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連れて行かれるヒロインと、取り残される王子
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連れて行かれるヒロインと、取り残される王子
新生活とはいえ仕事はせねばならない。家賃の額を聞いた時は流石に嘘だと思った。アインハルト家か、レオか出所は分からないものの減った家賃、父親もこちらに養育費を入れるようになったおかげでライは週休2日を、セラは家庭教師のバイトを減らしてレオの会社で働くことになっていた。
本来ならそこまで働く必要すらないレベルだが最早気分の問題だ。貯金は多い方がいい。
レオはといえば1日おきぐらいの頻度で家にやってくる。料理の腕を上げると宣言した男は有言実行、まともなシチューを作ってみせた。
「美味いだろ?」
「確かに....美味しい。」
ドヤ顔になんとなく腹が立ったのは内緒だ。
「今日から夏休みだねー」
「いいなあ、セラは。どうせレオくんとデートでしょ?」
「まあそれもあるけど仕事もあるから.....2人は用事ないの?」
「遂にクラウスのやつ、デートに誘ってきたわ!一体何ヶ月待たせるつもりよ.....」
「でも誘ってくれたんでしょ?どこ行くの?」
「映画館ですって。チョイスが気になるところね。」
「確かに。合わないとちょっと微妙よね。」
「セラはレオくんとどこ行くの?」
「庭園と、海は行こーって言ってるよ。」
「いいわねえ。でも貴方達いつまで隠すつもりなの?文化祭なんてバレるしかないわよ?」
「ううん.....それがなあ。」
そう。新学期始まってすぐにあるのがこの文化祭だ。これをバレずにやり切るなどほぼ無理に近い気がする。
「私は隅で作業して、レオは表に立ってたらいいんじゃないかな。」
「あんたその見た目で裏に回れると思ってんの?去年も結局引っ張り出されてたじゃない。」
そうだった。カフェをやったのだが嫌がるセラを友人達は無理やり接客要員として出したのだ。
「うう.....考えたくない。ねえショッピングいつ行く?」
「再来週の土曜なんかどうかしら?」
「私はいいよ~」
「私もいける」
「じゃ、決まりだね。」
久しぶりのショッピングは楽しみだ。こんなに気楽に予定を立てられるのも。
放課後。また何やら外が騒がしい。
「おい、なんか高級車に美人が乗ってるぞ.....」
「誰の親だ....?レオか....?」
窓を覗くと確かに見間違うはずない、レオの母親、ジーナだ。
ピロロロロロ
知らない電話番号。
「はい、もしもし。」
「ああ、セラちゃん?」
「えっと、ジーナさんですか?」
「そうよ。今校門のとこいるんだけど。」
「見事に噂になってます。」
「知ってるわ。レオに取られる前にセラちゃん迎えに来たのよ。出てきてくれる?」
「へ?私ですか?」
「そうよ。じゃあね。」
切ってしまった。レオの行動力の原点を垣間見ている。
この大衆が注目する中あの車に乗れば何と言われることか。夏休みが明日からでよかったと心から安堵した。
「おい、何でセラが乗ってる!」
「しーっ!レオ、バレるよ。」
「俺は何も聞いてないぞ!」
「お前がセラの家入り浸ってアインハルト家に連れて行かないからだろ。」
「あんなの拉致だ!」
「あーもう、ほんとセラのことになるとIQ3になるんだからレオは.....」
「電話にも出ん!あいつら絶対わざとだろ.....」
「諦めなよ。セラがお前の家族に可愛がられるのはいいことじゃん?」
「まあ、それはそうなんだが......」
「......たまにはゲーセンでも行く?」
「......行く。」
新生活とはいえ仕事はせねばならない。家賃の額を聞いた時は流石に嘘だと思った。アインハルト家か、レオか出所は分からないものの減った家賃、父親もこちらに養育費を入れるようになったおかげでライは週休2日を、セラは家庭教師のバイトを減らしてレオの会社で働くことになっていた。
本来ならそこまで働く必要すらないレベルだが最早気分の問題だ。貯金は多い方がいい。
レオはといえば1日おきぐらいの頻度で家にやってくる。料理の腕を上げると宣言した男は有言実行、まともなシチューを作ってみせた。
「美味いだろ?」
「確かに....美味しい。」
ドヤ顔になんとなく腹が立ったのは内緒だ。
「今日から夏休みだねー」
「いいなあ、セラは。どうせレオくんとデートでしょ?」
「まあそれもあるけど仕事もあるから.....2人は用事ないの?」
「遂にクラウスのやつ、デートに誘ってきたわ!一体何ヶ月待たせるつもりよ.....」
「でも誘ってくれたんでしょ?どこ行くの?」
「映画館ですって。チョイスが気になるところね。」
「確かに。合わないとちょっと微妙よね。」
「セラはレオくんとどこ行くの?」
「庭園と、海は行こーって言ってるよ。」
「いいわねえ。でも貴方達いつまで隠すつもりなの?文化祭なんてバレるしかないわよ?」
「ううん.....それがなあ。」
そう。新学期始まってすぐにあるのがこの文化祭だ。これをバレずにやり切るなどほぼ無理に近い気がする。
「私は隅で作業して、レオは表に立ってたらいいんじゃないかな。」
「あんたその見た目で裏に回れると思ってんの?去年も結局引っ張り出されてたじゃない。」
そうだった。カフェをやったのだが嫌がるセラを友人達は無理やり接客要員として出したのだ。
「うう.....考えたくない。ねえショッピングいつ行く?」
「再来週の土曜なんかどうかしら?」
「私はいいよ~」
「私もいける」
「じゃ、決まりだね。」
久しぶりのショッピングは楽しみだ。こんなに気楽に予定を立てられるのも。
放課後。また何やら外が騒がしい。
「おい、なんか高級車に美人が乗ってるぞ.....」
「誰の親だ....?レオか....?」
窓を覗くと確かに見間違うはずない、レオの母親、ジーナだ。
ピロロロロロ
知らない電話番号。
「はい、もしもし。」
「ああ、セラちゃん?」
「えっと、ジーナさんですか?」
「そうよ。今校門のとこいるんだけど。」
「見事に噂になってます。」
「知ってるわ。レオに取られる前にセラちゃん迎えに来たのよ。出てきてくれる?」
「へ?私ですか?」
「そうよ。じゃあね。」
切ってしまった。レオの行動力の原点を垣間見ている。
この大衆が注目する中あの車に乗れば何と言われることか。夏休みが明日からでよかったと心から安堵した。
「おい、何でセラが乗ってる!」
「しーっ!レオ、バレるよ。」
「俺は何も聞いてないぞ!」
「お前がセラの家入り浸ってアインハルト家に連れて行かないからだろ。」
「あんなの拉致だ!」
「あーもう、ほんとセラのことになるとIQ3になるんだからレオは.....」
「電話にも出ん!あいつら絶対わざとだろ.....」
「諦めなよ。セラがお前の家族に可愛がられるのはいいことじゃん?」
「まあ、それはそうなんだが......」
「......たまにはゲーセンでも行く?」
「......行く。」
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