室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

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序章 英国フォルティア学院

出生の秘密②

「自然な出会い? 」

って、角と角の出会い頭でぶつかる、とか…?

アゼルは首を捻りヒューに怪訝な顔を向ける‥


「クリフェイドの父親が乗った車にぶつかったそうです。実際はきっかけを作るためにわざとぶつかったんですよ


車の通るルートを把握しておいて待ち伏せし、
タイミングを見計らって道路へ飛び出す。

そのとき、彼女はなるべく身体への衝撃がないように絶妙なタイミングで車のボンネットに飛び乗った… そのときは動揺のあまり誰も気づかなかったそうですが」

「それってつまり…」

「偽装事故。しかも、彼女は出会い頭から身体の至る所に怪我をしていたそうです。恐らく、疑われないようにでしょう…。
事故直後、車から降りたクリフェイドの父親が女に駆け寄ると、女はしがみつくように言ったんです。

『た、助けてくださいっっ!!私、人に追われてるんです!!!お願いっっ!!』

後ろから追ってくる男たちに事情を察した先代ボス、クリフェイドの父親は助けを求めるその女を車に乗せ、アジトに…

組織に連れ帰ったそうです。そして、女を匿ううちにクリフェイドの父親は女を意識し始め、女はクリフェイドの父親を意識し、 いつしか二人は相思相愛という仲になった…」


「ですが、それは見かけだけ…

女にクリフェイドの父親に対しての男の意識もなにもなかった。ただ女は、自分に与えられた任務を果たすことばかり考えていた。

そう、彼女の与えられた役目は‥

世界最強といわれる英国マフィア――‥ファミリーのボスの血を引く子供を産み、――‥カンパニーの社長の元に連れていくという任務だったんです」

えっ… ちょっと待って。それじゃあ、彼女は――‥


「その女ってまさか…」

「えぇ。殿下のお察しの通りです。彼女は――‥クリフェイドの母親です」

重苦しい空気の中、ヒューは言った。

「女はやがて子供を身篭りました。二人にとっての最初の子供…
生まれた長男は父親に似ていた。女はさっそく社長の元へ連れて行こうとした。が、予想外なことに父親は初めての自分の子供に感動し、付きっきりで面倒を見た。

時間さえあれば自分の子供の世話をする男の行動がそもそもの女にとって予想外だったんです…。
男が子供から離れる機会を狙っていた女は次々と身篭った。ですが、最強と恐れられることだけあって、

他のマフィアから自分の子供が狙われることを予測していた男は、――‥ファミリーの人間を一人につき複数で子供の世話係として、護衛として付けさせました」


ですが…と、眉間に皺を刻み込んだヒューは尚、話を続ける

「ですが、女が六人目の子供を身篭ったとき、同時に七人目の子供も授かった。… そう、クリフェイドは双子として生まれ、六番目の…双子の兄が先に出たため、クリフェイドは七番目の末っ子として生まれました」

えー…。あれがもう一人?

一瞬、顔を歪ませたアゼルの表情にヒューは気付くことなく、話をさらに進めたーー。
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