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- 王国の陰りと忌まわしき魔女の呪い -
『冷酷王の戯れ - 兄と弟 - 』
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「あ、兄上…っ、」
自分に向けられているわけではないのに、メイドに向けるスッと細められた兄上のその冷たい眸に、震える唇から辛うじて出たのは絞り出したような僕の… か細い声。
『……フッ』
僕の声に反応した兄上は、
ガタガタと震える真っ青のメイドから視線を外し、僕に探るような眼差しを向けるとクツリと喉で笑った。
じわり、と冷や汗が頬を伝う
「まったく、とんだ茶番に付き合わされたものだ。……そう思わぬか?オーディット」
「ぅ、あ…っ」
ひたり、と いつの間にか目の前にまで距離を詰めていた兄上にその冷たい眸で見下ろされ、僕は恐怖に身を竦ませる───。
「フッ、まあいい。可愛い弟が体を張っての行動だ。それに免じて… 今回、私は何も知らぬ。だが、次は無い。理解できたなら行け」
僕の髪を一房すくい取ると、その冷たい眸で流し目に遠回しにこの件は不問だとメイドに告げた兄上は部屋から出て行けと促した。バタバタと恐ろしさから逃げるように部屋から走り去って行ったメイドに…
え、ちょ…っ え、えぇえ!??メイドに置いてけぼりにされた!?なんで、よりによって僕だけ置いて行くんですかっっ!!確実に出るタイミングを見失ったじゃないですかっ… ピ、ピンチです!!!兄上に髪を一房すくい取られ、そっとキスを落とされるこの状況、僕にどーしろと!?
さっきと比べて顔が不自然に引き攣るのがわかります。
「………っ」
カッチコチに固まっていると、兄上の肩が揺れているのに気がつきました。
クックッと喉の奥で笑う独特の声に僕の顔が真っ赤になる。
「な、な、な……!(か、からかわれた///)」
カァァアと赤くなる僕に、堪え切れなかったのか兄上はついに声に出して笑い始めました。
「くっくっく…!お前は本当に… すぐに 表情に出るな。からかい甲斐があって私は退屈しないが、少々 お前の将来が心配だ」
「も、もうっ///笑わないでくださいよ!」
さっきまでのシリアスな雰囲気はどこへ行ったのやら… 良いのか悪いのか、別の意味で今度は僕が赤くなったり青くなったりと… 一人、忙しかった。
「フッ、しかしお前も… 無茶をする」
へ?
きょとんと見上げると兄上は困ったように笑うと僕の額を指先で軽く小突いた。
「いたっ 痛いです、兄上…!何するんですかもう!」
額を押さえて、痛みで少し潤んだ目で兄上に非難の目で見上げると、
一瞬、天を仰いだ後に片手で顔を覆った。
「あ、兄上…っ?なにを、されているんですか?」
その不可解な行動に心底わからず首を傾げていると、兄上は僕の顔を見るなり、そっぽを向いて深い深い… 溜め息をつきました。何故でしょうか?もの凄く僕に失礼ですよ兄上!!!
「─── 本当に、お前のその無自覚さというか。小悪魔っぷりは一体どこから……」
は?
「…兄上?どうかされましたか??」
「………」
そして兄上から覆い隠すことも忘れた深い深い溜め息が唇から漏れると、ゆるりと首を横に振る。
「はぁぁ…。いや、何でもない」
そう零す兄上は何処か疲れたような表情でした。
自分に向けられているわけではないのに、メイドに向けるスッと細められた兄上のその冷たい眸に、震える唇から辛うじて出たのは絞り出したような僕の… か細い声。
『……フッ』
僕の声に反応した兄上は、
ガタガタと震える真っ青のメイドから視線を外し、僕に探るような眼差しを向けるとクツリと喉で笑った。
じわり、と冷や汗が頬を伝う
「まったく、とんだ茶番に付き合わされたものだ。……そう思わぬか?オーディット」
「ぅ、あ…っ」
ひたり、と いつの間にか目の前にまで距離を詰めていた兄上にその冷たい眸で見下ろされ、僕は恐怖に身を竦ませる───。
「フッ、まあいい。可愛い弟が体を張っての行動だ。それに免じて… 今回、私は何も知らぬ。だが、次は無い。理解できたなら行け」
僕の髪を一房すくい取ると、その冷たい眸で流し目に遠回しにこの件は不問だとメイドに告げた兄上は部屋から出て行けと促した。バタバタと恐ろしさから逃げるように部屋から走り去って行ったメイドに…
え、ちょ…っ え、えぇえ!??メイドに置いてけぼりにされた!?なんで、よりによって僕だけ置いて行くんですかっっ!!確実に出るタイミングを見失ったじゃないですかっ… ピ、ピンチです!!!兄上に髪を一房すくい取られ、そっとキスを落とされるこの状況、僕にどーしろと!?
さっきと比べて顔が不自然に引き攣るのがわかります。
「………っ」
カッチコチに固まっていると、兄上の肩が揺れているのに気がつきました。
クックッと喉の奥で笑う独特の声に僕の顔が真っ赤になる。
「な、な、な……!(か、からかわれた///)」
カァァアと赤くなる僕に、堪え切れなかったのか兄上はついに声に出して笑い始めました。
「くっくっく…!お前は本当に… すぐに 表情に出るな。からかい甲斐があって私は退屈しないが、少々 お前の将来が心配だ」
「も、もうっ///笑わないでくださいよ!」
さっきまでのシリアスな雰囲気はどこへ行ったのやら… 良いのか悪いのか、別の意味で今度は僕が赤くなったり青くなったりと… 一人、忙しかった。
「フッ、しかしお前も… 無茶をする」
へ?
きょとんと見上げると兄上は困ったように笑うと僕の額を指先で軽く小突いた。
「いたっ 痛いです、兄上…!何するんですかもう!」
額を押さえて、痛みで少し潤んだ目で兄上に非難の目で見上げると、
一瞬、天を仰いだ後に片手で顔を覆った。
「あ、兄上…っ?なにを、されているんですか?」
その不可解な行動に心底わからず首を傾げていると、兄上は僕の顔を見るなり、そっぽを向いて深い深い… 溜め息をつきました。何故でしょうか?もの凄く僕に失礼ですよ兄上!!!
「─── 本当に、お前のその無自覚さというか。小悪魔っぷりは一体どこから……」
は?
「…兄上?どうかされましたか??」
「………」
そして兄上から覆い隠すことも忘れた深い深い溜め息が唇から漏れると、ゆるりと首を横に振る。
「はぁぁ…。いや、何でもない」
そう零す兄上は何処か疲れたような表情でした。
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