63 / 181
愛だと気づいた、その痛み
しおりを挟む
愛だと気づいた、その痛み。
「セラ様!賊に襲われたと....血が....!」
「大丈夫よ。着替えだけしてもいい?」
卒倒こそしなかったものの期待通りの反応をするエティ。
かつての西部帰りのエレンとルディを思い出す。
「すぐご用意します.....セラ様、顔に傷が!」
「かすり傷よ。すぐ治るわ。」
「お後が残ってしまいます....なんと勿体無い...」
「心配してくれてありがとう、エティ。でも今更傷の一つ増えたところでなんともないわ。化粧も落としたいのだけど、手伝ってくれる?」
「セラ様がそう仰られるのであれば.....。お手伝いします。」
セラ本人は何とも思わない傷一つに周りの者は皆心配する。セラの傷を嫌うのはライぐらいのものだったのに。
父はセラを傷つけ、母は自分が傷つくことを恐れた。
『セラ姉様、大丈夫ですか....?』
小声で聞いてきた妹は、ただ戸惑うばかりだった。
『セラ姉様ばかり傷ついて、俺は納得がいきません....!』
守られてばかりだったライが、いつしか目に悲しみと怒りを滲ませるようになった。
それを見て、怪我を隠すようになった。
跡が残ったから、何だというのだろう。
セラが死んだから、何だというのだろう。
セラにはよく分からなかった。
(もし私が死んだら――――)
レオは怒るだろうか。勝手に死んだセラを。
もしセラが腕を失い、ハープが弾けなくなれば、レオはセラを愛することを止めるだろうか。
愛も、死も。人は大袈裟に言うけれど誰が愛し、死のうが世界は進み続ける。
だが確かに自分の中に芽生えるレオに対する愛は、無視して進み続けられるような小さなものではなかった。
「セラ様!賊に襲われたと....血が....!」
「大丈夫よ。着替えだけしてもいい?」
卒倒こそしなかったものの期待通りの反応をするエティ。
かつての西部帰りのエレンとルディを思い出す。
「すぐご用意します.....セラ様、顔に傷が!」
「かすり傷よ。すぐ治るわ。」
「お後が残ってしまいます....なんと勿体無い...」
「心配してくれてありがとう、エティ。でも今更傷の一つ増えたところでなんともないわ。化粧も落としたいのだけど、手伝ってくれる?」
「セラ様がそう仰られるのであれば.....。お手伝いします。」
セラ本人は何とも思わない傷一つに周りの者は皆心配する。セラの傷を嫌うのはライぐらいのものだったのに。
父はセラを傷つけ、母は自分が傷つくことを恐れた。
『セラ姉様、大丈夫ですか....?』
小声で聞いてきた妹は、ただ戸惑うばかりだった。
『セラ姉様ばかり傷ついて、俺は納得がいきません....!』
守られてばかりだったライが、いつしか目に悲しみと怒りを滲ませるようになった。
それを見て、怪我を隠すようになった。
跡が残ったから、何だというのだろう。
セラが死んだから、何だというのだろう。
セラにはよく分からなかった。
(もし私が死んだら――――)
レオは怒るだろうか。勝手に死んだセラを。
もしセラが腕を失い、ハープが弾けなくなれば、レオはセラを愛することを止めるだろうか。
愛も、死も。人は大袈裟に言うけれど誰が愛し、死のうが世界は進み続ける。
だが確かに自分の中に芽生えるレオに対する愛は、無視して進み続けられるような小さなものではなかった。
0
あなたにおすすめの小説
愛とオルゴール
夜宮
恋愛
ジェシカは怒っていた。
父親が、同腹の弟ではなく妾の子を跡継ぎにしようとしていることを知ったからだ。
それに、ジェシカの恋人に横恋慕する伯爵令嬢が現れて……。
絡み合った過去と現在。
ジェシカは無事、弟を跡継ぎの座につけ、愛する人との未来を手にすることができるのだろうか。
好感度0になるまで終われません。
チョコパイ
恋愛
土屋千鶴子(享年98歳)
子供や孫、ひ孫に囲まれての大往生。
愛され続けて4度目の転生。
そろそろ……愛されるのに疲れたのですが…
登場人物の好感度0にならない限り終わらない溺愛の日々。
5度目の転生先は娘が遊んでいた乙女ゲームの世界。
いつもと違う展開に今度こそ永久の眠りにつける。
そう信じ、好きなことを、好きなようにやりたい放題…
自覚なし愛され公女と執着一途皇太子のすれ違いラブロマンス。
ヤクザのお嬢は25人の婚約者に迫られてるけど若頭が好き!
タタミ
恋愛
関東最大の極道組織・大蛇組組長の一人娘である大蛇姫子は、18歳の誕生日に父から「今年中に必ず結婚しろ」と命じられる。
姫子の抵抗虚しく、次から次へと夫候補の婚約者(仮)が現れては姫子と見合いをしていくことに。
しかし、姫子には子どもの頃からお目付け役として世話をしてくれている組員・望月大和に淡い恋心を抱き続けていて──?
全25人の婚約者から真実の愛を見つけることはできるのか!?今、抗争より熱い戦いの幕が上がる……!!
