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- 腐敗した王国と傀儡の王 -
『秩序の崩壊と乱世に思い馳せる傀儡の王』
しおりを挟むに、え…?
「僕を… 生け贄に…?それに、月の神子と太陽の巫女って…」
確か、前にバクも言っていた。二人の血を引き継ぐ子供が僕だって!この人も… バクと同じように僕だけが知らない秘密を知っている…?
「ああ…!そうだとも!!安心するがいい。贄と言っても何も殺すつもりはない。……そう、贄にもいろいろある。例えば、」
そう言葉を切って、兄上は僕の手を口元から払い退けると、耳にかぶりついた。
「ン、…ッ!?」
「こんなふうに、お前のような快楽を知らない無垢な子供を穢すのも、贄の役割」
兄上の唇が離れた途端に、バッと噛まれた耳を押さえた。……キッ!!と睨むも、恐怖と羞恥といろんな感情に押されて視界が涙で滲んでくる…っ
───けれど、
次に、兄上の口から告げられた言葉にこの人が…兄上がいったい何を言っているのか一瞬、理解できなかった。
「秩序というのはなぜあると思う?」
不意に聞かれて、質問の意図がわからず困惑を露にする…。
「秩序というものがある限り、この世には縛りがある。規律というものは… 誰が決めた?人間が作った規律になぜ従う必要がある?否、そもそも誰も従う必要はない。だから、我が先にその前例を作るのだ…!国の王である私がその秩序を乱せば、誰も秩序を守らなくなる──。なぜなら、民の代表である私自ら規律を破り、秩序を乱し、犯罪を犯罪とせず国が認知するからだ」
「な、にを…何を言っているんですか…ッ!?正気ですか…!」
素晴らしいだろう?そう問うてくる兄上がとても正気の沙汰に見えなくて、その事の重大さに… 只々、愕然とした。
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