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- 運命の分岐点と守りたいもの -
『自由を得た代わりに失ったモノ──…』
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『───そして、あの日行動に移すことにした彼はあの子を部屋の一室に閉じ込めた。神術を使って。…けど、あの子は何が起ころうとしているのかわかっていたのでしょうね、必死に縋って、泣きついて彼を… 止めようとした。でも、所詮は大人と子供。力の差には勝てない。結局、彼は泣き縋るあの子の頭を撫でて、あの子を振り切って扉を神術で閉めてしまったわ
扉ごしに聞こえる弟の嗚咽を漏らす声に、彼の表情は悲しみ一色だった。今でも、目を閉じれば鮮明に思い出すほどに彼の悲壮感漂う表情が… 強く印象に残るほどにね』
「……っ」
だけど、悲劇はそこで終わらなかったと言うメラフィルにバクはなぜか胸がざわつくのを感じた。
『ファルス皇国の民が滅びたとき、時の神は彼と交わした約束の通り、あの子を神術の掛かった部屋から解放した。そして自由になったあの子が一番最初に目にしたのは… 祭壇の前で既に息絶えた兄の… 彼の姿だった』
ひっどい話よねぇ… そう同意向けてくるメラフィルにバクは言葉に詰まった。
『だって、自由の身といったって、一人ぼっちよ?いくら神や精霊に好かれてるとはいえ、人間と精霊、人間と神は違うもの。ましてや、彼は唯一自分に優しくしてくれた人間… それが自分のせいで彼は輪廻に入ることもできず、無に還ることを望んだ』
かわいそうよねぇ、あの子も…。
「………っそんな、そんな残酷なことって…っ!」
国が滅び、唯一優しく接してくれた兄もいなくなり、自由になったとはいえ、まだ年端もいかない幼い子供がだだっ広い国に一人ぼっち。それを想像したバクは悲痛の表情になる…。
『空腹は魔素が補ってくれる…。けれど、心は…?ましてや、子供が。耐えられるわけがなかった。その寂しさに…。兄を追い詰めた自分自身が許せなかった。だからあの子は… 禁忌に手を出してしまったのよ』
「禁忌…?っ!それってまさか…」
『そう、死んだ者を黄泉の国から呼び戻し、描いた陣に用意した器に入れる、理を逸脱した行為。あの子は魔法を使えなかった。けれど、王城内にある書庫から錬金術の書を見つけたのよ!閲覧禁止区域場所にあった禁術書をね』
───でも、
『でも、それでも禁術書に手を出すことに戸惑いを感じていたあの子は冷たい床に横たわる兄の遺体の側で泣き崩れた。縋るような気持ちで必死に呼びかけた。けど、とうに息絶えている彼は目を開けることも、再び笑みを浮かべることもなかった。
その横に彼が使った短剣が血に濡れて転がっていた』
そして、一旦区切ると、ふとメラフィルは目を閉じる… そして再び目を開けた。
扉ごしに聞こえる弟の嗚咽を漏らす声に、彼の表情は悲しみ一色だった。今でも、目を閉じれば鮮明に思い出すほどに彼の悲壮感漂う表情が… 強く印象に残るほどにね』
「……っ」
だけど、悲劇はそこで終わらなかったと言うメラフィルにバクはなぜか胸がざわつくのを感じた。
『ファルス皇国の民が滅びたとき、時の神は彼と交わした約束の通り、あの子を神術の掛かった部屋から解放した。そして自由になったあの子が一番最初に目にしたのは… 祭壇の前で既に息絶えた兄の… 彼の姿だった』
ひっどい話よねぇ… そう同意向けてくるメラフィルにバクは言葉に詰まった。
『だって、自由の身といったって、一人ぼっちよ?いくら神や精霊に好かれてるとはいえ、人間と精霊、人間と神は違うもの。ましてや、彼は唯一自分に優しくしてくれた人間… それが自分のせいで彼は輪廻に入ることもできず、無に還ることを望んだ』
かわいそうよねぇ、あの子も…。
「………っそんな、そんな残酷なことって…っ!」
国が滅び、唯一優しく接してくれた兄もいなくなり、自由になったとはいえ、まだ年端もいかない幼い子供がだだっ広い国に一人ぼっち。それを想像したバクは悲痛の表情になる…。
『空腹は魔素が補ってくれる…。けれど、心は…?ましてや、子供が。耐えられるわけがなかった。その寂しさに…。兄を追い詰めた自分自身が許せなかった。だからあの子は… 禁忌に手を出してしまったのよ』
「禁忌…?っ!それってまさか…」
『そう、死んだ者を黄泉の国から呼び戻し、描いた陣に用意した器に入れる、理を逸脱した行為。あの子は魔法を使えなかった。けれど、王城内にある書庫から錬金術の書を見つけたのよ!閲覧禁止区域場所にあった禁術書をね』
───でも、
『でも、それでも禁術書に手を出すことに戸惑いを感じていたあの子は冷たい床に横たわる兄の遺体の側で泣き崩れた。縋るような気持ちで必死に呼びかけた。けど、とうに息絶えている彼は目を開けることも、再び笑みを浮かべることもなかった。
その横に彼が使った短剣が血に濡れて転がっていた』
そして、一旦区切ると、ふとメラフィルは目を閉じる… そして再び目を開けた。
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