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序章 英国フォルティア学院
僕はリアリストなんです!
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「はぁー…面倒くさいですけど、しかたないですね。実は、アスベル君のお父さんと会ったのは二度目なんです。昨日、隙をついて僕は理事長室へ忍び込んだんですよ。そのときは、アスベル君のお父さんが疲れきって眠っていたので勝手に血液を採取して、その場でビタミン剤と中を清浄する薬を投与しました。よって今、彼に飲ませたのは…
今さっきまで身体に篭っていた熱を冷まさせる薬です。一瞬、熱くなったのは身体に篭った熱を一気に集めるため、次に寒気を感じたのは…集まった熱を外に逃がす、言わば、汗となり水蒸気となったわけです。身体に篭った熱を逃がしたんです、お父さんのほうはもう大丈夫でしょう…
ただ、問題はアスベル君ですね」
クリフェイドの言葉にアスベルの父親は、ハッ!とクリフェイドを見る
「アスベルは…っ だったらアスベルは何故良くならないんだ!!!?」
アスベルの父親はクリフェイドに縋りつくように訴える。なぜ、息子は今も苦しんでいるんだ?と‥。
それにクリフェイドは、つまらなさそうに言った
「簡単ですよ。彼の場合、特殊なケースなんです。中で薬に対し、拒絶反応が起こってるんで しょう。しかし、時間が掛かりすぎですね…」
今だ呻き声を上げるアスベルを見つめるクリフェイドは何を思ってか、アスベルに近付いた…
「クリフェイド…?」
ヒューはクリフェイドの行動に怪訝な表情を向ける
その刹那――‥
―― ガッ!!
アスベルの襟首を掴んで自分に引き寄せると、そのまま… アスベルの腹に拳を打ち込んだ
「ぐぁ゙ッ!かは…ッ!!」
途端、アスベルはドンっ!とクリフェイドを押すと口を押さえて床にうずくまる…
「アスベルっっ!!!」
父親は床に踞るアスベルに駆け寄ろうとするも、黒スーツの男たちに押さえつけられ身動き取れない
「アスベルーーっっ!!」
悲鳴に近い声をあげる
「ちょっと…っ!」
アゼルやヒューもクリフェイドの行動に険しい表情を浮かべる
「クリフェイド…」
そんな二人にクリフェイドは五月蝿いとばかりに顔をしかめた
「うるさいですね… ちょっと黙ってて下さいよ」
クリフェイドがヒューたちに迷惑げに言った途端、アスベルの呻く声はさらに大きくなり‥
ハッ!と顔を上げクリフェイドは叫んだ
「彼から離れて下さい」
黒スーツの男たちはクリフェイドの言葉に直ぐにヒューたちを引きずって引き離す。
「な、何をするんだ!!?アスベルっ!アスベルアスベルっっ!!」
アスベルの父親も抵抗するも、圧倒的な力の差でそれも無意味と成す…
「まったく、君の弟は何をしようと――‥」
アゼルが呟いた途端、アスベルが何かを口から吐いた
「ぅ゙ッ!ア゙ッげほーーっ!!!」
ビチャーッ!
「…ゼェッ…―ハァ……ゼェッ…」
嘔吐し、口の中に残る酸の苦味にアスベルは苦しげに顔を歪ませる。
皆が安堵したつかの間、クリフェイドだけはアスベルが出した嘔吐物を鋭い瞳で睨みつける…
そこには、うにょうにょと気味悪く蠢く物体が・・・。
「ひっ…ー━━!!!!」
その、うにょうにょと蠢く物体を見たアスベルは小さく悲鳴を上げる。無論、アスベルだけではない。
ヒューやアゼル、アスベルの父親や部下たちに黒スーツの男らまでもがその蠢くモノを見て顔を引き攣らせていた
「な、何だあれは!!!?」
ヒューたちが驚くのも無理はない。なにせ、アスベルが吐き出した嘔吐物に幅2cm、長さ20cm程の大きな・・・
――‥ ミミズみたいなモノがうにょうにょと、うねっているのだから--
ある意味、別の意味での(エイリアン的)ホラーである‥。
うにょうにょと蠢くデカいミミズらしきモノをアスベルは青ざめた顔で見つめていた。
無理もない。自分の口から吐き出したものなのだ。アレが今まで自分の身体の中にいたと思うと青くなるのも仕方ない‥
「えっ… まさか、本気でエイリアンとか?!!」
顔を引き攣らせるアゼルに対し、クリフェイドは冷めた口で言う
「なに言ってるんですか。エイリアン?幽霊??そんな非科学的なモノなんているわけないでしょう。第一、超現実主義者でリアリストのこの僕がそんな存在を認めませんよ。
……それと、ついでに言うと、あのデカミミズは寄生虫です」
そう、この頃のクリフェイドは科学を愛するリアリスト。超がつくほどの現実主義者で…
非科学的なモノはもちろん、幽霊やエイリアン。怪奇現象など科学的に解明されないモノは決して信じなかった‥。
「……ヒュー、君の弟って……夢がないね」
「…………」
アゼルの物言いにヒューは無言だ。
―― パチンッッ
クリフェイドは徐に胸ポケットから折り畳みナイフを取る。
ヒューッッ!
放たれたナイフは風を切り…
ザクッ!
