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最悪の報せ、呼び出すエルナ
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最悪の報せ、呼び出すエルナ
「少しだけ待っていて。」
そう告げると中に入り、侍女用の服に着替える。これで令嬢には見えないはずだ。
「さあ、行きましょう。」
連れてこられたのはコアルシオン前線にある軍幕。将軍が呼んだのであれば当然だろうが。
「連れて参りました。」
「入れ」
聞こえてきた声は、予想と違い女の声だった。勿論、軍人に相応しい威厳の含んだ声ではあるが。
「失礼します。」
「... ..なんだ、事情は把握済みか?」
セラの侍女服のことだろう。
「こちらにも事情があります。何故私が呼び出されたのでしょうか。」
「レオポルトから、文は来ていたか?」
「いえ、何も。」
「そのはずだ。全て宰相が阻害していた。」
「貴女はどちら側の方なのでしょう?」
「私はアラリックを推している....と言えば分かるか?」
「アラリック様であれば存じております。王弟殿下とは良き友人だと。」
「そういうことだ。私の前で王弟殿下なんて呼ばなくていいぞ。で、本題だ。私は元々レオに頼まれていた。仮面の男が蘇り狐を探すためにお前を狙うかもしれないから保護してくれないかとな。」
「.....レオ様も気づかれましたか。」
「ああ。血相変えて頼みに来た。それは愉快だったんだが。」
エルナの顔から表情が消えた。
「その愉快な男は今やアラリックに毒を仕込んだ疑いで軟禁中。アラリック自身生死を彷徨っている状態だ。」
「なっ........」
なにか、あったとは思っていた。だがこれは予想外だった。
「滞在7日目、2人での晩餐会があった。毒味薬も付き、晩餐会は順調に行われていた。ところが晩餐会も終わりにさしかかった頃、アラリックが突然腹痛を訴え、嘔吐した。」
・・・・
「たまたまそこに居合わせた宰相がレオが毒を盛ったと騒ぎ立てた。当然レオなわけがないが証拠がない。今は部屋に軟禁されている。私は表立って動けない。そこで貴女を呼んだ。」
「侍女として潜入し、真相を探るためですね。」
「ああ。それが起きたのが丁度昨晩だ。馬を死ぬ程飛ばしてきた。アラリックは弱る一方だ。このままでは持たん。」
「分かりました。一先ず誰にもバレぬよう帰れるのが最善です。私をベルシュタイン家に返したフリをしましょう。」
「よし。ならヒルダ。」
「お呼びでしょうか。」
「お前、ベルシュタイン嬢として向こうの城に戻れ。書状は持たせる。」
「私からも一筆書いておきます。」
「え、いや、事情が読めないんですが.....」
「読めなくていい。死んでも顔を上げるなよ。お前はスモーキーグリーンの瞳は持ってない。」
「エルナ様の横暴には慣れているつもりですが.....分かりました。お受けいたします。」
「直ぐに服を持って来させます。アラン。」
「はい。」
「今すぐに城からドレスと靴一式揃えてきてちょうだい。何が入ってるかバレてはいけないわよ。」
「か、かしこまりました。」
アランは訳のわからぬまま馬を走らせていった。
「......流石だな。レオが惚れた女だけある。」
「..…….ご存じなんですか?」
「私に頼む時に弱々しく恋人だと言っていたぞ。遂に気が狂ったのかと思った。」
幼い頃からの付き合いなのだろう。エルナの物言いは遠慮がない。
「割とすぐ弱りますからね......」
「お前だけじゃないか?大体のことは化け物みたいなメンタルしてたぞ。」
「そうなんですか?」
周りの人から聞くレオと、セラの知るレオは随分イメージが違う。どちらも本当の彼なんだろうけど、少し不思議だ。
「持ってきました。」
「ではヒルダ。今すぐこれに着替えてその男と共に行け。必ず迎えに行く。」
「ほんっとうに貴女様だけは.....今度褒美をいただきます!」
「ああ、考えておけ。」
ヒルダと呼ばれた女が着替え、出ていくのを見送った。アシュレイは気を失うかもしれない。
「さて、私たちも行こう。急がねばアラリックが危ない。」
