室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

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第1章 月森ヶ丘自由学園

1人目の救出


-深夜-

とある街中の大きな屋敷に忍び込む二つの影――…


侵入者の存在に気付かぬ屋敷の住人らは、いつもと変わらぬ日だと寝床についた。

各部屋、明かりが消されているも、たった一つ、深夜にも関わらず明かりがつけられている部屋の存在を知っているも、主に仕える執事やメイドは我関せずと知って知らぬフリ、

そして、その部屋では毎夜のようにいかがわしい行為がされようとしていた…。

「や、やだっ……だ‥ッれか…た、すけ…て…」

明かりがある部屋の一室、そこでは華奢な身体の少年が掠れた声で泣いていた‥。

毎夜毎夜、この屋敷の主に無理矢理に犯されるも、メイド達に助けを求めたところで助けてくれる者はいない。部屋には鍵をかけられ、囚われの身である少年は悲しみにくれ、絶望していた‥。

絶望しても、抱かれる度に誰でもなく助けを乞う‥ それが悲しくも少年の日課となっていた

「…ふん。まったく、毎度のことながら、そんな望みは意味がないことを知ってるだろう?この屋敷の中にいる以上、誰も俺に逆らわないからな?
ククッ!いいぞ、そのそそる顔。さぁ、無駄な望みは捨て、いつものように啼くんだ」

身体を抱えて、震える少年は手を伸ばす男に、いつもの行為をされるかと思うと、恐怖に目をつむり、身を縮こませた…

ーーが、ここでいるはずのない第三者の声がした。


「悪いが、それは無理だな」

その突然聞こえた声に、

「ぇ…?」

少年は恐る恐る閉じていた目を開けた

「隊長、あんた馬鹿ですかっ!? 正面からは無理だとは言え、こんな無茶苦茶なやり方がありますか!!」

「うるさい。結果が良ければ全て良し!問題ない。」


少年が目を開けた先には‥

黒いローブに身を包み、フードを深く被った二人の人物、一人は背が高く、もう一人は背が低い…

声からして、少年と大人まではいかない青年のようだ


「ゔっ…」

そして、呻く声を上げるのは、背の低い少年らしき人物の足の下にいるハゲた男、この屋敷の主であり、なにより今の今まで自分を無理矢理、抱いてきた憎き男だった――‥。

     ─ガッ!!─


「うぐっ…」

少年らしき人物に蹴られた男は意識がないのか、呻くだけ‥

「象1㌧眠らせるほどの麻酔銃ですからね… 暫くはぐっすりでしょう。メイド達に見付かれば話しは別ですけどね。…にしても、あんた無茶しすぎですよ!!彼の身が危なかったのはわかりますが、いきなり、二階の窓から麻酔銃で撃つなんて… もう少し計画性というものをっ!!」

背の高い青年らしき人物は少年らしき人物に怒る。…いや、呆れているようだ

「あー… わかったわかった!だから、騒ぐな。屋敷の者に気付かれるだろ」

少年らしき人物は、今だに状況を理解できてない目をパチクリさせる少年にゆっくり近付く…


「…はじめまして。原君、遅くなってすみません。僕は月森ヶ丘自由学園の一年、風紀委員長の霧島 岬です」

少年らしき人物は、被っていたフードを脱ぐ…


そこに現れたのは、ノンフレームの眼鏡で黒髪に黒目の仕事を完璧に熟せそうな優等生、まさにそれだった‥。

「ぼ… 僕を助けに来てくれたの…?」

少年は涙声で岬という少年に問う


「えぇ、勿論です。さ、早く此処を出ましょう」

岬という人物よりも、遥かに幼く見える少年は小学生だろうか‥

岬に悠々と脇に抱えられる


「………あ、あのね‥僕、こんな成りだけど一応高等部三年だから‥」

…………先輩だった。

「…本当に先輩だったんですね。まさかとは思っていましたが‥‥‥ この屋敷の主はショタ?趣味だったんですかね」

無意識に先輩をショタと言う岬に先輩だと名乗る原はむっ…となる


「君…さっき、僕を小学生みたいって思ったでしょ! ショタとか言われて…… 僕これでも、コンプレックスなんだからぁ!」

どうやら、先輩はショタという言葉に素早く反応する。本当に嫌なのか、その眉間には皺が寄せられている…


「はいはい、すみませんでした。…っていうか、原先輩?そんな怒った顔しても、可愛いだけですよ?もう少し自覚というか‥」

そう、軽くあしらう岬の最後の言葉にシフォンは思わず、眉を吊り上げた。


(ド天然な貴方にも自覚を持って頂きたいですね…いろんな意味で。)

そう内心呟く相方に岬は目で合図を送るとフードを被り、先輩を抱えたまま、窓から飛び降りた。そしてシフォンもフードを被るとその後を追う…

その直後、


    ドゴォォォォオン……


いきなり地響きが--



聞こえた…。


「え、え!?な、なにっ!?」

岬の脇に抱えられた先輩は岬に聞く


「心配ないですよ。ただ、見て見ぬフリをしていたメイドや屋敷の住人達も、共犯ですからね。死なない程度に屋敷を爆破しただけです」

が、答えたのは岬ではなく相方の青年、シフォンだった…。

「ぇと‥」

「あぁ、俺のことは……そうですね"F"と呼んでください」


「Fさんっ!!あ…あの、爆破って‥‥なんで…」

「彼らは主人に仕えているからといって、屋敷の主に無理矢理抱かれている貴方のことを知って知らぬフリ‥見て見ぬフリ。それは…共犯になるんですよ?
ま、火傷や身体の一部が吹っ飛ぶことはあっても死にはしないでしょう… までは俺の意見。

せいぜい、もがき苦しむといい…… というのが、貴方を抱えている隊長の意思です。断じて、俺ではないんで誤解はしないでくださいね」


ちなみに、爆弾を仕掛けたのも爆薬を調整したのは隊長ですから… とシフォンは言う。

つまり、自分は直接関与はしていないと… 。シフォンは遠回しに言うが、それを否定したのは……


「なに、ふざけたことを言っている?屋敷内のセキュリティを切ったお前がよくもまぁ、ぬけぬけと…」

岬は隣を走るシフォンを睨むが、シフォンはというと顔を背けて目を逸らした。


「「…………」」

(ぇ、ぇ゛ーッ!!?な、なに?!この二人っ仲悪いの!? 中間にいる僕っものっすごい居づらいんだけどっ;)

それから三時間、気まずい空気に耐え兼ねた先輩は‥‥別の意味で疲れていた――‥。
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