鋭く尖った鋭利な刃の先がデカミミズの中枢を深々 と刺していた。
ピクピク、と痙攣するデカミミズ…。やがて一分も経たないうちに動かなくなった。
「見た目はミミズみたいですが、実際はミミズのように細胞が分裂したりしませんので殺してしまえば、それで終わりです…」
と言うと、クリフェイドはデカミミズから視線を外し、酷く凍てつくような冷めた目で理事長親子を見据えた-。
今さっきまで身体に篭っていた熱を冷まさせる薬です。一瞬、熱くなったのは身体に篭った熱を一気に集めるため、次に寒気を感じたのは…集まった熱を外に逃がす、言わば、汗となり水蒸気となったわけです。身体に篭った熱を逃がしたんです、お父さんのほうはもう大丈夫でしょう…
ただ、問題はアスベル君ですね」
クリフェイドの言葉にアスベルの父親は、ハッ!とクリフェイドを見る
「アスベルは…っ だったらアスベルは何故良くならないんだ!!!?」
アスベルの父親はクリフェイドに縋りつくように訴える。なぜ、息子は今も苦しんでいるんだ?と‥。
それにクリフェイドは、つまらなさそうに言った
「簡単ですよ。彼の場合、特殊なケースなんです。中で薬に対し、拒絶反応が起こってるんで しょう。しかし、時間が掛かりすぎですね…」
今だ呻き声を上げるアスベルを見つめるクリフェイドは何を思ってか、アスベルに近付いた…
「クリフェイド…?」
ヒューはクリフェイドの行動に怪訝な表情を向ける
その刹那――‥
―― ガッ!!
アスベルの襟首を掴んで自分に引き寄せると、そのまま… アスベルの腹に拳を打ち込んだ
「ぐぁ゙ッ!かは…ッ!!」
途端、アスベルはドンっ!とクリフェイドを押すと口を押さえて床にうずくまる…
「アスベルっっ!!!」
父親は床に踞るアスベルに駆け寄ろうとするも、黒スーツの男たちに押さえつけられ身動き取れない
「アスベルーーっっ!!」
悲鳴に近い声をあげる
「ちょっと…っ!」
アゼルやヒューもクリフェイドの行動に険しい表情を浮かべる
「クリフェイド…」
そんな二人にクリフェイドは五月蝿いとばかりに顔をしかめた
「うるさいですね… ちょっと黙ってて下さいよ」
クリフェイドがヒューたちに迷惑げに言った途端、アスベルの呻く声はさらに大きくなり‥
ハッ!と顔を上げクリフェイドは叫んだ
「彼から離れて下さい」
黒スーツの男たちはクリフェイドの言葉に直ぐにヒューたちを引きずって引き離す。
「な、何をするんだ!!?アスベルっ!アスベルアスベルっっ!!」
アスベルの父親も抵抗するも、圧倒的な力の差でそれも無意味と成す…
「まったく、君の弟は何をしようと――‥」
アゼルが呟いた途端、アスベルが何かを口から吐いた
「ぅ゙ッ!ア゙ッげほーーっ!!!」
ビチャーッ!
「…ゼェッ…―ハァ……ゼェッ…」
嘔吐し、口の中に残る酸の苦味にアスベルは苦しげに顔を歪ませる。
皆が安堵したつかの間、クリフェイドだけはアスベルが出した嘔吐物を鋭い瞳で睨みつける…
そこには、うにょうにょと気味悪く蠢く物体が・・・。
「ひっ…ー━━!!!!」
その、うにょうにょと蠢く物体を見たアスベルは小さく悲鳴を上げる。無論、アスベルだけではない。
ヒューやアゼル、アスベルの父親や部下たちに黒スーツの男らまでもがその蠢くモノを見て顔を引き攣らせていた
「な、何だあれは!!!?」
ヒューたちが驚くのも無理はない。なにせ、アスベルが吐き出した嘔吐物に幅2cm、長さ20cm程の大きな・・・
――‥ ミミズみたいなモノがうにょうにょと、うねっているのだから--
ある意味、別の意味での(エイリアン的)ホラーである‥。
うにょうにょと蠢くデカいミミズらしきモノをアスベルは青ざめた顔で見つめていた。
無理もない。自分の口から吐き出したものなのだ。アレが今まで自分の身体の中にいたと思うと青くなるのも仕方ない‥
「えっ… まさか、本気でエイリアンとか?!!」
顔を引き攣らせるアゼルに対し、クリフェイドは冷めた口で言う
「なに言ってるんですか。エイリアン?幽霊??そんな非科学的なモノなんているわけないでしょう。第一、超現実主義者でリアリストのこの僕がそんな存在を認めませんよ。
……それと、ついでに言うと、あのデカミミズは寄生虫です」
そう、この頃のクリフェイドは科学を愛するリアリスト。超がつくほどの現実主義者で…
非科学的なモノはもちろん、幽霊やエイリアン。怪奇現象など科学的に解明されないモノは決して信じなかった‥。
「……ヒュー、君の弟って……夢がないね」
「…………」
アゼルの物言いにヒューは無言だ。
―― パチンッッ
クリフェイドは徐に胸ポケットから折り畳みナイフを取る。
ヒューッッ!
放たれたナイフは風を切り…
ザクッ!
鋭く尖った鋭利な刃の先がデカミミズの中枢を深々 と刺していた。
ピクピク、と痙攣するデカミミズ…。やがて一分も経たないうちに動かなくなった。
「見た目はミミズみたいですが、実際はミミズのように細胞が分裂したりしませんので殺してしまえば、それで終わりです…」
と言うと、クリフェイドはデカミミズから視線を外し、酷く凍てつくような冷めた目で理事長親子を見据えた-。
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