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序章 英国フォルティア学院
出生の秘密⑤
「あのときのことは… 今でもよく覚えています。虚空を見つめる瞳に生気はなく、まるで生きるだけの人形のようでした。
そのとき、あの子の担当だった医者にこう告げられました…
『彼が記憶を失った原因は、周りの環境による極度のストレス、それに…
衝撃的な… 出来事によるショックの二つの原因があげられます。失礼ですが……… 貴方々は彼と赤の他人と言えど、共に同じ家に暮らしていらっしゃったんですよね?
そのうえ、彼の身を保護している立場だと…
なのに、貴方々はストレスの溜まるような… それも極度なストレスの溜まるような環境に……… あんな幼い… 小さな子供を置いていたのですか?』
そう、冷ややか目で医者に言われたんです。ですから、私たちがあの子を傷つけたと言ってもおかしくないんですよ」
肩を震わせ、拳を握りしめるヒュー… 。アゼルはただ無言で見つめる
「クリフェイドは賢い。恐らく… とっくに気づいているでしょう。私たちが嘘を教えていることに……。 ですが、何も言わないのはあの子なりの気遣いだと思います。母親が死んでいるという嘘も…」
ピクッ!アゼルはその言葉に眉をひそめた
「なんだって…? 母親は… 女は生きてんの!?」
「えぇ、恐らく。彼女は生きているはずです。…クリフェイドの服についていた血は…… たぶん、彼女を見つけた――‥カンパニーの社長の部下にやられた彼女の血だと思います。
あのカンパニーの――‥社長は、まだクリフェイドを諦めていないでしょう。連れ戻そうと考えるなら、女を生かしたほうが何かと都合がいい。
監視の元、まだ生かされているはずです…
それと、片割れの兄の行方も何処にいるのか…。クリフェイドと引き離された後、彼は忽然と姿を消したとの情報も…。
――‥カンパニーの社長がクリフェイドを血眼になって捜しているのも、それが理由だと‥ 思います」
確かに… 複雑だねぇ? ややこしいくらい。ん、あれ… だったら――‥
「正式に彼が養子になったのはいつなんだい?」
「私が気づいたときにはもう、父が正式な手続きを終え、書類上あの子はシュバルク公爵家の養子となっていました。
……恐らく、あの子が緊急入院し、家族の元へ帰ることが許されないと知ったときに… 父が決めたんだと思います」
ふと、顔を上げ柔らか な笑みを浮かべるヒュー。そこには弟を愛する兄の姿があった…。
「………クリフェイドを突き放しているとはいえ、――‥ファミリーはクリフェイドを完全に見捨てたというわけでもなさそうです。
表立って来はしませんが、部下からあの子の近辺で三男の兄の目撃情報があるので、恐らく見守っているのではないかと…。口ではああ言ってますが、力を持たない弟を思ってのことでしょう」
ヒューは、くるりと振り返る。そこには意を決したような真剣な顔…
「王子、どうか今お話ししたことは全て胸だけにお納めください。……お願いします」
震える声で懇願するヒューにアゼルはふと笑みを浮かべた
ぽん…っ!
「やだねぇ… 君は俺がどういう王子か知ってるでしょ?」
アゼルは満面な笑顔で言った
「前王の父さんと違って俺や現王の兄さん、弟のアシスは生真面目じゃないからねー… 頭も父さんみたいに堅くないし。
それに、俺がわざわざ告げ口するような人間だと思う? 」
ニコニコのアゼルにヒューは、い、いえ…と少々困惑気味に返す。
「答えは否、ちがうね!第一、告げ口なんてつまらないし…
俺がインターポールに入ったのだって、正義もなにも、警察を嘗めてる犯罪者を… 屈辱感を味わせ、せせら笑うために入ったようなもんだよ?あれ、けっこう優越感味わえるからいいんだよね…」
い、今のは…っお、王子に…警察に… あるまじき発言じゃないですか!?
「お、王子っ!」
ヒューは今のアゼルの発言に慌てて諌める。そんなヒューの慌てようにクスッと小さく笑うアゼルは人差し指を立て口元に当てた
「ふふっ…
それじゃぁ、これでお相子だね。だって今の俺の発言は…」
くるりとヒューに振り返って言った
「王子にあるまじき発言だからね…」
それじゃあ、この話しはおしまい! そういうとアゼルは宮殿へと帰る。その顔は玩具を見つけた子供のように… 輝いた瞳をして。
あぁ、これから愉しくなりそうだね――‥ ふふっ…。
そのとき、あの子の担当だった医者にこう告げられました…
『彼が記憶を失った原因は、周りの環境による極度のストレス、それに…
衝撃的な… 出来事によるショックの二つの原因があげられます。失礼ですが……… 貴方々は彼と赤の他人と言えど、共に同じ家に暮らしていらっしゃったんですよね?
