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第1章 月森ヶ丘自由学園
シフォンの疑いの目
「…さてと、雑談は終わりだ。身を引き締めていけ」
そして、その二つの影は闇へと消えた…。
――――‥‥
――…
翌日、
「……ふぁ」
眠たげに欠伸をするのは勿論、岬。眠れない岬の顔からは、かなりの疲労が伺える‥
「委員長…? どないしたんや??そない疲れきった顔して…」
睡眠を取ったはずやのに、なんで昨日より疲れた顔をしとるんや?幸村は不思議でならなかった‥。
一方、シフォンはというと…
短時間でも、たっぷり睡眠を取れたのか顔色はいい。岬の眠たげな顔に思わず苦笑いを浮かべる。
あの後、約三軒ほど廻り、岬とシフォンは疲れていた…。すぐに寝付けるシフォンはそうでもないが、中々寝られない岬は睡眠不足と疲労もあって、かなり疲れていた‥。
――…あれから三日、岬達はついに崙が手配した小型ジェット機で中国、上海へ向かった。
ゴォォオォ――…
最初こそは煩かったが、暫くすると飛行が安定し、やがて飛行機の中は快適になった
「うおっ!マジ、凄いやんっ!街があんなに小さく見えんねんけどっ
わい、初めてやさかぃ、興奮するわ」
「ホーント、すげぇな!」
幸村と葵が興奮する中、岬はひたすら、パソコンの画面を見つめ、時折キーボードを打っている‥
それを眺めていたシフォンはあることに気付く。岬の眉間に皺が寄りつつあることに。。
「隊長、何か不具合でも?」
「………まずいぞ、シフォン。計画が早まった」
少し切羽詰まったように早口で告げる岬にシフォンは、目を見開く
「早まったって……えっどういうことです!?」
「あいやぁ、ボス。どういうことネ? きちんと説明するヨロシ」
シフォンと崙は岬を見る
「困ったことに、スクワットの情報が漏れている」
「そんなっ まさか…」
「そればかりか、FBIとCIAまで動いてる… もうっ最悪だ!」
はぁぁ…と盛大に溜息つき、パソコンの前でうなだれる岬は、何でこうなるんだと内心嘆いていた‥。
「でしたら、ここは協力を「馬鹿なこと吐かすな。あれでも両方、ライバルだぞ? …それにスクワットの口から僕やシフォンの事が漏れないとは限らない」
シフォンの声を遮り、はぁぁ…と頭を抱える岬は相当焦っていた。
「しかも、馬鹿の存在に気付いてないところを見ると… 両組織共、いつアジトに突入しても、おかしくない。あの馬鹿がそう簡単にくたばる奴ではないことはわかっているが、もしも…もしも、騒動に巻き込まれ、万が一のことがあれば…」
その岬の言葉にシフォンは一瞬にして背筋が凍り付く
「…って、ヤバイじゃないですか!一大事ですよっ!?」
だが、岬はそちらよりも寧ろ…
(父や兄に見つからなければいいが……。もし見つかれば…屋敷に軟禁され兼ねないっ!あの父と兄だ。本気でやり兼ねないっ!!!それだけは、何としても避けなければ…)
FBIとCIAの幹部に父と兄を持つ岬、もといクリフェイドはそちらの方をより、危惧していた‥。
「…仕方ない。計画変更だ。崙、中国へ着きしだい、奴らのアジトに案内しろ」
「隊長っ! まさか、直接、敵のアジトに乗り込む気ですか!? 」
それは無謀ですっ!!と断固反対するシフォンに岬は一瞥する。
「仕方ないだろ? 連中に先に捕らえられたら、こちらの分が悪い……スクワットの奴が何を話すかわからないからな」
(僕のことを言われたら、面倒だ)
それよりも、と岬は話しを進める‥
「それよりも、だ!あの馬鹿が大人しくしてるとは到底思えない。あの馬鹿が、妙な気を起こさないうちに、とっとと回収… じゃなかった。アイツの救出を優先にする」
(……言い直したようですけど、回収って‥ それ、一国の王子に対しどうなんですかね… その扱い)
シフォンは心の中で、突っ込むがあえて口には出さなかった。言えば、何かしら岬に言われるのが目に見えているからである。
「私は別にそれで構わないネ! あ、だけど、ボス‥その服装、目立つヨ」
崙に指摘され、岬はパタンとパソコンを閉じると自分の服装を見て溜息つく…。崙に言われるまで、自分が学園の制服を着たままということに気付いていなかったのだ。
「服あるか…?」
なんとなく返ってくる言葉がわかってはいたが、あえて崙に聞く
「もちろん、あるヨ。チャイナ服ならネ」
崙は当然!と言った様子で岬に言う
「………やっぱりか」
チャイナ服もある意味目立つ気がするのだが、この際わがままは言えない。
「わかった。なら、全員のぶんを‥」
「大丈夫ヨ!ジェット機を手配するときに予め用意してたネ。安心するヨロシ」
自慢げに言う崙だが、この時ばかりは岬とシフォンは崙に対し心の中で突っ込む
(だったら普通の服を用意しろよ!)
(…なぜ、チャイナ服にこだわるんですか)
そんな二人の心中をよそに崙はニコニコ顔、
「ボスはチャイナ服の方が似合うヨ」
(…この男)
ひそかに殺意が芽生える岬に対し、シフォンは岬と崙に目を向けた。
「あれ…? 隊長、前にチャイナ服着たことがあるんですか?」
そんな話しを聞いていないシフォンは、初耳なこともあって、驚いた顔をしつつも、その表情は興味津々だ。
「日本に来る前に少し中国に立ち寄ったんだよ。…観光目的で」
面倒くさそうに淡々と話す岬の眉間が段々と寄っていく。
「今思えば、後悔だな」
..
後悔のところをやけに強調して言う岬に崙は笑う
「ちがうヨ。あの日は私とボスの初めて会った記念すべき日ネ!」
「そうか。僕は一生の不覚という今も尚、悔いの残る日として覚えている」
全く、噛み合わない… この二人。一体、どういう関係なのか教えてくれないだろうが、シフォンは気になる一方だった。
「…シフォン、最初に言っておくが、僕とコイツは本当にタダの知り合いだ。」
「なに言うネ?私とボスの仲は、あんなことやこんなことをした仲アルヨ。」
「…………」
崙の言葉に、ドン引きのシフォン‥。岬に疑いの目を向けるが、
「オイっ 崙!!紛らわしい言い方するなっ! シフォンも、お前もなにを勘違いしている!?崙の言う、あんなことやこんなことは…… 観光していた時にコイツの部下が起こした乱闘に巻き込まれたんだ。
そのときに、コイツと一緒に…… 向かってくる敵を全員、半殺しに叩きのめしたんだ。この男が言っているのはそういうことがあった仲だというわけで、やましいことは何もない。…それと、勘違いするなよ。殆どやったのは崙だから。僕じゃない。」
ちっ、と舌打ちする岬にシフォンは少し安堵した
「すみません。いや~、別に隊長を疑ったわけじゃないんですけどね…」
…嘘つけ!思い切り、ドン引きしてたじゃねーかっ!!!
あからさまに態度を変えたシフォンに苛立ちを隠せない岬は、内心、叫ばずにはいられなかった‥。
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