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あんたが喰われて騒ぎになると僕が困るから
しおりを挟むだけど、俺の隣に座るそいつはその光景に驚きもせず、俺に鈴を渡し、ひたすら鳴らせと言ってくる。
『いい?その鈴を鳴らせばアレはこっちに向かってくるだろうけど、その鈴、離さないでよ? あんたが喰われて騒ぎになると僕が困るから』
――…ヤツはそう平然と言ってのけた。
「………は!?」
―― く、喰わ!?ちょっと待て。俺はそんな大事な話、聞いてなかったぞ!? しかも、騒ぎになると困るって… 俺の心配は、ねぇのかよ!!!
「お………」って!
なんだコイツ!!言うだけ言って俺の声は無視かよ!
どこまでも偉そうなそいつに苛つきながらも、俺は言われた通り鈴を鳴らす。
チリン…
チリン…
チリィィーンン…
最初は小さく鳴っていた鈴の音。けど、言われたとおりに鳴らし続けると、音は体育館ホール内で響く前の音と重なり、次第に大きく鳴る――
そして、一番驚いたのは斜め前に座る噂のオタク髪の根暗に、平凡野郎。確か、水島 泉(ミズシマ イズミ)。オタクに好意を寄せる生徒会やその他取り巻きによく絡まれている‥‥ 俺から言わせれば不憫なヤツだ。
その平凡野郎の様子がおかしいのか、オタク野郎が騒いでいる。ちらりと見えた水島のヤツの顔はすっかり青白く、息も苦しげだ。
そして、耳を押さえる。
だけど、俺は鈴を鳴らし続ける。すると、委員長に這いずっていたアレは急にこっちに方向を変えるや、
カサカサカサッ!!!
手をつき、床を這っているとは思えないスピードで、裂けた口からギザギザの歯を覗かせてこっちに向かってきた。
ひっっ!!!
慌てて、俺に鈴を託したいけ好かないアイツに振り返る。
襲う恐怖にひたすら鈴を鳴らし続ける俺は見た。アイツは恐怖に支配されることもなく、青ざめることもなく――‥
目を閉じ、蚊の泣くような聞きづらいホントに小さな声で‥
指を動かしながら何かを呟いていた。
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