室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

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第1章 月森ヶ丘自由学園

はい、脱走は得意です

 チュンチュン――‥


窓の外から聞こえる雀のさえずりを迷惑そうに布団の中へモゾモゾ…と潜り、眠たそうに枕元にある時計を見て欠伸をする‥

「…もう、こんな時間か」


見ると、時計は既に10時を過ぎていた

ふと、玄関を見る岬は護衛の二人がまだ外で見張っていると思うと、溜息が出てくる……


が、岬はここでふと思う


――‥何もわざわざ正面から突破しなくとも、いいんじゃないか…

と、岬は祖国である英国、イギリスの機関にいる際、仕事が嫌でマコーネルの目を欺くのに何度も脱走計画を立てたものだ。そんな思い出に浸っていたところで岬はピン!と来た。


「…どうせ、見張りは僕がまだ部屋で寝ていると思っているんだ。なら、僕は…

窓から脱走するまでだ」


――‥あの頃は、マコーネルの目を盗んでは窓からロープを垂らしてはよく脱走していたな(苦笑)

その度に説教を聞かされていたが…… ここは一階だし、ロープの必要はないな。少し飛び降りるには高い気もするが…


「……っと」

トン、


見事、きれいに地面に着地した岬は自分の部屋を見上げた。……といっても、見上げるほどの高さもないのだが‥。
それでも岬は、監視とも言える二人の護衛が今だ誰もいない部屋を見張っていると思うと思わず笑いが込み上げてくるのだった。



…さーて、と‥

         いきますか――…

弱みを探しに。

岬は、口元に笑みを浮かべると学園長室へ向かう。今は授業中。そのため、今廊下を歩いても生徒一人すら、擦れ違わない――‥


いつ、先生と擦れ違うか‥用心しながらも、やっと学園長室の前へ着く。
岬は学園長が今、部屋にいるかどうか調べる為、入口の扉を二回ほどノックするが、扉の向こうからは声どころか、音すらしない…

どうやら、学園長は留守のようだ。


岬はそれを確かめると、素早くピッキングを鍵穴に入れるや、あっという間にこじ開けて忍び込む…

入口の頭上では監視カメラが作動しているようだが、岬はお構いなしに進んでいく‥


昨夜、学園のセキュリティシステムへ不正にアクセスし、送られる映像を本物と偽物にすり替えるようコンピューターを操作した岬にとって、学園はもはや、自分のテリトリーだった…。

だから、つい油断していたのだ。岬が学園長室のデスクや椅子、金庫を開けては何か事件を裏付けさせるような証拠はないか‥と、漁っていると…


 カサッ、

学園長のデスクの引き出しを開けるとそこには、生徒の個人データに、どこの屋敷には〇〇君。~の方には、〇〇君を…

と写真付きで書かれた書類は、事件を裏付ける証拠だ。それを鋭い目つきで読んでいく岬は、このとき気付いていなかった


学園長のデスクに置かれた岬のパソコン。それに送られる映像で学園長が急ぎ足で此処へ向かって来ているということを――‥ 。
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