断罪フラグを回避したらヒロインの攻略対象者である自分の兄に監禁されました。

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- 乙女ゲームの世界観と宿命 -

『ゲームの中のオーディット』

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『キミの世界でも、歴史で都合が悪いものは教えられなかったりしたでしょ?それと一緒だよ。僕がさっき語ったこの世界の話は全てが事実じゃない。
でも、そのせいでこの世界には危機が迫っている…』


首を傾げる僕にバクは今までで一番綺麗な笑みを浮かべた。

『…語られる歴史が全てじゃない。偽りは真実であり、真実は偽りでもある。……歴史に隠された真実を見つけて。キミの埋もれた記憶から思い出して… 歴史の真実を。そしたら、この世界も… 彼女も救われる…』

彼女…?埋もれた記憶??歴史に隠された真実って何のことですか!?


『キミは… 知っているはず。だから思い出して』

「待っ…!」


真っ白な空間がパァァアッと目も開けられないくらいに明るく輝く。思わず腕で目を庇う僕の耳元でバクの声が聞こえた。

『――‥ 愛しい ” ルティ ” キミにこの世界の加護があらんことを… 』

――――――――‥ 
―――‥ 

「…ット!」

「ぅ…っ」


「ット… オーディット!!!」

目を開けると、さっきとは違う部屋のベッドで僕は寝ていて…  あまりの ふかふかのベッドに気持ち良くてまた寝てしまいそうなところで僕はハッと完全に覚醒しました。

「よかった。…目が覚めたのだな」

「あ、兄上…ッ」

裏返った声音、少し顔が引き攣っていても許してほしい。…なぜ、起きたら目の前に兄上がいらっしゃるんでしょうか!?
そして、なぜ僕はメイドと執事、兄上、兄上の従者のジークに囲まれているのでしょうか…?今ひとつ、この状況が把握できていないので誰か教えて頂けたら嬉しいんですが…。

「あ、あの… 僕は一体…」

確か、母上に抱きしめられて嫌悪感と恐怖感を感じていたまでは覚えているのですが、残念ながらその先からは覚えていません。
…もしや、夢でバクと話している間、僕は気絶していた、ということでしょうか?

「……オーディット、気分はどうだ?」

あ、兄上が… あの、兄上が僕に話しかけた!?
ぇえ?!どういう吹きまわしなんですか!?今の今まで腹違いで異母兄弟ということもあってか、たぶん一番の原因は母上なんでしょうけど、これと言って関わることがなかった兄上が… 

僕と必要最低限の言葉しか交わして来なかった、あの兄上から体調を気遣う言葉を頂けるなんて。

ゲームでも、そんな場面はなかったはずなんですが。……いえ、そもそも母上に抱きしめられて、オーディットである僕が気絶する時点で狂い始めたのかもしれません。
ゲームの中では母上に外との関わりを断たれたオーディットは部屋にある意味、軟禁状態だった。
それ故に、オーディットの世界は母上が全てだった。だから、ゲームの中のオーディットは母上に良いように唆され、謀反を企て、母上と共に幼いオーディットは… 兄上によって処刑されました。

…あまり考えたくありませんが、

もしや僕が… 本来の乙女ゲームのレールを変えたわけじゃ・・・・
いえ!ここは深く考えないことにしましょう!!気にしたらいけない気がします!!!
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