんだよな?」
「あ、うんしたんだけど返事がなくて....仕事中かな。」
「後でもっかいかけてみろ。母親はアテになんねえだろ?」
「多分....でも一応かけとくね。また後で怒るかもしれないから」
「...そうしとけ。」
端に行って電話するセラにため息をついた。
「なに、あそこの母親どうなってんの?」
「詳しくは話そうとしないが母子家庭でセラが働き出したら母親は働かず遊んでばかり。昼も男連れ込んでるんだろうな。」
「お前も負けるほどの残念さだな。なんでそこからあんな子が生まれたんだ?」
「反面教師かもな。」
「ならセラちゃんにはうちで平和を感じてもらわなきゃね。」
「ああ....どうだった?」
「友達のとこ行くから遅くなるとは伝えたけど....」
「また何か言われたのか?」
「メアと私の食事はどうするのかって。残り物まだあるから適当に食べてって言っといた。」
「それで十分だ。ライには俺からかける。」
「え、いつ連絡先交換したの?」
「朝あった時メモ渡された。」
「いつの間に.....」
「セラちゃんの妹大変なんでしょ?」
「まあ、いつものことなんだけど」
「お兄ちゃん紹介してとか言われなかった?」
「正に言われて....もう困っちゃった。」
「その時付き合ってたの?」
「いや、まだで。それがきっかけで付き合ったと言うか。」
「ならその妹も一役買ったと言う点では評価しないといけないな。怪我の功名というやつか。」
「そうかもしれません。」
「ご飯できたわよー!」
その言葉に全員が皿を出し配膳を始める。セラもそれに倣うと自然に仕事を渡してくれるこの家族に不思議な安心感を覚えた。
「今日は豪華だねえ。」
「レオがやっと恋人を家に連れて来たのよ。気合いが入ったわ。」
言葉通り、テーブルの上にはローストにグラタン、サラダにパンバスケットまで置いてある。社長宅と言えども流石にこれが毎日ではないようだ。
「折角だから今日はワインを開けないと。」
「あー、お父さん便乗~」
「いいんじゃない。それくらい嬉しいんでしょ。」
「私も一杯もらおうかな。」
「お姉ちゃんもズルいよ成人してて。私はセラちゃんと楽しく炭酸飲むもんね?あ、そうだ!コーディアル出そ!」
「あらほんとね、忘れてたわ。」
「セラちゃん好き?」
「昔飲んだっきりだけど....多分好きだと思う。」
「フルーツ食べれたよな?」
「うん、普通に好き。」
「なら大丈夫だと思うぞ。アップルジンジャー辺りどうだ?」
「美味しそう」
「ならそれ持って来るね!私はベリ~お兄ちゃんは?」
「俺はライムにする。」
「ありがとう、シャッツ。」
「ふふっ本当にお姉ちゃんもう1人できたみたい。」
「シャッツは可愛いからレオが可愛がるのも納得だなあ。」
「え、お兄ちゃん私のことなんて言ってるの?」
「いつもは天使の妹って言ってたよ?髪を結うのも好きだったって。」
「あ、おいセラ。」
「ふふん、お兄ちゃん最近私に冷たいけどやっぱり好きなんじゃない。」
「レオは昔からシャッツに甘い。」
「娘なんてできたらもう溺愛だろうねえ。僕も酷かったよ。」
「それはそうだったわね。フェルなんて長女だったから蝶よ花よと育てたのにね。」
「残念だったな。育ったのはじゃじゃ馬だ。」
「いいんだよ。フェルが幸せならね。シャッツなんて君たち2人に囲まれたのにあれだ。やはり性格だろう。」
「いや。俺たちもシャッツは可愛がったぞ。」
「父さんなんて店行く度にシャッツのドレス買ってたくせに。」
「辛辣だなあ。レオもそうなるよ。見ててごらん。」
平和な家族の会話。私が誰にも言えなかった一つの夢。それは家族でご飯を食べること。
本当の家族じゃないけど、この温かさにまるでその夢が叶ったような気がしてしまう。
「セラちゃん、食べてる?」
「はい、いただいています。特にこのローストとグラタン、美味しすぎます。」
「ありがとう。頑張った甲斐があったわ。」
普段沸かない食欲が今日は存在を主張して来る。みんなで食べるご飯は美味しいと言うけれど。
その通りだったみたいだ。



食べ終わったお皿をキッチンへ持っていく。
「あ、セラちゃんお皿はそこに置いといてね。全部食洗機に入れちゃうから。」
「お父さんがされるんですか?」
