室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

文字の大きさ
63 / 516
序章 英国フォルティア学院

不意打ちに… つい、苛めたくなるんです

昴はクリフェイドの言葉に頷き言った


「それも、ソロモンの鍵の力です。覚醒した今、貴方は… そういった連中と言葉を交わすこともできれば触れることもできます。

それと同時に貴方にとって、古代文字を解読することも簡単でしょう… ですが、これだけは覚えておいてください。貴方の… その強大な力を手に入れたい連中は何も人外だけではありません。力を欲する人間もまた… 貴方を狙ってくるでしょう」

……何故?


クリフェイドは片眉をピクリと吊り上げる…

「特に黒魔術に詳しい連中なら、ソロモン王の鍵の存在を熟知しています。宗教団体もまた… 要注意してください。……その力は世界を支配することも可能なのですから」

昴にいきなり狙われてます、宣言されたクリフェイドは、げんなり……。


「昴は… 悪魔なんだろう?」

「えぇ、正確にはハーフになりますが」

「……だったら」

少し言いにくそうに、口をモゴモゴするクリフェイドに代わり昴が口を開いた


「私が…

なぜ、坊ちゃんを狙わないか… ですか? 簡単なことですよ。私は別に何も望んでいませんからね。力なんて、いりませんよ。それに、私はそこらの雑魚とちがって強いですし」


今の日常が心地好いですから…

昴はふわりと笑った。

そう… 貴方という方と過ごす、この日常が… 私にとってかけがえのないものなんですよ?


「まぁ、坊っちゃんの才は実の父親から受け継いだもの…

元から備わっていた洞察力や推理力などは関係ありませんよ?あくまで、今までと違う力が目覚めただけのことですから…」


そこで言葉を切ると昴は、サッと白い布から銀のプレートを出した。そのプレートには… 出来立ての朝食が乗っていた。


「さ、つまらない話は終わりにして朝食を召し上がりましょう…?」

まさに手品だった。

昴が用意した朝食を取るクリフェイドはふと疑問を覚えた

そういえば…


「…昴、お前確か悪魔と吸血鬼のハーフだって言ったな? 」

クリフェイドが何を言いたいのか見当つかない昴は首を傾げつつ答える

「えぇ、言いましたが…?」

「その… 吸血鬼の血も流れているんだろう? やはり、血を吸ったり……しているのか?」


そのクリフェイドの思わぬ言葉に昴は笑う

「クスッ… そんなことを心配してるんですか? 安心してください坊ちゃん。私は確かに半分は吸血鬼の血も流れていますし、牙もありますが、ハーフ故に血を吸わなくても大丈夫なんですよ。

まぁ、血を吸えないこともありませんが……

別に血を飲みたいわけではありませんからね。無理して飲む必要もないでしょう?」


くすっ、

「あぁ、ですが…」


一端、言葉を切り、昴はクリフェイドの顎を掬い取り持ち上げると指先で、つぅー…っと唇を撫でる

「くすっ、…ですが、坊ちゃんの血なら喜んで頂きますよ?」

「な、な、ななな…っ す、すすば…」


パクパクする口を腕で隠し、赤面した表情でぷるぷる震える坊ちゃんは本当に可愛らしい。つい、苛めたくなります。あぁ、ですがあまり苛めると嫌われてしまいますね。

「プッ… くすっ、冗談ですよ坊ちゃん」


私自身、食事も人間と同じものを取ってますしね…。と昴は朝食を終えたクリフェイドの食器類を片付けながら言った。

「…そういえば、坊ちゃんは昔のことを覚えてないんですよね?」

不意に昴が訊いてきた

「あ、あぁ、覚えてないが…」

それがどうかしたのか?と目で問うクリフェイドに昴はクリフェイドの髪を撫でて言った

「……坊ちゃんは覚えてないでしょうが、昔は坊ちゃん… 視えていたんですよ? 昨日、悪魔を視たように…」

………は!?

「僕は知らない」

「それはそうですよ。なにしろ随分昔のことですし、坊ちゃんはまだ幼児でしたからね… おまけに記憶まで失ったんです。覚えてるはずがありませんよ」

どこか懐かしそうに話す昴、その様子にクリフェイドは首を傾げた…

「随分と懐かしそうに話すんだな…」

クリフェイドのその言葉に昴はくすりと笑う

「懐かしく思えるのも仕方ありませんよ。昔… 一度お会いしてますしね。貴方の幼少期の頃に。。」

「え――‥?」

そう、貴方がまだ家族の元を離れる前……、本当の家族に囲まれた生活を送っていた幼い貴方に昔、一応会ってるんですよ? 今はまだ教えませんが…。

だって、そうでしょう?

貴方にとってあの出来事(母親)は忌まわしい過去… 忌まわしい記憶に違いはないのですから――…。


昴の憂いた表情にクリフェイドはただ無言になる‥

ふっ… 昴は心配そうに眉を寄せるクリフェイドに笑みを向けると会釈して言った

「坊ちゃん、旦那様が朝食後、リビングに来るようにと…」

「わかった」

昴の様子にどこか釈然としないもクリフェイドは何も言わず、短く返事だけ返すとリビングへ向かった――‥
感想 42

あなたにおすすめの小説

笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。 が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。 そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め── ※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。 ※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。 ※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。 ※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。

目立たないでと言われても

みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」 ****** 山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって…… 25話で本編完結+番外編4話

天啓によると殿下の婚約者ではなくなります

ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。 フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。 ●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移、回帰の要素はありません。 性表現は一切出てきません。

百合豚、男子校に入る。

BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。 母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは―― 男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。 この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。 それでも眞辺は決意する。 生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。 立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。 さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。 百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。

灰かぶり君

渡里あずま
BL
谷出灰(たに いずりは)十六歳。平凡だが、職業(ケータイ小説家)はちょっと非凡(本人談)。 お嬢様学校でのガールズライフを書いていた彼だったがある日、担当から「次は王道学園物(BL)ね♪」と無茶振りされてしまう。 「出灰君は安心して、王道君を主人公にした王道学園物を書いてちょうだい!」 「……禿げる」 テンション低め(脳内ではお喋り)な主人公の運命はいかに? ※重複投稿作品※

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

聞いてた話と何か違う!

きのこのこのこ
BL
春、新しい出会いに胸が高鳴る中、千紘はすべてを思い出した。俺様生徒会長、腹黒副会長、チャラ男会計にワンコな書記、庶務は双子の愉快な生徒会メンバーと送るドキドキな日常――前世で大人気だったBLゲームを。そしてそのゲームの舞台こそ、千紘が今日入学した名門鷹耀学院であった。 生徒会メンバーは変態ばかり!?ゲームには登場しない人気グループ!? 聞いてた話と何か違うんですけど! ※主人公総受けで過激な描写もありますが、固定カプで着地します。 他のサイトにも投稿しています。

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。