そのうえ、彼の身を保護している立場だと…
なのに、貴方々はストレスの溜まるような… それも極度なストレスの溜まるような環境に……… あんな幼い… 小さな子供を置いていたのですか?』
そう、冷ややか目で医者に言われたんです。ですから、私たちがあの子を傷つけたと言ってもおかしくないんですよ」
肩を震わせ、拳を握りしめるヒュー… 。アゼルはただ無言で見つめる
「クリフェイドは賢い。恐らく… とっくに気づいているでしょう。私たちが嘘を教えていることに……。 ですが、何も言わないのはあの子なりの気遣いだと思います。母親が死んでいるという嘘も…」
ピクッ!アゼルはその言葉に眉をひそめた
「なんだって…? 母親は… 女は生きてんの!?」
「えぇ、恐らく。彼女は生きているはずです。…クリフェイドの服についていた血は…… たぶん、彼女を見つけた――‥カンパニーの社長の部下にやられた彼女の血だと思います。
あのカンパニーの――‥社長は、まだクリフェイドを諦めていないでしょう。連れ戻そうと考えるなら、女を生かしたほうが何かと都合がいい。
監視の元、まだ生かされているはずです…
それと、片割れの兄の行方も何処にいるのか…。クリフェイドと引き離された後、彼は忽然と姿を消したとの情報も…。
――‥カンパニーの社長がクリフェイドを血眼になって捜しているのも、それが理由だと‥ 思います」
確かに… 複雑だねぇ? ややこしいくらい。ん、あれ… だったら――‥
「正式に彼が養子になったのはいつなんだい?」
「私が気づいたときにはもう、父が正式な手続きを終え、書類上あの子はシュバルク公爵家の養子となっていました。
……恐らく、あの子が緊急入院し、家族の元へ帰ることが許されないと知ったときに… 父が決めたんだと思います」
ふと、顔を上げ柔らか な笑みを浮かべるヒュー。そこには弟を愛する兄の姿があった…。
「………クリフェイドを突き放しているとはいえ、――‥ファミリーはクリフェイドを完全に見捨てたというわけでもなさそうです。
表立って来はしませんが、部下からあの子の近辺で三男の兄の目撃情報があるので、恐らく見守っているのではないかと…。口ではああ言ってますが、力を持たない弟を思ってのことでしょう」
ヒューは、くるりと振り返る。そこには意を決したような真剣な顔…
「王子、どうか今お話ししたことは全て胸だけにお納めください。……お願いします」
震える声で懇願するヒューにアゼルはふと笑みを浮かべた
ぽん…っ!
「やだねぇ… 君は俺がどういう王子か知ってるでしょ?」
アゼルは満面な笑顔で言った
「前王の父さんと違って俺や現王の兄さん、弟のアシスは生真面目じゃないからねー… 頭も父さんみたいに堅くないし。
それに、俺がわざわざ告げ口するような人間だと思う? 」
ニコニコのアゼルにヒューは、い、いえ…と少々困惑気味に返す。
「答えは否、ちがうね!第一、告げ口なんてつまらないし…
俺がインターポールに入ったのだって、正義もなにも、警察を嘗めてる犯罪者を… 屈辱感を味わせ、せせら笑うために入ったようなもんだよ?あれ、けっこう優越感味わえるからいいんだよね…」
い、今のは…っお、王子に…警察に… あるまじき発言じゃないですか!?
「お、王子っ!」
ヒューは今のアゼルの発言に慌てて諌める。そんなヒューの慌てようにクスッと小さく笑うアゼルは人差し指を立て口元に当てた
「ふふっ…
それじゃぁ、これでお相子だね。だって今の俺の発言は…」
くるりとヒューに振り返って言った
「王子にあるまじき発言だからね…」
それじゃあ、この話しはおしまい! そういうとアゼルは宮殿へと帰る。その顔は玩具を見つけた子供のように… 輝いた瞳をして。
あぁ、これから愉しくなりそうだね――‥ ふふっ…。
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