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ルールと計画と初仕事
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翌日、ボクはさっそくクリスさんに連れられとある施設を訪れた。
その施設の名前は「労働斡旋ギルド」。うん、すごくわかりやすい名前だ。
ドアを開けると、そこはたくさんの人が集まる大広間にだった。
周囲を見回しながら、ドキドキとした気分のままにカウンターへと向かうと、ふくよかな大柄の女性がボク達に向かって手を振ってくる。
「はぁいクリス! 元気してた?」
「久しぶりだなアマンダ。マコト、こちらがこの労働斡旋ギルドの責任者アマンダだ」
「マコトといいます。よろしくお願いします」
「あら、可愛くって礼儀正しい子ねぇ! こっちこそよろしくね!」
「さっそくですまないが、ギルドの説明をマコトにしてやってくれないか」
「ええ、任せてよ!」
そう言って胸をたたいたアマンダさんからギルドの説明を受けるボク。
その説明を要約すると、こんな感じだ。
このギルドでは、一時的、もしくは長きにわたって働いてくれる人材を募集する雇い主が詳しい仕事内容や給料などを書いてここに持って来て、それを見たギルド加入者たちが気に入った仕事を選んで働きに出る。
ギルド加入者は寮が与えられ、仕事の報酬から寮費が引かれることになっており、当然仕事をしないでいたら追い出されるというわけだ。
「つまり、派遣会社ってことかな?」
小さくつぶやいたボクは説明を終了してもらい、さっそくこのギルドに加入することにした。
保証人さえいれば誰でも入れるこのギルド、クリスさんの協力で仕事と家を同時にGETしたボクはホクホク顔だ。
「ふむ、私にできることはここまでだな。しっかりと働くんだぞ!」
「はい! ありがとうございました!」
「ああ、困ったことがあったらいつでも私の所に来てくれよ!」
簡単なあいさつの後、残りの手続きをアマンダさんに任せてクリスさんはギルドを後にした。
「マコト、貴方と年の近いギルド組員がちょうどそこにいるから挨拶してきたらどうだい?」
アマンダさんが指差した方を見ると、そこには数名の男女が席について談笑している姿が目に映る。
ここは明日からの同僚の覚えを良くするために、軽く絡んでおいた方がいいだろう。
「そうですね! 友達欲しいですし!」
そう言ってボクは彼らに近づく。でも内心では別のことを考えていた。
(今朝、女神がくれたこの能力を試してみようかな?)
ボクは両目に軽く力を込める、すると、周りにいる人たちの横に数字が表れた。よく見れば、数字の横には戦闘力、知力などの文字が浮かんでいるではないか。
(どっひゃあ~~! すごいなあ、これ!)
女神がボクにくれたのは、看破眼というスキルだった。
このスキルは人物のステータスを見ることができるほかに、仕掛けられた罠を見つけることもできるという優れものだ。
ステータスの横には先ほど言った物の他にも財力、善人度などがあり、それぞれを詳しく見ることも可能であった。
でも、今のボクが気にしているのはそういったものではない。
ボクが気にしているステータス、それは変態度、というものだった。
女神が唯一説明してくれたこのステータス、簡単に言うとその人物がどれだけ性的な面で変態な嗜好をしているか? というものを指す数値らしい。
「いい? これは基本的には20~30くらいが妥当な線なのよ」
女神の説明によると平均ライン辺りの人間は、変態的なプレイに興味はあるが自分がやるのは嫌だ! という思考の持ち主みたいだ。
逆にそれ以下は興味もない人間、それ以上は……ぶっちゃけわからない。
(世の中にはたくさんの変態思考を持った人間がいるから、そういった人間とセックスした方が楽しいと思うわよ!)
そんなことを言った女神はいつも通り消えて、ボクは目を覚ましたというわけである。
……ちなみに、ボクの変態度は87だった。これはどれだけ高いのか? 今見える人たちの中でも変態度の最高は40近くだ。
つまりボクはここの人たちの倍は変態だってことだろうか?
