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- 王国の陰りと忌まわしき魔女の呪い -
『…つかの間の理性と苦悩』
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───ハッ!
バサッ、被っていた羽毛の布団が落ち、我に返って身体を起こす…
「ゆ、めか…。」
安堵の息を漏らすと、片手で顔を覆い自嘲の笑みを浮かべる。
「く…っ!どこまでも忌々しいッ魔女め!!私を… どこまで追い詰めるか」
長く伸びた髪をクシャリ、と掻き上げる。
「オーディット…っ」
最後に見たのは、ぐったりしたオーディットがジークに抱き抱えられて部屋を出て行く姿だ。そして、そうしたのは… 他でもない私自身だ。
少しずつ、少しずつ…
己の心を、意志を、身体を……
闇の侵食に蝕まれる理性、どうすることも出来ない苦しみに苦悩を浮かべる。
オーディットのことはあの女と同じ血を持つ子供としか見ていなかった。可愛いと思うどころか、寧ろ、敵だと思っていた。そう、あの子が刺客に襲われるあの日までは───。
いざ、声を掛けてみればあの女と似つきもしない… あの女の子供とは思えないまさに真逆の純真無垢。それが第一印象だった。
純粋に可愛いと思った。
年の離れた弟として… 恋愛感情というものではなく、そこにはただ、確かに兄弟愛が自分の中に存在した。
自室を出て、長い回廊を歩き、ある一室の前で足を止める。そこは…
「オーディット…」
愛しい弟の部屋。
姿を見せるな、と自分で言っておきながらその弟の部屋の前にいるどうしようもない自分に自嘲の笑みが出る。
そっと、そこを離れようとした。
だが、僅かに部屋から聞こえたオーディットとジークの話し声に足を止める…
『……大丈夫か?あまり無理をするな』
『僕ならもう大丈夫です。もう!ジークは心配し過ぎです』
オーディットの身を按じるジークと、そのジークに困ったように笑うオーディットの声が聞こえた。
『だが…』
『もう!…ジークは時々、過保護すぎです!僕のことよりも、兄上に付かなくていいんですか?』
『怪我人を放っておく人間がいるわけないだろう?』
『……ありがとうございます。 でも、兄上のことが気になって、だから!もう一度…っ!』
『ダメだ。その望みは聞けない』
『どうして?僕のせい…?』
『ちがう。今のあいつにお前を会わせるわけにはいかない。俺はもう… 繰り返したくないんだ。惨劇を』
『……ジーク?なんの話し…?』
『幾度と… 繰り返してきた。その度にお前は───。だが、その上、今回はいつもと違う。俺は… もうお前を…… 失いたくない』
『ジーク?どうしたんですか?さっきから様子がおか…し……』
『───…おやすみ、いい夢を』
途端に聞こえなくなる弟の声、耳を澄ませると、微かな寝息が聞こえる。
ホッとした安堵のつかの間、突然だった。
『……それで?』
パタン、という音と、不機嫌顔のジークが気怠げにドアに凭れ掛かりながら扉から出たきたのは───。
バサッ、被っていた羽毛の布団が落ち、我に返って身体を起こす…
「ゆ、めか…。」
安堵の息を漏らすと、片手で顔を覆い自嘲の笑みを浮かべる。
「く…っ!どこまでも忌々しいッ魔女め!!私を… どこまで追い詰めるか」
長く伸びた髪をクシャリ、と掻き上げる。
「オーディット…っ」
最後に見たのは、ぐったりしたオーディットがジークに抱き抱えられて部屋を出て行く姿だ。そして、そうしたのは… 他でもない私自身だ。
少しずつ、少しずつ…
己の心を、意志を、身体を……
闇の侵食に蝕まれる理性、どうすることも出来ない苦しみに苦悩を浮かべる。
オーディットのことはあの女と同じ血を持つ子供としか見ていなかった。可愛いと思うどころか、寧ろ、敵だと思っていた。そう、あの子が刺客に襲われるあの日までは───。
いざ、声を掛けてみればあの女と似つきもしない… あの女の子供とは思えないまさに真逆の純真無垢。それが第一印象だった。
純粋に可愛いと思った。
年の離れた弟として… 恋愛感情というものではなく、そこにはただ、確かに兄弟愛が自分の中に存在した。
自室を出て、長い回廊を歩き、ある一室の前で足を止める。そこは…
「オーディット…」
愛しい弟の部屋。
姿を見せるな、と自分で言っておきながらその弟の部屋の前にいるどうしようもない自分に自嘲の笑みが出る。
そっと、そこを離れようとした。
だが、僅かに部屋から聞こえたオーディットとジークの話し声に足を止める…
『……大丈夫か?あまり無理をするな』
『僕ならもう大丈夫です。もう!ジークは心配し過ぎです』
オーディットの身を按じるジークと、そのジークに困ったように笑うオーディットの声が聞こえた。
『だが…』
『もう!…ジークは時々、過保護すぎです!僕のことよりも、兄上に付かなくていいんですか?』
『怪我人を放っておく人間がいるわけないだろう?』
『……ありがとうございます。 でも、兄上のことが気になって、だから!もう一度…っ!』
『ダメだ。その望みは聞けない』
『どうして?僕のせい…?』
『ちがう。今のあいつにお前を会わせるわけにはいかない。俺はもう… 繰り返したくないんだ。惨劇を』
『……ジーク?なんの話し…?』
『幾度と… 繰り返してきた。その度にお前は───。だが、その上、今回はいつもと違う。俺は… もうお前を…… 失いたくない』
『ジーク?どうしたんですか?さっきから様子がおか…し……』
『───…おやすみ、いい夢を』
途端に聞こえなくなる弟の声、耳を澄ませると、微かな寝息が聞こえる。
ホッとした安堵のつかの間、突然だった。
『……それで?』
パタン、という音と、不機嫌顔のジークが気怠げにドアに凭れ掛かりながら扉から出たきたのは───。
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