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- 王国の陰りと忌まわしき魔女の呪い -
『その言葉の先は──… 意味深に』
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「あ… あ、あに… ぅえ?」
ドックン… ドックンッ!五月蝿く鼓動が激しく打つ。
冷や汗が… 止まらない。
引き攣っているだろう僕の表情は… 真っ青を通り越して土気色になっているのかもしれない。
片膝をついて僕の手を掴んだ兄上はその指先に口づけを落とすと、口元を僅かに引き上げる。さらり、と流れる濡れたように艶めく伸びる黒髪、静謐な夜の空気を纏う相貌は… それはそれは美しく、って違う!!
「ちょっ、あ、兄上!何をなさるんですか…!?」
手を引っ込めようとするけれど、兄上が手を離してくれなくて、
『……主の御前において、星の雨が降りし朝も、陽が失われし昼も、闇が訪れぬ夜も、分かち合い、共に過ごすことを今ここに誓う。たとえ、この世界が終わりを迎えようと、この身が朽ち果てようとも…
我が身が闇に堕ちようと… 心が魔に侵されようとも、我が心は御身の心、汝がためにこの身を捧げこの血を捧げn――… 』
「あ、に───」
しかし、その先を…
「い…ッ!」
ー ガブッ! ー
紡ぐことはなかった。
「 ! 」
バク!!
そこには、兄上の手に噛みついたバクの姿があって――‥
「いま、」
兄上の目が驚愕に大きく見開く。吃驚した表情でバクに噛まれた手をまじまじと見つめていた。
───そうでした!バクの姿は兄上を含め周りには見えないはずです!ですが、兄上はバクに噛まれた手を見ている、ということは… 痛みを感じているということでしょうか?
「……今、何かに噛まれたような…? 」
「………兄上?」
そうですよ!早くここは誤魔化さないとッ!
「き、気のせいですよ!ほら、あれです!!日頃の疲れが急に来たんじゃないですか?」
そう言って必死に誤魔化そうとするけれど… なんて、酷い誤魔化し方なんだろうと一人狼狽する。ああ、泣きたい!今すぐここから離れたい!!切実に!
僕の慌てぶりに訝しげにバクに噛まれた手と交互に見る兄上の窄める目に… ああ、終わった。確実に詰みました!兄上の瞳に、行動に… 全てに身構える。けれど、兄上が発した言葉は
「……少し、驚かせたか?」
バクに噛まれたことをなかったことにしたのか、兄上は僕の顔色を見てそう呟いた。
「え?」
パチパチと瞬きを繰り返す。
「顔色が悪い…。すまない、驚かせるつもりはなかった。ただ、あれは… 騎士の誓いと言って、騎士が忠誠を誓う相手や大切な者に己の身を挺してでも御身を守る、という昔から伝わる誓いの言葉だ。お前は私の大切な弟だ。例え、異母兄弟であろうと… 私の意は変わらない。兄として、お前をこの国の膿から守りたい。まだ幼いお前にはこの話しを理解するには少し難しいかもしれないな」
きょとん、とする僕の頭をぽんぽん叩く兄上の手のひらは心地よくて… そんな僕に兄上は苦笑いしていた。
ドックン… ドックンッ!五月蝿く鼓動が激しく打つ。
冷や汗が… 止まらない。
引き攣っているだろう僕の表情は… 真っ青を通り越して土気色になっているのかもしれない。
片膝をついて僕の手を掴んだ兄上はその指先に口づけを落とすと、口元を僅かに引き上げる。さらり、と流れる濡れたように艶めく伸びる黒髪、静謐な夜の空気を纏う相貌は… それはそれは美しく、って違う!!
「ちょっ、あ、兄上!何をなさるんですか…!?」
手を引っ込めようとするけれど、兄上が手を離してくれなくて、
『……主の御前において、星の雨が降りし朝も、陽が失われし昼も、闇が訪れぬ夜も、分かち合い、共に過ごすことを今ここに誓う。たとえ、この世界が終わりを迎えようと、この身が朽ち果てようとも…
我が身が闇に堕ちようと… 心が魔に侵されようとも、我が心は御身の心、汝がためにこの身を捧げこの血を捧げn――… 』
「あ、に───」
しかし、その先を…
「い…ッ!」
ー ガブッ! ー
紡ぐことはなかった。
「 ! 」
バク!!
そこには、兄上の手に噛みついたバクの姿があって――‥
「いま、」
兄上の目が驚愕に大きく見開く。吃驚した表情でバクに噛まれた手をまじまじと見つめていた。
───そうでした!バクの姿は兄上を含め周りには見えないはずです!ですが、兄上はバクに噛まれた手を見ている、ということは… 痛みを感じているということでしょうか?
「……今、何かに噛まれたような…? 」
「………兄上?」
そうですよ!早くここは誤魔化さないとッ!
「き、気のせいですよ!ほら、あれです!!日頃の疲れが急に来たんじゃないですか?」
そう言って必死に誤魔化そうとするけれど… なんて、酷い誤魔化し方なんだろうと一人狼狽する。ああ、泣きたい!今すぐここから離れたい!!切実に!
僕の慌てぶりに訝しげにバクに噛まれた手と交互に見る兄上の窄める目に… ああ、終わった。確実に詰みました!兄上の瞳に、行動に… 全てに身構える。けれど、兄上が発した言葉は
「……少し、驚かせたか?」
バクに噛まれたことをなかったことにしたのか、兄上は僕の顔色を見てそう呟いた。
「え?」
パチパチと瞬きを繰り返す。
「顔色が悪い…。すまない、驚かせるつもりはなかった。ただ、あれは… 騎士の誓いと言って、騎士が忠誠を誓う相手や大切な者に己の身を挺してでも御身を守る、という昔から伝わる誓いの言葉だ。お前は私の大切な弟だ。例え、異母兄弟であろうと… 私の意は変わらない。兄として、お前をこの国の膿から守りたい。まだ幼いお前にはこの話しを理解するには少し難しいかもしれないな」
きょとん、とする僕の頭をぽんぽん叩く兄上の手のひらは心地よくて… そんな僕に兄上は苦笑いしていた。
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