天才魔術師の仮面令嬢は王弟に執着されてます
白羽 雪乃
恋愛
姉の悪意で顔半分に大火傷をしてしまった主人公、大火傷をしてから顔が隠れる仮面をするようになった。
たけど仮面の下には大きい秘密があり、それを知ってるのは主人公が信頼してる人だけ
仮面の下の秘密とは?
【完結】捨てられた皇子の探し人 ~偽物公女は「大嫌い」と言われても殿下の幸せを願います~
ゆきのひ
恋愛
二度目の人生は、前世で慕われていた皇子から、憎悪される運命でした…。
騎士の家系に生まれたリュシー。実家の没落により、生きるために皇宮のメイドとなる。そんなリュシーが命じられたのは、廃屋同然の離宮でひっそりと暮らすセレスティアン皇子の世話係。
母を亡くして後ろ盾もなく、皇帝に冷遇されている幼い皇子に心を寄せたリュシーは、皇子が少しでも快適に暮らしていけるよう奮闘し、その姿に皇子はしだいに心開いていく。
そんな皇子との穏やかな日々に幸せを感じていたリュシーだが、ある日、毒を盛られて命を落とした……はずが、目を開けると、公爵令嬢として公爵家のベッドに横たわっていた。けれどその令嬢は、リュシーの死に因縁のある公爵の一人娘……。
望まぬ形で二度目の生を享けたリュシーと、その死に復讐を誓った皇子が、本当に望んでいた幸せを手に入れるまでのお話。
※本作は「小説家になろう」さん、「カクヨム」さんにも投稿しています。
※表紙画像はAIで作成したものです
果たされなかった約束
家紋武範
恋愛
子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。
しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。
このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。
怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。
※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。
捨てられた悪役はきっと幸せになる
ariya
恋愛
ヴィヴィア・ゴーヴァン公爵夫人は少女小説に登場する悪役だった。
強欲で傲慢で嫌われ者、夫に捨てられて惨めな最期を迎えた悪役。
その悪役に転生していたことに気づいたヴィヴィアは、夫がヒロインと結ばれたら潔く退場することを考えていた。
それまでお世話になった為、貴族夫人としての仕事の一部だけでもがんばろう。
「ヴィヴィア、あなたを愛してます」
ヒロインに惹かれつつあるはずの夫・クリスは愛をヴィヴィアに捧げると言ってきて。
そもそもクリスがヴィヴィアを娶ったのは、王位継承を狙っている疑惑から逃れる為の契約結婚だったはずでは?
愛などなかったと思っていた夫婦生活に変化が訪れる。
※この作品は、人によっては元鞘話にみえて地雷の方がいるかもしれません。また、ヒーローがヤンデレ寄りですので苦手な方はご注意ください。
隠された第四皇女
山田ランチ
恋愛
ギルベアト帝国。
帝国では忌み嫌われる魔女達が集う娼館で働くウィノラは、魔女の中でも稀有な癒やしの力を持っていた。ある時、皇宮から内密に呼び出しがかかり、赴いた先に居たのは三度目の出産で今にも命尽きそうな第二側妃のリナだった。しかし癒やしの力を使って助けたリナからは何故か拒絶されてしまう。逃げるように皇宮を出る途中、ライナーという貴族男性に助けてもらう。それから3年後、とある命令を受けてウィノラは再び皇宮に赴く事になる。
皇帝の命令で魔女を捕らえる動きが活発になっていく中、エミル王国との戦争が勃発。そしてウィノラが娼館に隠された秘密が明らかとなっていく。
ヒュー娼館の人々
ウィノラ(娼館で育った第四皇女)
アデリータ(女将、ウィノラの育ての親)
マイノ(アデリータの弟で護衛長)
ディアンヌ、ロラ(娼婦)
デルマ、イリーゼ(高級娼婦)
皇宮の人々
ライナー・フックス(公爵家嫡男)
バラード・クラウゼ(伯爵、ライナーの友人、デルマの恋人)
ルシャード・ツーファール(ギルベアト皇帝)
ガリオン・ツーファール(第一皇子、アイテル軍団の第一師団団長)
リーヴィス・ツーファール(第三皇子、騎士団所属)
オーティス・ツーファール(第四皇子、幻の皇女の弟)
エデル・ツーファール(第五皇子、幻の皇女の弟)
セリア・エミル(第二皇女、現エミル王国王妃)
ローデリカ・ツーファール(第三皇女、ガリオンの妹、死亡)
幻の皇女(第四皇女、死産?)
アナイス・ツーファール(第五皇女、ライナーの婚約者候補)
ロタリオ(ライナーの従者)
ウィリアム(伯爵家三男、アイテル軍団の第一師団副団長)
レナード・ハーン(子爵令息)
リナ(第二側妃、幻の皇女の母。魔女)
ローザ(リナの侍女、魔女)
※フェッチ
力ある魔女の力が具現化したもの。その形は様々で魔女の性格や能力によって変化する。生き物のように視えていても力が形を成したもの。魔女が死亡、もしくは能力を失った時点で消滅する。
ある程度の力がある者達にしかフェッチは視えず、それ以外では気配や感覚でのみ感じる者もいる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる