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序章 英国フォルティア学院
お馬鹿さんにもわかるように説明しますね
「えっ!?そ、そんなっ 理事長、誤解ですっっ!!!僕と彼は何も…っ!!」
「理事長室で、ゆっくり話を聞こうか」
これ以上にない満面の笑みを浮かべるジルタニアスに青ざめたウィークリーは理事長室へと引きずられて行った…
それを見届けたクリフェイドはいつもの仏頂面に戻ると踵を反し、来た道を戻っていく
「ちょ… ちょーーっっと待つーッッス!!!!」
と、向こうから全力疾走してくる見覚えのある生徒の顔に思わず顔をしかめた。
「何か用ですか?ノクス君」
明らか、面倒くさいというクリフェイドの表情に気づいたノクスは眉間を寄せて詰め寄る‥
「く‥ん…!?いや、そんなことよりもっだっち!さっきのアレはどういうことッスか!?
なんで、あんな挑発させるような真似をしたっス!!?彼が見ていたら…っ 次は室ち…副会長がっっ!!」
標的にされるっち!と震える拳を握りしめるノクス‥
「何もわかっていませんね…」
ノクスの言葉にクリフェイドは小さく吐息を漏らすと、くるりと振り向き眼鏡のブリッジを指先で軽く押し上げた
「だからですよ。彼に標的にされるよう、わざわざあんな茶番までしたのですから」
くすりと笑うクリフェ イドにノクスは怪訝な表情を浮かべた。
「どういうことッスか?」
「この一連の事件の犯人がわかっていても… 正当な理由なしに退学処分にはできないんですよ。
なにせ、この学園も一応は財閥や大企業の子息や御曹司の通う金持ち校ですからね…
親が五月蝿いんですよ。
ですから、確かな証拠と現行犯で捕まえるのが退学するにはベストなんですよ。決して言い逃れができないようにね‥。」
なんか…
「考えてることがえげつないッスね・・・」
ノクスは自覚していた。自身の口元がヒクついていることに…-
「そうですかね?」
そのとき、ノクスは確かに見た…
クリフェイドが悪魔のような笑みを浮かべているのを-
お… 恐ろしいッス!!膝がガクガク…っ この人だけは敵に廻したくないっち!
「ウィークリー先生に名前で呼ばせたのも、予め決めていたこと‥
生徒不登校及び、売春・人身売買、監禁など-一連の犯人はウィークリー先生の親衛隊隊長だということもわかっている。だから、ウィークリー先生に親しい生徒たちが巻き込まれてることもな。だから…」
「…………(ゴクッ)」
「わざと、野次馬を集まるように仕向けたんですよ。あそこに本人がいようといないと関係ないんです…
なにせ、野次馬に見せることに意味があるんですから」
クリフェイドは意味がわからず困惑を見せるノクスに、ほくそ笑む‥。
「訳わからないっち…」
「そうですね…
あなたにも分かりやすいよう言い換えると、野次馬を利用する。ということですね」
「………今、さりげに馬鹿にされた気がするっち。」
「された気がする、ではなく、実際馬鹿にしたんですよ」
さらっと毒づくクリフェイドにノクスは溜め息。
「ひどいっス…」
「あんな仲良さげに見えたら、彼のことです。僕を標的にするでしょう?
親しげに挨拶を交わすというだけですのに、ウィークリー先生は顔を引き攣らせますし、あんな下手な芝居がありますか。
まぁ、兄さんたちの登場は実に予定外のことでしたが、利用する価値はあったので… 勝手ながら僕のアドリブで付き合ってもらったわけです」
――なんでっスかねー。ウィークリー先生にちょっと同情したくなるッス…
「野次馬を利用するというのは…
言わば、伝言ゲームと同じ道理です」
「伝言ゲーム…?」
ノクスの問いにクリフェイドは…
「……………」
生暖かい眼差しを向けた。
「……なんか、今… 物っ凄く馬鹿にされたッス」
「……すみません」
クリフェイドは目尻を下げる
「馬鹿にもわかるように説明しますね…」
「今、馬鹿って…っ!馬鹿って言ったっち!!!」
「……………」
ノクスは涙目。クリフェイドは生暖かい眼差しを向けるだけでノクスの言葉には総無視。
「えっとですね…」
無視ッスか!?
「伝言ゲームというのは、後者に行くほど話が大きくなるものです。…そこで僕が思いついたのが、ウィークリー先生に絡み、野次馬が集まるよう…… わざと、人目がつくあの場所で絡んだわけです。
噂というのは伝言ゲームと似ていましてね、必ず元の話より大袈裟に人から人へと伝えられて行くんです…」
に…っ と笑みを浮かべ、人差し指を自分の口元に持ってくる
「あの場を本人に見せるよりも第三者に見せたほうがより、話が膨らむというもの…」
室長… なんて、計算高いッスか!?オレっち、そこまで考えてなかったっス…
「くすっ 先ほどのあの場面を見ていた野次馬はさっそく周囲の人間に言っているでしょうね… 副会長とウィークリー先生はデキてるとか。
ウィークリー先生を兄の理事長に連れて行かせたのも、それを名目に保護させるため… いくら彼でも理事長室までは押し入れないでしょう? ふふっ‥」
黒いッス。なんつー腹黒さッスか!? いつの間にか巻き込まれているとも知らない理事長に、室長の策に何も知らず連れて行かれたウィークリー先生が可哀相だっち‥
「僕が一人になる放課後が狙い目だと思うんですよねぇ…
……ところで、なぜ僕が君に分かりやすくここまで策の内をお話したか、わかりますか?」
えっ?
「わからないっち…」
気のせいッスかね‥
こう… 物凄く嫌な予感がするのはーー。
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