その通りだ。そしてレオも―――
馬の足をどれだけ早めても気は休まらなかった。
「少しだけ待っていて。」
そう告げると中に入り、侍女用の服に着替える。これで令嬢には見えないはずだ。
「さあ、行きましょう。」
連れてこられたのはコアルシオン前線にある軍幕。将軍が呼んだのであれば当然だろうが。
「連れて参りました。」
「入れ」
聞こえてきた声は、予想と違い女の声だった。勿論、軍人に相応しい威厳の含んだ声ではあるが。
「失礼します。」
「... ..なんだ、事情は把握済みか?」
セラの侍女服のことだろう。
「こちらにも事情があります。何故私が呼び出されたのでしょうか。」
「レオポルトから、文は来ていたか?」
「いえ、何も。」
「そのはずだ。全て宰相が阻害していた。」
「貴女はどちら側の方なのでしょう?」
「私はアラリックを推している....と言えば分かるか?」
「アラリック様であれば存じております。王弟殿下とは良き友人だと。」
「そういうことだ。私の前で王弟殿下なんて呼ばなくていいぞ。で、本題だ。私は元々レオに頼まれていた。仮面の男が蘇り狐を探すためにお前を狙うかもしれないから保護してくれないかとな。」
「.....レオ様も気づかれましたか。」
「ああ。血相変えて頼みに来た。それは愉快だったんだが。」
エルナの顔から表情が消えた。
「その愉快な男は今やアラリックに毒を仕込んだ疑いで軟禁中。アラリック自身生死を彷徨っている状態だ。」
「なっ........」
なにか、あったとは思っていた。だがこれは予想外だった。
「滞在7日目、2人での晩餐会があった。毒味薬も付き、晩餐会は順調に行われていた。ところが晩餐会も終わりにさしかかった頃、アラリックが突然腹痛を訴え、嘔吐した。」
・・・・
「たまたまそこに居合わせた宰相がレオが毒を盛ったと騒ぎ立てた。当然レオなわけがないが証拠がない。今は部屋に軟禁されている。私は表立って動けない。そこで貴女を呼んだ。」
「侍女として潜入し、真相を探るためですね。」
「ああ。それが起きたのが丁度昨晩だ。馬を死ぬ程飛ばしてきた。アラリックは弱る一方だ。このままでは持たん。」
「分かりました。一先ず誰にもバレぬよう帰れるのが最善です。私をベルシュタイン家に返したフリをしましょう。」
「よし。ならヒルダ。」
「お呼びでしょうか。」
「お前、ベルシュタイン嬢として向こうの城に戻れ。書状は持たせる。」
「私からも一筆書いておきます。」
「え、いや、事情が読めないんですが.....」
「読めなくていい。死んでも顔を上げるなよ。お前はスモーキーグリーンの瞳は持ってない。」
「エルナ様の横暴には慣れているつもりですが.....分かりました。お受けいたします。」
「直ぐに服を持って来させます。アラン。」
「はい。」
「今すぐに城からドレスと靴一式揃えてきてちょうだい。何が入ってるかバレてはいけないわよ。」
「か、かしこまりました。」
アランは訳のわからぬまま馬を走らせていった。
「......流石だな。レオが惚れた女だけある。」
「..…….ご存じなんですか?」
「私に頼む時に弱々しく恋人だと言っていたぞ。遂に気が狂ったのかと思った。」
幼い頃からの付き合いなのだろう。エルナの物言いは遠慮がない。
「割とすぐ弱りますからね......」
「お前だけじゃないか?大体のことは化け物みたいなメンタルしてたぞ。」
「そうなんですか?」
周りの人から聞くレオと、セラの知るレオは随分イメージが違う。どちらも本当の彼なんだろうけど、少し不思議だ。
「持ってきました。」
「ではヒルダ。今すぐこれに着替えてその男と共に行け。必ず迎えに行く。」
「ほんっとうに貴女様だけは.....今度褒美をいただきます!」
「ああ、考えておけ。」
ヒルダと呼ばれた女が着替え、出ていくのを見送った。アシュレイは気を失うかもしれない。
「さて、私たちも行こう。急がねばアラリックが危ない。」
その通りだ。そしてレオも―――
馬の足をどれだけ早めても気は休まらなかった。
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