そんなことを考えたボクの背中を誰かが叩く、振り向いてみるとそこにいたのは口元を薄手の布で隠した踊り子のようなセクシーな衣装を着た女性だった。
「はぁい! あなた新入りでしょ? あたしバーバラ、一応魔法使いかな? これからよろしくね!」
「ぼ、ボクはマコトといいます! よろしくお願いします!」
カチコチになりながら挨拶をするボクを見たバーバラはうふふと笑って、彼女の仲間の所へボクを連れて行ってくれた。
「みんな! 新入りの女の子よ、仲よくしてあげてね!」
その声がみんなに届くと一気に沸き立ちボクに向かって挨拶をしてくるギルド加入者たち。
その勢いにのまれそうなボクに助け船を出してくれたのはアマンダさんだった。
「あんたたち! 新入りが可愛いからって脅かすんじゃないよ! ……マコト、今日は寮を見てゆっくり休んでおいで。明日から、ばっちり頼むよ!」
「は、はいっ!」
アマンダさんに返事をしたボクは、バーバラに連れられてギルドの女子寮に向かった。
たどり着いた女子寮はとても綺麗で、まるで新居のようだ。
「魔法で綺麗にしてるから当然なんだけどね」
そう言って笑うバーバラから寮の決まりを聞いたボクは荷物を片付け(とはいってもあまり物は無かったが)その日は備え付けのベットで眠りに就いた。
そして、翌日……
「うーむむむむむ……!」
人材募集のチラシが並ぶ掲示板の前で悩むボク。それは、仕事が決められないからではなくほかの理由からであった。
(どうしよう……えっち出来る人がいない!)
うん、自分で言ってて驚くけど目下最大の悩みはこれだったりする。
適当にその辺で男をひっかければいいじゃないかって? それじゃダメなのだ。
ボクは、この世界で楽しく生きるためのルールを作ることにしたのだから。
ルール1、特定の男性……つまり恋人を作らないこと。
これは非常に単純だ。ラブラブセックスもいいものなんだろうが、ボクとしては拘束が出来てしまうことを良いことだとは思えない。
たくさんの経験をするためにも恋人は作らないようにする。
ルール2、周りに迷惑をかけない。
当然といえば当然だ。こういった基本ができていないとそこから破滅はやってくる。
故に自分で対応できるキャパシティの中で楽しむことにしよう。
ルール3、基本的にビッチにはならないこと
何言ってんだと怒られそうだが、これが今回の異世界生活での肝である。
基本的に男といたす際に、えっちが大好きな女の子です! なんて思われたら2回目3回目とズルズル要求されることは目に見えている。
別にその通りなんだからいいんじゃない? と思う諸君、これはよくないのだ。なぜなら、ボクは変態ではあるがビッチではないのだから。
どう言う事かというと……誰でもいいからえっちしたいとまでは思いません。
秘密を守って、ボクを気持ちよくしてくれるボクと同じくらいの変態さん。ボクが捜しているのはそういう人なのだ。
だから、自分で計画を立ててそれをきっちりと確認した上でえっちが出来るようにしたい。
手間がかかるように見えて後々のことを考えると一番楽な方法なのだ。
そして、その条件に合う人間を探しているのだが……これが全く見つからない。
当然といえば当然だ、ボク級の変態さんなんぞそうやすやすとはみつから無いだろうからね! ……自分で言ってて恥ずかしくなってきたな。
「どうしよっかなぁ……?」
そう呟いたボクはとある求人広告を見て動きを止めた。
その広告とは特に何の変哲もない新聞配達の求人だったのだが、ボクはこれを見て名案を思い付く。
(……ギルド内にいないなら、職場で探せばいいんだ!)
考えてみればこっちの方がいいじゃないか! 短期の職場なら何事もなかったかのようにフェードアウトしてしまえば会うこともあるまい、長期の仕事ならじっくりと計画を立ててから挑める。
そして何より、毎日顔を合わせる心配がない! まずいことになると予感したらその職場に行かなければいいのだから!
(そうと決まればまず行動!)
ボクは新聞配りの仕事を請け負うとさっそく仕事を始めた。
なぜ新聞配りを選んだかというと、町中を動き回れるからだ。
求人を出しているお店を覗いてこれは! と思う人がいたら、次はそのお店に仕事として行けばいい。
(なんて頭のいいことなんでしょう!)
