室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

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序章 英国フォルティア学院

お酒は程々に!

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すぐに黒スーツの男たちは理事長を取り押さえた。

アルコールの度が強いのか、辺りに充満するアルコールの臭いにヒューたちは顔をしかめる。

ヒューは、ハッとするなりクリフェイドの安否を確認する。どうやら、投げたワインはクリフェイドに当たることなく、隣の壁に当たって割れたようだ。

「クリフェイド!?大丈――… クリフェイド・・?」

俯き無言を貫くクリフェイドの異変にヒューは気づく。

おかしい。なぜ、反応しないんだ…?

いつもなら、何か反応があるものだが…っハッ!まさか怪我をしたのか!?飛んできたガラスの破片で怪我でもしたんじゃ…っ

心配のあまり少し青ざめるヒュー…。だが、別の意味でこれからさらに青ざめることになろうとは・・・ このときは誰も知るよしなかった-。

 ポタッ…

          ポタポタッ

ツゥー…と、クリフェイドの頬を伝う赤い滴、それは赤ワインの液体だった。

――くんっ

クリフェイドの鼻がピクリと動く。

今だ無言で佇むクリフェイドにヒューは心配顔だ

「……クリフェイド?その、大丈夫なのか‥?」


理事長が投げた赤ワインが割れ、クリフェイドはワインの雨にずぶ濡れ‥  そんなクリフェイドに、さすがのヒューも声をかけにくいのか、言葉を選びつつ声をかける。

だが、クリフェイドは一向に反応を示さない。さすがに心配になったヒューは駆け寄ろうとする、が・・

「ちょっと待って、ヒュー。彼、様子がおかしいよ」


クリフェイドの様子がおかしいことに気づいたアゼルはヒューを呼び止める

  と、そのとき――‥


クリフェイドは、ゆっくりと俯いていた顔を上げた。ワインの液体が伝う頬に手を当て指先で掬うと……

ーーそれを口許へ持っていき、ぺろっと舌先でワインの味をゆっくり味わうように皆に見せつけるように妖艶に舐めた。


く… クリフェイド!!?

妖艶な笑みを浮かべるクリフェイドの目はすっかり据わっていた。つまり、酔っているのだ。

その男女関係なく妖しく誘うような甘く妖艶なフェロモンを振り撒くクリフェイド、その危うい雰囲気はまるで下の者をひざまずかせる女王様…


  と、思いきや…

「お… い…てめぇっ ざけんなよ!おっさん!!!?少し、いい面してるからって調子乗ってんじゃねーよ!? こンのっ下衆野郎がっっ!!!!」

スーツの男たちから強引に理事長を引き離すと理事長の綺麗に手入れされた髪をわし掴み、大理石の床に叩きつけた。


「ぐっ…!ぁ゛っ」

顔面から大理石の床に叩きつけられた理事長は、その衝撃からか頭から血を流し、痛さ故に呻く。だが…

クリフェイドの暴走は止まらない…

これはまだ暴走の序の口に過ぎなかったーー。
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