「うん、妻に作ってもらってるからね。それくらいしないと。といっても入れるだけだから自慢にもならないな。」
なんとなく、緊張してしまう。それは別にレオのお父さんだからでも、社長だからでもない。ただ単に似たような歳の男性を目にすると固くなってしまう。それは最早本能のようなものだった。
「手伝うことはありませんか?」
「そうだな、じゃあ少しだけ手伝ってくれるかい?」
「はい、もちろんです。」
「いつも仕事は何をしているの?」
「家庭教師をしています。でもこれからはレオくんがいくらか仕事をくれるそうです。」
「....少し落ち着かなさそうだね?」
「....仕事に対していただくものが合わない気がして。レオに言ってもそんなことはいいとしか言わないんですが。」
「真面目だなあ。だけどその感覚はとても大切なものだ。それでもね。」
「?」
「男は好きな女の人を守りたい。特にレオはあんなに恋したのは初めてだからね。きっと最初居心地悪く感じるだろう。その時考えたらいい。レオからの好意だと思って受け入れるのか、それともレオともう一度話して仕事を考え直してもらうのか。大丈夫。レオは話して分からない子ではないよ。」
「そう.....ですね。ありがとうございます。少し不安が無くなりました。」
「そうかい?それならよかったよ。ほら、レオのところに行っておいで。僕のことを刺すような目で見てる。」
本当だ。遠目でもわかるいらないこと言ったんじゃないかオーラだ。
「レオ」
「少し上がるぞ。」
「お兄ちゃーん手出しちゃダメだよー」
「お前はいい加減にしろ!」
自室であろう部屋に入るとレオは見たこともない気の抜けた顔をしている。
「ったく.....あいつら.....」
「ふふっ」
「なんだ?」
「平和だなーと思って。誰かの家でこんなに落ち着いたの初めて。」
「そうか?それならいーけど。....父さんとは何話してたんだ?」
「んー、仕事の話。」
「なんか嘘くさいな。」
「ほんとだよ。」
「....まあいいや。ていうかちょっと待ってて。ベッド座ってていいから。」
言われた通り、座りながら部屋を見回してみる。置かれた書棚には噂通りの歴史書や哲学書、それに加えて異色の漫画が侵食して行っているのが見える。他は至って簡素なものでテーブルにゲーセンで取ったのであろう品物がいくつかあるぐらいだった。
「悪いな、待たせて。」
「.......」
メガネ。それも素の。その上に緩いスウェットにパーカー。
(何でキメてる時より色っぽいの....!)
何も言えないでいるセラの事情を察したレオは揶揄いモードだ。
「メガネ、好きなんだったよな?」
「そうだけど.....それはずるい....」
「何、お前こんな気の抜けたやつの方が好みなの?」
「そう、みたいですね.....」
「ふーん?じゃあまた家デートするか。そしたらこんな反応してくれるんだろ?」
「それは.....たまにでお願いします。」
「そんな反応したらさあ、誘ってるみたいだけど?」
耳元で囁かれる言葉に身体は悲しいほど正直に反応する。
「なあ、感じた?耳だけで身体震わせて....こっちも欲しいか?」
そう言いながら硬い指先はセラの唇をなぞっていく。
ピクッ
触れた指先に思わず感じてしまう。
「キス....しなくていいの?」
「....ゃ.....したい、です。」
「ん、いい子。」
言葉通り深いキス。指と耳とも違う快感が口内を支配する。突然レオが両耳を塞いだ。
「こうするとキスの音が脳に響くだろ?」
レオの言葉通り、脳に響く音はその快感を直に伝えて来るようで、キスだけなのにおかしくなってしまいそうになる。
「はぁっ....」
「気持ちいいか......って俺の方がやばいな。」
「なあ今どんな顔してるか分かってるか?」
「そんなの知らなっ....はぁ.....」
「......ダメだ、送る。このままじゃライとの約束守れなくなるからな。」
「あれ、セラちゃんもう帰っちゃうの?」
「仕方ないだろう。もう21時になる。また2人で出かけないか?」
「あ、お姉ちゃんズルい!私も!」
「私もぜひお出かけしたいです!」
「じゃあ気をつけてね~」
「レオ、しっかり送るんだよ。」
「分かってるよ。」
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