ボクは自分の考えを自分で褒めながら仕事を続ける。
そして1つ、また1つと店を覗いて自分の望む男の人を探しながら町中を駆けて行ったのであった……。
「はぁ~……そう、上手くはいかないかぁ……」
数時間後、仕事を終えたボクは寮から少し離れた公園で休憩を取っていた。
残念ながら計画は失敗、望みどおりの変態さんは見つかることは無かった。
(時々いる変態さんはなんていうか、ヘビーな感じなんだよな……)
50や60を記録した人はいたが、それは人を傷つけて快楽を得る、いわば他人を人とは思わないようなプレイをする人だ。
痛くなければそれでもいいが、なんとなく、ボクはその人たちに関わるのは止めた。
なんだか怖いからだ、そういった人のいる職場では必ず目が死んだ人が1人はいる。
きっとその人の玩具なんだろうな……と思ったら、自分がああなるのは嫌だという想いが性欲に勝った。
「あ~あ、いい案だと思ったんだけどなぁ……」
自分の作戦が失敗したことにガックリと肩を落とすボク。
その時だった、ボクの鼻に甘くていい匂いが届いたのは。
いったいどこからだろうと匂いの元を探したボクは、公園にある大きなキャンピングカーを発見する。
そのキャンピングカーは改造されており、ドーナツ屋の屋台になっていた。
大きなその店に驚きながら店に近づいてみれば、ちょうど店では女の子2人がクレープを購入している姿が目に映る。
だがちょっと様子がおかしい、女の子は買ったドーナツを手に取るとさっさと店から離れていくのだ。
もう少しお喋りしながらのんびり歩けばいいのに、どうしてあんなにせかせかと離れていくのか?
そんなボクの疑問は、店の中にいる店員を見たときに解決した。
店の中にいたのはお世辞にもカッコいいとは言えない小太りの男性だ。
店番をしながらドーナツを作るその姿はとても働き者と言えるのだろうが、なぜか不快感をもたらすのである。
(う~ん……可哀想な人だなぁ……)
看破眼で善人度を見るに決して悪人ではない、あくまで普通の少し下位だ。
なのに、容姿のせいで損をする……そういう運命の元に産まれて来てしまったようで、歳は40近いというのに女の子と付き合ったこともない様子だった。
(ああ、だからお客さんもあんまりいないのか)
納得したボクは周りを見る。
おいしそうなドーナツなのに買う人は本当に少ない、耳を澄ませば先ほどドーナツを買っていた女の子たちの会話が聞こえてきた。
「マジあのオヤジが店番って萎えるわ~」
「ホントだよね。時々ギルドに求人かけてるけど、あんまり来る人いないよね~」
「他の人がレジやれば儲かるのに、あのオヤジがすべて台無しにしてるんだよねー!」
「でもドーナツ作ってんのあのオヤジだよ?」
「言わないでよー、食欲なくなるじゃん!」
……何とも、可哀想な話である。
でも良い事も聞けた。どうやらこのお店は人材を募集しているらしい、帰ったらさっそく確認してみようじゃないか。
「ふんふ~ん、ふふふふ~ん♡」
鼻歌混じりに、上機嫌でスキップなんかしちゃうボク。
いったい、どうしてそんなに機嫌がいいのかって? 決まってるじゃないか、見つかったからだ。
お望みの変態さんが……♡♡♡
あのドーナツ屋さんの変態度を見たとき、とても驚いた。その数値は75、本日の最高記録である。
そして業務形態もおあつらえ向きだ。
仕事をしているのはここから見てもドーナツ屋さん1人だけで、他に従業員はいない。
つまり、ボクたちがその気になれば何だって出来ちゃうのだ。
(さーてと、どうしますかねぇ?)
掲示板に張ってある先ほどの店の求人広告を見つけたボクは妖しく微笑む。
情報によると、期限は1週間、勤務時間は昼から夕方までだそうだ。
(1週間……初めての仕事場で、初めての変態さん確保なるかな?)
