室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

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第1章 月森ヶ丘自由学園

ヒーローは遅れてやってくる!

「君のお兄さんは私の正体を知っていたから、君を極力近づかせないようにしていたみたいだが、本人に教えていなかったことが仇となったな。クッ」

さも愉快そうに、にやにや笑う叔父に涙は底知れぬ恐怖に怯える…

「や、やだっ!! お兄ちゃんのところに帰る」

暴れる涙は、部屋から逃げ出そうとするが、すぐに捕まった

「やだーっ!!」

泣き叫ぶ涙を引っ張り、ベッドの上に乱暴に叩きつける。

「わからないか?今のお前に誰が助けに来る?誰もお前が攫われたことさえ知らないんだぞ?潔く諦めたら、どうだ?それに…

この部屋も基本、入口…扉には鍵をかけてある。窓は開いているが、此処は二階。お前は臆病だからな。木登りさえ出来なかったお前に二階から飛び降りて逃げようなんて芸できるはずがないからな」

絶望を感じた涙は、一気に青ざめはじめる‥

「さぁて、話しは終わりだ。まずは商品が商品になれるよう身体に、じっくり仕込んでやる…」

舌なめずりし、

"さぞやお前は身体に調教のしがいがあるんだろうな"  と、やらしい笑みを浮かべると、泣いて暴れる涙をベッドに押し倒し、涙の暴れる両手を上に上げ、ベッドの端と端に紐で縛り固定した――‥。

「くっく…いいぞ!その怯えた目がまた、そそる‥。ほら、お前なら大丈夫だ。男を喜ばすなんて簡単だろう?」

手を拘束され、叔父に馬乗りにされている涙は必死に逃げようと試みるも体格差からか、身動きできず、無駄な抵抗となっていた…

そんな涙にお構いなしに学園長は涙の服に手をかける

 ビクッ!!

「ゃ…やだっ!!やだっ やめて叔父さん!!」

「可愛い涙、お前は本当に私を煽るのが上手いな」

涙の上半身の服を上に捲し上げた学園長は舌なめずりしニヤつく。

「…だ……やだっ!!だ、れか…助けて!!」

ハラハラ…と涙で目を腫らす涙、そして、そんな涙を見て、さらに欲情する学園長・・

  さわさわ…


「ひっ…ー━━!!!!」

学園長もとい叔父に上半身裸の涙は胸元を撫でなられ、声にならぬ悲鳴をあげるが、それが反って叔父を煽っていようとは知らない。

「ゃ…や…やだっ お願い!もうっやめてよ!!叔父さんっ」

異様な目で見てくる叔父に恐怖で怯えながらも、やめて…やめて…と何度も泣き叫ぶ涙に興奮が止まらない。さらに手を下へ持っていこうとする叔父に必死に暴れ抵抗を試みるも、

(…も、もう終わりだ…)

絶望から現実から逃げようと目を閉じ逃避する。その閉じられた瞼からは一筋の涙が頬をつたう…

それを諦めと感じ取った叔父もとい学園長は、涙の自身に触れようとした

………と、そのとき
 
  ─バンッ!!─

閉まっていた窓が勢いよく開くや‥

「てぃやぁぁあぁーっ!!!!」

という意気込んだ声に、

    ズ、サァーッッ!!

「ごふっ…」

そして、床に転がる叔父もとい学園長。


恐る恐る目を開けた涙は勿論、驚いた。何せ、今まで自分を襲っていた叔父が呻きながら床に俯せで…

「わっしが来たからにぃ、もう安心せぃっ!」

幸村の足の下で、気を失っているのだから。そして、勢いよく部屋に乱入してきた幸村は、バ、バン!!といった感じで片足を床に転がる学園長の上に置き‥‥

というより、思い切り踏み、腕を組んで、ポーズを取っていた。ベッドに縛られ、身動きできないも、顔だけは向ける涙は…… 戸惑う

(ぇ?な、なに!?もしかして、なんか…リアクション求められてる?)

いや、それよりも早く解いて!と切なに願うが‥‥


幸村の目が涙に何かリアクションを求めるようにきらきらと見つめるものだから、

(ど、どうしよっ;)

困惑していた…。と、そこへ‥

「とりゃーっ!!」


黒髪モサモサ頭の葵が窓からいきなり現れ、幸村に飛び蹴りをかます

「あだっ!」

頭に葵の飛び蹴りを喰らった幸村は、痛さ故に頭を押さえ唸る。

「幸村!ざけんなよ!!!あ゙!?てめぇっ…なに、俺を囮にしてくれてんだ!!?この単細胞っ!!しかもなにげに決め台詞吐いた上、馬鹿っぽいポーズまで取りやがって」

葵の顔はまるで般若で。どうやら、相当、幸村にお怒りのようだ…

「な゙、なにすんねんっ!!われぇーっ!!!」

痛む頭を押さえつつも、幸村は飛び蹴りをかました葵に詰め寄る

「てめぇっ考えも無しに部屋に乱入する奴がいるか!! 大体っよくも俺に足を引っ掛けさせてくれたな!おかげで、俺は転ぶし、警備の連中に捕まりそうにはなるし、てめぇのせいだぞ!!!」

そう、セキュリティーは別行動の岬によって解除はされたのだが、敵のアジトなだけに警備が厳重で、やっとこさ入った葵と幸村は…

トラップに見事にかかり、結果、二人して警備員に追っかけられていたのだ。

――‥ が、

涙の身を危惧した幸村は、隣を走る葵の足を引っ掛け、転ばせた。そんな幸村の思わぬ行動に対処できず、葵は見事に、すっ転んだ。

警備員らの目が一斉に葵にターゲットを変えた隙に幸村は、マンマと一人逃げ…

葵は幸村を罵倒しつつ、警備員を打ちのめしたのだった――‥


そして、今に至る。

「ハッ!わいは悪くないで。引っ掛かるマヌケなアンタが悪いんや」

「…んだと!?コラァァァ!!」

引っ掛かったアンタが悪いと反省ゼロの幸村に葵はブチ切れる‥

この二人、相性最悪のコンビだった…。

「ハッ!あんなもん、避けれへんアンタが悪いんや!わいは悪くない。恨むんやったら、自身の反射神経を恨みぃ」

「んだと!? ふざけんなっ!!!」

助けに来たはずの涙をそっちのけに葵と幸村は互いに罵倒。あげく、喧嘩し始めた‥

本当に、何をしに来たんだ、この二人…


しばらくの間、ただ唖然と呆けていた涙だったが、ふと我に返った涙は再び涙腺が潤む。

「わぁーん!!僕を助けてよっ」

っていうか、解いてーっ!と泣きわめく涙、

「「あ゙…」」

涙の存在と当初の目的を思い出した二人は、慌ててベッドの端と端に涙の手を縛りつけている紐を幸村は内ポケットから、折り畳みナイフを取り出し、サクッと切る‥

解放された涙は、乱れた服のまま幸村に抱き着き泣くが、

「あー…ひいらぎ、泣くんは‥構わへんねんけどやなぁ、その‥服を着てくれへんと……

わいも、ちょ~と目のやり場に困んねん」


おー…よしよし、と涙の頭をぽんぽんと軽く叩く幸村だが、本当に目のやり場に困っているようで、涙と目を合わせようとせず視線をずらしていた。
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