室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

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第1章 月森ヶ丘自由学園

無知と無自覚


――‥
――――‥…

一方変わって、中華街--

「…で、どうするんです隊長? スクワット・ブランドンを捕まえるにしても、潜伏先知ってらっしゃるんですか?」

 ざわざわ…
       がやがや――‥

中華街は、相変わらず観光客で賑わっている…。岬はシフォンの質問に一言。

「いや、知らない」

「は!?いや、知らない… じゃ、ありませんよ。どうするんですか!俺だって過去の事件を調べましたが、これと言って有力情報がなかったんですよ!?」

「…別に最初からアテにしてませんでしたので、気になさらないで下さい。」

ようするに、岬は遠回しに、こう言っているのだ。

--この役立たず、と‥。

長年部下についているせいか、岬の遠回しの言い方に気付いたシフォンは…

「スミマセンでしたね!役立たず、で!」

少し、むっとしたのだった。そして、岬の本性を知っている幸村はというと‥

「…………」

(…ドンマイやなぁ、シフォンさんυ)

ひそかに同情する。それに比べ、葵は‥

「?」

岬との付き合いがまだ浅い葵は、シフォンの言っている意味がわからなかった。

「そう、拗ねないで下さい。鬱陶しいですよ?シフォン」

「鬱陶しいって‥‥ いくら、俺でもさすがに落ち込みますよ」

シフォンは小さく溜息つく

「大体、さっきから何なんです?いっつもいっつも部下に言っている口調と違うじゃないですか。し‥ じゃなかった。隊長が敬語で話すなんて… 気持ち悪いです」

思わず本音が出たのか、最後は特にキッパリと言うシフォン、

そんなシフォンに岬は無表情で…

「気持ち悪い‥? 一体、どの口が誰に向かって言ってるんだ? え?この口か?ん??」

葵と幸村からは、ちょうど死角で見えていない‥

「ほえまへん~ッ!!(スミマセン)」

遠慮なしにシフォンの両頬を引っ張る…。その顔は無表情で至っていつもと変わらない表情をしているが、その背後には般若が見える。

「敬語はその状況に応じて使っている。それに今は変装中だしな‥。」

あまり、二人の前でバレるようなこと言うなよ、と岬は小さな声で念を押した。

「わかってますよ!ですから、先ほどから小声で話してるじゃないですか」

シフォンは ハァ、と岬に聞こえないように溜息を漏らす。

(なんで、毎回毎回この人はっ!! でも、この人がこんな性格ってわかってて、ついていく俺って…)

シフォンは岬をちらりと見る

「ん?どうしました、シフォン?」

シフォンの視線に気付いた岬は何だ?と目で問うが、シフォンは少し苦笑する。

「いえ…。ただ、俺はあんたの部下で良かったと思いまして‥(いろんな意味で)」

が、そのシフォンの発言に岬は固まる。

ーーそして、何度か瞬きするや、シフォンの襟元を掴み、ぐっと引き寄せた

「は? え?」

岬の突然の行動に驚くシフォン。だが、それ以上に困惑したのは――‥

 コツン!

シフォンが気がついた時には岬の顔が、ど・アップ。一瞬、心臓が止まりそうになったと言っても過言ではなかった…。

「………熱は‥ないな」

一端、シフォンから離れるや一言。

「頭、大丈夫か?」

真剣そのもので心配そうな顔をする岬にシフォンは何を言っているのかサッパリだった‥。

「は?」

「お前…、頭でも打ったのか?とりあえず、病院に行け」

そんなやり取りが聞こえていない幸村達は、遠巻きだ。

「ちょーっ!? い、委員長っ!!あんさんっ公の場で何をやっとんねん!??」

シフォンは岬の行動に硬直、幸村と葵は驚愕。

「なにって…」

岬は呆れたように幸村達に溜息つく

「なにって、そんなもの… シフォンの様子がおかしいので熱を測ってるに決まってるでしょう?」

見たらわかるだろ、と暗に言っている岬


「Σハッ!!」

硬直していたシフォンは、ようやく我に返る…

「いやいや、おかしいですよっ!!!熱を測るにも、額と額をくっつけますか!ありえませんよっ!!一体、何処でそんなもの覚えたんですか!」

そう、シフォンの珍しい言動に驚いた岬は、自分の額とシフォンの額をくっつけて熱を測っていたのだ。だが、岬は何故シフォンが怒っているのか、わからない。
シフォン達からすれば、子供や異性などにするなら未だしも、同性で、しかもそれが公の場というのが問題だった‥。

「…僕が熱を出したりすると父や兄がよく、こうやって熱を測るんだが‥」

そう話す岬の顔は、どこか不満げだ。わざわざ心配してやったのに、何故、僕が怒られる形になるんだ?‥それが今の岬の心境だった。
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