室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

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序章 英国フォルティア学院

お兄様、乱入!

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「くすっ… それに、いざという時のために保険もありますからね」

「保険、だと…っ!?何だそれは!!」

クリフェイドは、くすりと小さく笑うと懐から取り出した密封された一枚の透明袋をちらつかせる

「これ、貴方々はよくご存知の代物でしょう…? 特に会長のほうは」

「何です!それは!?」

会長は怪訝な表情を浮かべて密封された袋をまじまじと見つめる・・


「これは…

会長、あの日あなたが僕に飲ませようとした媚薬で『(バンッッ!!!)キサマーーッッ!!私の弟に媚薬なんてモノを使おうとしたのか!!』

   げ…っ!?

クリフェイドは思わぬ人物の登場に最悪とばかりに小さく舌打ちする

なぜ、ヒュー兄さんが此処に…!?

眉間に皺を寄せるクリフェイド、その見つめる先には――‥ 理事長に掴みかかるヒューと、それを引き離そうとするヒューの同僚と部下たちがいた。


「媚薬だとっ!?私はそんな話、一つも聞いてない!!!これは一体どういうことだ!?クリフェイド!!」

理事長の襟元を掴んだまま、クリフェイドに向かって怒鳴るヒュー。

「なっ!!?なんだ!!君たちは!?」

理事長は自分の襟元を乱暴にわし掴む突然の乱入者に驚きを隠せない。

「ああー… ったく、しかたねぇな。オラ!FBIだ!!全員、その場を動くな!」

ヒューの同僚が前に出てくると、FBI警察手帳を見せて言った。……と、それと同時に待機していたヒューの部下たちが理事長たちに銃を向ける。それは一瞬のことだった・・。

「だから私は反対したんだ!!男子校でも……こんな学園に入れるくらいなら、ジルタニアスの経営する学園のほうがまだマシだと…だから、あのとき言ったんだ!!」

クリフェイドに怒るヒュー。


「お前たちも…

シュバルク家の人間に手を出しておいて無事で済むと思うな」

理事長たちに冷たく尖った声で告げるヒューに理事長らは、サーッと顔を青ざめる

「シュ…シュバルク家だと!?そんな馬鹿なっ!!彼はクリストファー・サン・マルタン伯爵じゃないのか――‥!?」

「クリフェイドは私の弟だ!!!公には公表していないが、シュバルク家の末っ子。お前たちのいう名前はクリフェイドが勝手に身分詐称した名前であって実在しない。
…こちらにも非はあるが、それ以前にお前たちのやっていることは犯罪だ!そのうえ、知らなかったとは言え、シュバルク公爵家の人間に手を出した。お前たちは二度と今と同じ生活は送れないだろう」

ヒューの冷酷ともいえる、その言葉に理事長たちは力無く床に膝をつく。その瞳は虚ろだ…。

そう、公爵家の人間に手を出して無事で済むわけがない。ましてや、あのシュバルク公爵家の… 末っ子に、知らなかったとは言え 、手を出してしまったのだ。


ヒューのその言葉の意味は社会的抹殺も含まれていた。言わば、二度と太陽を拝むことができない… そう意味しているのだ。

 ーー…が、

ここで壮絶なる兄弟喧嘩が今に始まろうとは…

このとき、誰も思いもしなかった――‥。
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