その日のうちに情報を集めたボクは、計画を練りあげ、そして……
「今日から1週間お世話になるマコトといいます! よろしくお願いしますね!!」
「ああ、うん。こちらこそ、よろしく」
覇気のない返事を返す店長さんに対してボクは満面の笑みだ。
入念に計画を練り上げたボクは、そんな店長さんの反応にも笑みを崩さぬまま対応を続けていく。
「じゃあ、裏で着替えて来てね」
そう言ってボクに更衣室の場所を教えてくれる店長さん。
ボクは更衣室に入って1人ほくそ笑む。
(さぁ、始めようか♡ 楽しくってえっちなドーナツ屋さんでの1週間を、さ♡)
ボクは計画を頭の中で再確認しながら、今日の予定を消化し始めるのであった。
その施設の名前は「労働斡旋ギルド」。うん、すごくわかりやすい名前だ。
ドアを開けると、そこはたくさんの人が集まる大広間にだった。
周囲を見回しながら、ドキドキとした気分のままにカウンターへと向かうと、ふくよかな大柄の女性がボク達に向かって手を振ってくる。
「はぁいクリス! 元気してた?」
「久しぶりだなアマンダ。マコト、こちらがこの労働斡旋ギルドの責任者アマンダだ」
「マコトといいます。よろしくお願いします」
「あら、可愛くって礼儀正しい子ねぇ! こっちこそよろしくね!」
「さっそくですまないが、ギルドの説明をマコトにしてやってくれないか」
「ええ、任せてよ!」
そう言って胸をたたいたアマンダさんからギルドの説明を受けるボク。
その説明を要約すると、こんな感じだ。
このギルドでは、一時的、もしくは長きにわたって働いてくれる人材を募集する雇い主が詳しい仕事内容や給料などを書いてここに持って来て、それを見たギルド加入者たちが気に入った仕事を選んで働きに出る。
ギルド加入者は寮が与えられ、仕事の報酬から寮費が引かれることになっており、当然仕事をしないでいたら追い出されるというわけだ。
「つまり、派遣会社ってことかな?」
小さくつぶやいたボクは説明を終了してもらい、さっそくこのギルドに加入することにした。
保証人さえいれば誰でも入れるこのギルド、クリスさんの協力で仕事と家を同時にGETしたボクはホクホク顔だ。
「ふむ、私にできることはここまでだな。しっかりと働くんだぞ!」
「はい! ありがとうございました!」
「ああ、困ったことがあったらいつでも私の所に来てくれよ!」
簡単なあいさつの後、残りの手続きをアマンダさんに任せてクリスさんはギルドを後にした。
「マコト、貴方と年の近いギルド組員がちょうどそこにいるから挨拶してきたらどうだい?」
アマンダさんが指差した方を見ると、そこには数名の男女が席について談笑している姿が目に映る。
ここは明日からの同僚の覚えを良くするために、軽く絡んでおいた方がいいだろう。
「そうですね! 友達欲しいですし!」
そう言ってボクは彼らに近づく。でも内心では別のことを考えていた。
(今朝、女神がくれたこの能力を試してみようかな?)
ボクは両目に軽く力を込める、すると、周りにいる人たちの横に数字が表れた。よく見れば、数字の横には戦闘力、知力などの文字が浮かんでいるではないか。
(どっひゃあ~~! すごいなあ、これ!)
女神がボクにくれたのは、看破眼というスキルだった。
このスキルは人物のステータスを見ることができるほかに、仕掛けられた罠を見つけることもできるという優れものだ。
ステータスの横には先ほど言った物の他にも財力、善人度などがあり、それぞれを詳しく見ることも可能であった。
でも、今のボクが気にしているのはそういったものではない。
ボクが気にしているステータス、それは変態度、というものだった。
女神が唯一説明してくれたこのステータス、簡単に言うとその人物がどれだけ性的な面で変態な嗜好をしているか? というものを指す数値らしい。
「いい? これは基本的には20~30くらいが妥当な線なのよ」
女神の説明によると平均ライン辺りの人間は、変態的なプレイに興味はあるが自分がやるのは嫌だ! という思考の持ち主みたいだ。
逆にそれ以下は興味もない人間、それ以上は……ぶっちゃけわからない。
(世の中にはたくさんの変態思考を持った人間がいるから、そういった人間とセックスした方が楽しいと思うわよ!)
そんなことを言った女神はいつも通り消えて、ボクは目を覚ましたというわけである。
……ちなみに、ボクの変態度は87だった。これはどれだけ高いのか? 今見える人たちの中でも変態度の最高は40近くだ。
つまりボクはここの人たちの倍は変態だってことだろうか?
