室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

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序章 英国フォルティア学院

余計な詮索をして巻き込まれるのはごめんだ。

二人が話していると、

 コツーー…

「おや、クリフェイド君じゃないか。それに…」


ポール・ヒューマン牧師が向こうから歩いてきた

「……ショーン・パトリックです」

「そうかい。パトリック君か…。いやぁ、クリフェイド君はなかなか馴染めてなさそうで心配だったが」

じろじろ…

「いやはや、もう君のような良い友達が出来たようで安心したよ」

ヒューマン牧師は自慢の白い髭を撫でながら目を細める

「――‥そういえば「すみません、ヒューマン牧師。僕たち急いで礼拝堂へ向かわなければいけないので…」


ヒューマン牧師の登場になぜか顔を青ざめたパトリック。クリフェイドはヒューマン牧師の声を遮り中断させると、軽く頭を下げ、パトリックの手を引いてその場所から離れた…。

「…フンッ!ただの生意気そうなガキかと思っていれば… 少しは賢そうだな」

ヒューマン牧師の呟きにクローシェは僅かに眉をひそめた。

「………」

――‥あの牧師…

だいぶ離れたところで引いていた手を離すとクリフェイドは考え込むように顎に手を当てる。

「…ごめん。

俺さ、あの人… 苦手?いや、怖いんだ。 階級もかなり上の位に就く人なんだけどさ、

あまり良くない噂もあるし… 」


怖い… か… 。

「…ヒューマン牧師だったけか?確かに、嫌な気を感じるが……
それにしても、噂というのが気になるな」


ちらりと横目で問うクリフェイドの視線に気付いたパトリックは周りに人がいないことを再度確認すると、声を低くして言った

「あの人は…

ヒューマン牧師は、孤児院から… 俺たちぐらいの子供を引き取るんだ」

……保護?


「けど!おかしいんだよ… 一つじゃない!あちこちの孤児院から子供を引き取っては… そのまま何処かに連れていくんだ。しかも、戻ってこないんだぜ?

おかしいだろ!?この教会が… 牧師が保護するんだったら… 他の牧師たちや子供の俺たちに紹介するはずなんだ。
だけど、ヒューマン牧師は引き取った孤児院の子供たちを紹介することもなく… 何処かに連れて行ったんだ。皆、孤児院の子供がヒューマン牧師に連れて行かれるところしか見ていないからさ、

なんか、おかしいんだろ?だから… こんな噂があるんだ。ヒューマン牧師は孤児院から引き取った子供たちを密かに行っている儀式に使ったんじゃないかって…。」

それは――‥


「それは… 」

「そうだよ、生け贄。それも、ヒューマン牧師の噂の一つなんだ…
生け贄を必要とする禁忌の行為、黒魔術。あの人はその黒魔術で悪魔を召喚している、という噂。……なんでも、ここの後継者のことを巡って暗殺を企てているとか… 信憑性薄いけど、

俺はやっぱ怖いな」


ずいぶん弱気なパトリックを見据えていたクリフェイドは顎に手を当てると、しばし無言になった。

噂――‥ そう、あくまで噂だ。

「…確かに、あの男は僕もあまり好きじゃないが…… あくまで噂だからな。ただの目撃だけじゃ、それは事実とは言い難い…」

クリフェイドは顎から手を離し、パトリックを見据えた

「……もしも事実だったとしても、向こうが古狸に違いはないからな。証拠らしき痕跡をみすみす残すような馬鹿ではないだろう。


それに――‥

どっちにしろ、僕には関係ないことだ」


クリフェイドはキッパリと言った

「は!?何でだよっ?!」

まさかの返答に驚きを隠せないパトリック、そんな彼をクリフェイドは冷ややかな目で見据えた

「馬鹿か!?お前…

証拠があって、初めて動けるんだ。証拠はない、信憑性の薄い噂に一度二度の目撃じゃ、話にもならない…


つまり、僕が言いたいことはだな?

余計な詮索はするな、ということだ。あの男… ヒューマン牧師とできるだけ関わるな、そういうことだ」


理解できたか?と視線で問うクリフェイドにパトリックは些か納得いかないようだ

「けどよっっ!!」

「その頭によく叩き込んでおけ…


余計な詮索は死をもたらす。死にたくなければ僕の忠告を聞いておくんだな 」

「………」

無言で立ち尽くすパトリックにクリフェイドは淡々とした口調で告げた

「そう、関わらなければいいだけの話だ…」

まるでその言葉はパトリックに言っているよりも、寧ろ自身にそう言い聞かせているようにも聞こえた。
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