王弟が愛した娘 —音に響く運命—

Aster22

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愛だと気づいた、その痛み

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愛だと気づいた、その痛み。
「セラ様!賊に襲われたと....血が....!」
「大丈夫よ。着替えだけしてもいい?」
卒倒こそしなかったものの期待通りの反応をするエティ。
かつての西部帰りのエレンとルディを思い出す。
「すぐご用意します.....セラ様、顔に傷が!」
「かすり傷よ。すぐ治るわ。」
「お後が残ってしまいます....なんと勿体無い...」
「心配してくれてありがとう、エティ。でも今更傷の一つ増えたところでなんともないわ。化粧も落としたいのだけど、手伝ってくれる?」
「セラ様がそう仰られるのであれば.....。お手伝いします。」
セラ本人は何とも思わない傷一つに周りの者は皆心配する。セラの傷を嫌うのはライぐらいのものだったのに。
父はセラを傷つけ、母は自分が傷つくことを恐れた。
『セラ姉様、大丈夫ですか....?』
小声で聞いてきた妹は、ただ戸惑うばかりだった。
『セラ姉様ばかり傷ついて、俺は納得がいきません....!』
守られてばかりだったライが、いつしか目に悲しみと怒りを滲ませるようになった。
それを見て、怪我を隠すようになった。
跡が残ったから、何だというのだろう。
セラが死んだから、何だというのだろう。
セラにはよく分からなかった。
(もし私が死んだら――――)
レオは怒るだろうか。勝手に死んだセラを。
もしセラが腕を失い、ハープが弾けなくなれば、レオはセラを愛することを止めるだろうか。
愛も、死も。人は大袈裟に言うけれど誰が愛し、死のうが世界は進み続ける。
だが確かに自分の中に芽生えるレオに対する愛は、無視して進み続けられるような小さなものではなかった。

 
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