そんなことを考えたボクの背中を誰かが叩く、振り向いてみるとそこにいたのは口元を薄手の布で隠した踊り子のようなセクシーな衣装を着た女性だった。
「はぁい! あなた新入りでしょ? あたしバーバラ、一応魔法使いかな? これからよろしくね!」
「ぼ、ボクはマコトといいます! よろしくお願いします!」
カチコチになりながら挨拶をするボクを見たバーバラはうふふと笑って、彼女の仲間の所へボクを連れて行ってくれた。
「みんな! 新入りの女の子よ、仲よくしてあげてね!」
その声がみんなに届くと一気に沸き立ちボクに向かって挨拶をしてくるギルド加入者たち。
その勢いにのまれそうなボクに助け船を出してくれたのはアマンダさんだった。
「あんたたち! 新入りが可愛いからって脅かすんじゃないよ! ……マコト、今日は寮を見てゆっくり休んでおいで。明日から、ばっちり頼むよ!」
「は、はいっ!」
アマンダさんに返事をしたボクは、バーバラに連れられてギルドの女子寮に向かった。
たどり着いた女子寮はとても綺麗で、まるで新居のようだ。
「魔法で綺麗にしてるから当然なんだけどね」
そう言って笑うバーバラから寮の決まりを聞いたボクは荷物を片付け(とはいってもあまり物は無かったが)その日は備え付けのベットで眠りに就いた。
そして、翌日……
「うーむむむむむ……!」
人材募集のチラシが並ぶ掲示板の前で悩むボク。それは、仕事が決められないからではなくほかの理由からであった。
(どうしよう……えっち出来る人がいない!)
うん、自分で言ってて驚くけど目下最大の悩みはこれだったりする。
適当にその辺で男をひっかければいいじゃないかって? それじゃダメなのだ。
ボクは、この世界で楽しく生きるためのルールを作ることにしたのだから。
ルール1、特定の男性……つまり恋人を作らないこと。
これは非常に単純だ。ラブラブセックスもいいものなんだろうが、ボクとしては拘束が出来てしまうことを良いことだとは思えない。
たくさんの経験をするためにも恋人は作らないようにする。
ルール2、周りに迷惑をかけない。
当然といえば当然だ。こういった基本ができていないとそこから破滅はやってくる。
故に自分で対応できるキャパシティの中で楽しむことにしよう。
ルール3、基本的にビッチにはならないこと
何言ってんだと怒られそうだが、これが今回の異世界生活での肝である。
基本的に男といたす際に、えっちが大好きな女の子です! なんて思われたら2回目3回目とズルズル要求されることは目に見えている。
別にその通りなんだからいいんじゃない? と思う諸君、これはよくないのだ。なぜなら、ボクは変態ではあるがビッチではないのだから。
どう言う事かというと……誰でもいいからえっちしたいとまでは思いません。
秘密を守って、ボクを気持ちよくしてくれるボクと同じくらいの変態さん。ボクが捜しているのはそういう人なのだ。
だから、自分で計画を立ててそれをきっちりと確認した上でえっちが出来るようにしたい。
手間がかかるように見えて後々のことを考えると一番楽な方法なのだ。
そして、その条件に合う人間を探しているのだが……これが全く見つからない。
当然といえば当然だ、ボク級の変態さんなんぞそうやすやすとはみつから無いだろうからね! ……自分で言ってて恥ずかしくなってきたな。
「どうしよっかなぁ……?」
そう呟いたボクはとある求人広告を見て動きを止めた。
その広告とは特に何の変哲もない新聞配達の求人だったのだが、ボクはこれを見て名案を思い付く。
(……ギルド内にいないなら、職場で探せばいいんだ!)
考えてみればこっちの方がいいじゃないか! 短期の職場なら何事もなかったかのようにフェードアウトしてしまえば会うこともあるまい、長期の仕事ならじっくりと計画を立ててから挑める。
そして何より、毎日顔を合わせる心配がない! まずいことになると予感したらその職場に行かなければいいのだから!
(そうと決まればまず行動!)
ボクは新聞配りの仕事を請け負うとさっそく仕事を始めた。
なぜ新聞配りを選んだかというと、町中を動き回れるからだ。
求人を出しているお店を覗いてこれは! と思う人がいたら、次はそのお店に仕事として行けばいい。
(なんて頭のいいことなんでしょう!)
