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- 乙女ゲームの世界観と宿命 -
『――‥ あの日の真実』
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『影は僕を撒くために、足が速くて、すばしっこいネコに姿を変えて逃げたんだ。なんとか追いつめて、あと少しのところで… ネコに変化した影はキミと出会い、
そこでキミに目を付けた。
……正確には、キミが手に持っていた乙女ゲームにだけどね。いつ発生するかわからない時空の歪みを使わずして、元の世界にも帰れるんだから、そりゃあ目を付けるよね』
いやぁ、ホントに参ったよ!とニコニコと爽やかな笑顔で盛大に溜め息ついて僕を見ながら肩を竦めるバクに罪悪感を刺激される。
ぅぐッ!チクチク、バクの視線が痛い…
「ち、ちょっと待って下さい!矛盾してませんか?魔神の分身が時空の歪みを使って僕の世界に逃げてきたとか、僕の持ってた乙女ゲームに戻るためとか」
いろいろ、おかしいですよ!と矛盾点を言えばバクはまた首を振った。
『最初らへんに言ったと思うけど、全ての万物に心があり、魂があるって言ったよね?口では語らずとも意思は宿ると。それはどこの世界でも共通することなんだ。現に、キミがいた世界も… 僕らからすればひとつの箱庭に過ぎないんだよ』
混乱する僕にバクは困ったように笑って、そして僕を見据えて言った。
『キミが僕の話を聞いて混乱するのも、なんとなく分かるよ?けど、キミが前にいた世界が全てだとどうして思う?キミがいたあの世界が中心だと考えてはいけないよ。
キミは此処を乙女ゲームの世界だと思っている…。だけどね、此処も… 一つの世界なんだよ?』
「一つの… 世界?」
『そう、僕らからすればキミがいた世界もまた別の世界のゲームとして存在しているかもしれない…。全ては箱庭の一部の世界に過ぎなくて、その乙女ゲームもキミのいた世界もまた… その箱庭の副産物の他ならない。
つまりね、僕が言いたいのは…
此処はキミが思っているような乙女ゲームの世界であって、ゲームでない…
この世界の者は皆、生きているんだ。
混乱しているだろうキミに分かりやすく要約すると、影はキミの持っていた此処をモデルにした副産物、乙女ゲームを媒体にして元の世界に戻ってきた、というのが正しいね。だけど、影にとっても想定外のことが起きた。それがキミと、飛び出してきたトラックだ。
影としてはネコのまま、キミの持っていた乙女ゲームに触れさえすればそれで済む話だった。
だけど、想定外だったのは…
飛び込んできたトラックからネコを守ろうとしたキミの行動だよ。あのとき、キミはネコをトラックから守ろうとネコを咄嗟に掴んで茂みの向こうに投げたよね?』
そういえば…
「――確かに、僕はあのとき 咄嗟にネコを向こう側に投げましたね」
『それが、影にとって想定外の出来事だったんだよ。無論、僕にとってもだけどね。キミは純粋にネコを助けるつもりで逃したのだろうけど、影にとってはそれは想定外で慌てただろうね、きっと。
だって、帰るつもりでいたら、キミにいきなり投げられたんだから。
…ま、それで慌てて引き返して影はキミの元に戻ったんだけど、キミはトラックに轢かれた直後だった。そして影は、キミの持ってた乙女ゲームを媒体に強引に次元を歪め時空間に繋げた。そしてそれはキミがトラックに轢かれた直後と絶妙なタイミングだった。
トラックに轢かれ、死んだキミの魂は影が強引にこじ開けた時空間に一緒に引き摺り込まれたんだ。
要は巻き込まれたんだよね、キミ。
――‥ そして、ここからが本題だよ。いい?
