室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

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序章 英国フォルティア学院

兄弟喧嘩は程々に。

「…さて、クリフェイド。身分詐称するとは一体どういうことだ?シュバルク家の名前を最初から語れば、そもそもこんなことにはならなかった!ちがうか!?」

ちっ… 面倒くさいな。
なんで、よりによって一番うるさいヒュー兄さん!?

「目立つのが嫌だったんですよ。だいたい、シュバルク家の名前を出していれば確かにこんなことには巻き込まれなかったでしょうが…
力ある者に群がる人間はどこにでもいます。その権威を己のもののように振るまいたがる連中はたくさんいます。その鬱陶しいハエ… いえ、人間共が群がることなど容易に予想がつきます。それこそ何らかの対策をしないほうが馬鹿でしょう?」


ハエ!?今、言い直したけどハエって言ったよな!!!?

先ほどのクリフェイドの発言が聞こえた数人の部下たちはクリフェイドをちらちら見る。そんなヒューの部下たちを無視し、それに…とクリフェイドは小さく溜息つく――‥

「ふぅ…
それに、たぶん僕も我慢できず叩き潰――‥ コホン!ではなく、とにかく事を大きくしたくなかったので…」

叩き潰す、って… 今、絶対言おうとしたよな!?

今度はしっかりとヒューの同僚も聞いた。


「事を大きくしたくないのはわからんでもない。
だが、時と場合によるだろう!?大体、媚薬を飲まされただなんて私は聞いていない!!なぜ、すぐに言わなかったんだ!?」

が、ヒューはというと…

すっかり媚薬の件で頭がいっぱい、いっぱいなのか、クリフェイドの問題発言に全く気づいていない

「そう言いますけどね、それじゃぁ僕はヒュー兄さんに訊きますが、僕はまだ媚薬の件は兄さん達に言ってないんですがね、どうして、知らない・・・・はずの兄さんが知っているんです?おかしいですよね。そもそも、なぜ急に?しかも、部下数人まで連れて。
まるで張り込んでいたみたいに… それにまた出てくるタイミングが随分といいですね」

クリフェイドは言葉を一端切ると、理事長のデスク前に立つヒューの所までゆっくり歩く。


ダンッ!理事長のデスクを力一杯叩いた。そして、目を細め鋭い瞳で目の前のヒューを睨む。

「いい加減にしてくださいよ!?入学前と交わした約束は!!?どこに行ったんです!? 学園にいる間は密偵も家の人間も送らないって…
確か、そういう約束しましたよね?ヒュー兄さん? だったら、この状況はどういうことですか!?」

ん、なんか…

雲行き、が…  怪しい気が・・


クリフェイドとヒューの二人のただならぬ不穏な空気に部下たちは不安げにヒューの同僚を見る。

いやいやいや、こっち見るなって…


そんな周りの人間にお構いなしに、クリフェイドとヒューはというと――‥

「この際っ 言わせてもらいますけど……いい加減うんざりなんですよ!!! 家にいれば執事が付き添い、僕に付きっきり。街に出かけようにも外出時には護衛を付けられ、SPに囲まれた僕は常に人の注目!まともに一人で買い物もできやしない!!」

「クリフェイドっ!私は心配してお前にSPを付けているんだ!!今回だってそうだろう… 護衛を付けなかった結果、こうなった!
そもそも、お前にはジルタニアスの経営する学園に入れるつもりだったんだ!!身内の経営する学園のほうが安心だからだ!!!

だから、私は反対した!!!そもそも学園に密偵がいなかったら、お前はどうなっていた!!?こんな下衆共に犯されていたかもしれないんだぞ!?それをきちんとわかっているのか?」

「な…んですって?

密偵?今、密偵・・って…
そう、今言いましたよね?ヒュー兄さん」

クリフェイドの目がいっそう細められる。

クリフェイドとヒューの兄弟喧嘩、それにさらに拍車が掛かろうとしていた――…。
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