ボクは自分の考えを自分で褒めながら仕事を続ける。
そして1つ、また1つと店を覗いて自分の望む男の人を探しながら町中を駆けて行ったのであった……。
「はぁ~……そう、上手くはいかないかぁ……」
数時間後、仕事を終えたボクは寮から少し離れた公園で休憩を取っていた。
残念ながら計画は失敗、望みどおりの変態さんは見つかることは無かった。
(時々いる変態さんはなんていうか、ヘビーな感じなんだよな……)
50や60を記録した人はいたが、それは人を傷つけて快楽を得る、いわば他人を人とは思わないようなプレイをする人だ。
痛くなければそれでもいいが、なんとなく、ボクはその人たちに関わるのは止めた。
なんだか怖いからだ、そういった人のいる職場では必ず目が死んだ人が1人はいる。
きっとその人の玩具なんだろうな……と思ったら、自分がああなるのは嫌だという想いが性欲に勝った。
「あ~あ、いい案だと思ったんだけどなぁ……」
自分の作戦が失敗したことにガックリと肩を落とすボク。
その時だった、ボクの鼻に甘くていい匂いが届いたのは。
いったいどこからだろうと匂いの元を探したボクは、公園にある大きなキャンピングカーを発見する。
そのキャンピングカーは改造されており、ドーナツ屋の屋台になっていた。
大きなその店に驚きながら店に近づいてみれば、ちょうど店では女の子2人がクレープを購入している姿が目に映る。
だがちょっと様子がおかしい、女の子は買ったドーナツを手に取るとさっさと店から離れていくのだ。
もう少しお喋りしながらのんびり歩けばいいのに、どうしてあんなにせかせかと離れていくのか?
そんなボクの疑問は、店の中にいる店員を見たときに解決した。
店の中にいたのはお世辞にもカッコいいとは言えない小太りの男性だ。
店番をしながらドーナツを作るその姿はとても働き者と言えるのだろうが、なぜか不快感をもたらすのである。
(う~ん……可哀想な人だなぁ……)
看破眼で善人度を見るに決して悪人ではない、あくまで普通の少し下位だ。
なのに、容姿のせいで損をする……そういう運命の元に産まれて来てしまったようで、歳は40近いというのに女の子と付き合ったこともない様子だった。
(ああ、だからお客さんもあんまりいないのか)
納得したボクは周りを見る。
おいしそうなドーナツなのに買う人は本当に少ない、耳を澄ませば先ほどドーナツを買っていた女の子たちの会話が聞こえてきた。
「マジあのオヤジが店番って萎えるわ~」
「ホントだよね。時々ギルドに求人かけてるけど、あんまり来る人いないよね~」
「他の人がレジやれば儲かるのに、あのオヤジがすべて台無しにしてるんだよねー!」
「でもドーナツ作ってんのあのオヤジだよ?」
「言わないでよー、食欲なくなるじゃん!」
……何とも、可哀想な話である。
でも良い事も聞けた。どうやらこのお店は人材を募集しているらしい、帰ったらさっそく確認してみようじゃないか。
「ふんふ~ん、ふふふふ~ん♡」
鼻歌混じりに、上機嫌でスキップなんかしちゃうボク。
いったい、どうしてそんなに機嫌がいいのかって? 決まってるじゃないか、見つかったからだ。
お望みの変態さんが……♡♡♡
あのドーナツ屋さんの変態度を見たとき、とても驚いた。その数値は75、本日の最高記録である。
そして業務形態もおあつらえ向きだ。
仕事をしているのはここから見てもドーナツ屋さん1人だけで、他に従業員はいない。
つまり、ボクたちがその気になれば何だって出来ちゃうのだ。
(さーてと、どうしますかねぇ?)
掲示板に張ってある先ほどの店の求人広告を見つけたボクは妖しく微笑む。
情報によると、期限は1週間、勤務時間は昼から夕方までだそうだ。
(1週間……初めての仕事場で、初めての変態さん確保なるかな?)
その日のうちに情報を集めたボクは、計画を練りあげ、そして……
「今日から1週間お世話になるマコトといいます! よろしくお願いしますね!!」
「ああ、うん。こちらこそ、よろしく」
覇気のない返事を返す店長さんに対してボクは満面の笑みだ。
入念に計画を練り上げたボクは、そんな店長さんの反応にも笑みを崩さぬまま対応を続けていく。
「じゃあ、裏で着替えて来てね」
そう言ってボクに更衣室の場所を教えてくれる店長さん。
ボクは更衣室に入って1人ほくそ笑む。
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