本来、転生の場合、正式な手筈が済まされた上で、いろいろ条件を満たして初めて正規の異世界に転生できるんだ。だけど、キミの場合は正規の手続きを踏んでないから転生にならないんだ』
「異世界に転生するのに、条件とかいろいろあるんですね…」
へぇ、と自分のことなのに、どこかそれが他人事のように感じるのは何故なんでしょうか…。
そこでキミに目を付けた。
……正確には、キミが手に持っていた乙女ゲームにだけどね。いつ発生するかわからない時空の歪みを使わずして、元の世界にも帰れるんだから、そりゃあ目を付けるよね』
いやぁ、ホントに参ったよ!とニコニコと爽やかな笑顔で盛大に溜め息ついて僕を見ながら肩を竦めるバクに罪悪感を刺激される。
ぅぐッ!チクチク、バクの視線が痛い…
「ち、ちょっと待って下さい!矛盾してませんか?魔神の分身が時空の歪みを使って僕の世界に逃げてきたとか、僕の持ってた乙女ゲームに戻るためとか」
いろいろ、おかしいですよ!と矛盾点を言えばバクはまた首を振った。
『最初らへんに言ったと思うけど、全ての万物に心があり、魂があるって言ったよね?口では語らずとも意思は宿ると。それはどこの世界でも共通することなんだ。現に、キミがいた世界も… 僕らからすればひとつの箱庭に過ぎないんだよ』
混乱する僕にバクは困ったように笑って、そして僕を見据えて言った。
『キミが僕の話を聞いて混乱するのも、なんとなく分かるよ?けど、キミが前にいた世界が全てだとどうして思う?キミがいたあの世界が中心だと考えてはいけないよ。
キミは此処を乙女ゲームの世界だと思っている…。だけどね、此処も… 一つの世界なんだよ?』
「一つの… 世界?」
『そう、僕らからすればキミがいた世界もまた別の世界のゲームとして存在しているかもしれない…。全ては箱庭の一部の世界に過ぎなくて、その乙女ゲームもキミのいた世界もまた… その箱庭の副産物の他ならない。
つまりね、僕が言いたいのは…
此処はキミが思っているような乙女ゲームの世界であって、ゲームでない…
この世界の者は皆、生きているんだ。
混乱しているだろうキミに分かりやすく要約すると、影はキミの持っていた此処をモデルにした副産物、乙女ゲームを媒体にして元の世界に戻ってきた、というのが正しいね。だけど、影にとっても想定外のことが起きた。それがキミと、飛び出してきたトラックだ。
影としてはネコのまま、キミの持っていた乙女ゲームに触れさえすればそれで済む話だった。
だけど、想定外だったのは…
飛び込んできたトラックからネコを守ろうとしたキミの行動だよ。あのとき、キミはネコをトラックから守ろうとネコを咄嗟に掴んで茂みの向こうに投げたよね?』
そういえば…
「――確かに、僕はあのとき 咄嗟にネコを向こう側に投げましたね」
『それが、影にとって想定外の出来事だったんだよ。無論、僕にとってもだけどね。キミは純粋にネコを助けるつもりで逃したのだろうけど、影にとってはそれは想定外で慌てただろうね、きっと。
だって、帰るつもりでいたら、キミにいきなり投げられたんだから。
…ま、それで慌てて引き返して影はキミの元に戻ったんだけど、キミはトラックに轢かれた直後だった。そして影は、キミの持ってた乙女ゲームを媒体に強引に次元を歪め時空間に繋げた。そしてそれはキミがトラックに轢かれた直後と絶妙なタイミングだった。
トラックに轢かれ、死んだキミの魂は影が強引にこじ開けた時空間に一緒に引き摺り込まれたんだ。
要は巻き込まれたんだよね、キミ。
――‥ そして、ここからが本題だよ。いい?
本来、転生の場合、正式な手筈が済まされた上で、いろいろ条件を満たして初めて正規の異世界に転生できるんだ。だけど、キミの場合は正規の手続きを踏んでないから転生にならないんだ』
「異世界に転生するのに、条件とかいろいろあるんですね…」
へぇ、と自分のことなのに、どこかそれが他人事のように感じるのは何故なんでしょうか…。
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