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- 陰の王国と廻りだす歯車 -
『捻じ曲げられた運命と深まる謎』
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「それで話を戻すが、その一部の記憶を書き換えられたせいでアイツは自分が『冷酷王』と呼ばれる本当の由来を知らないはずだ。…恐らく、アイツ自身は先代の国王陛下が病に伏せて、腐っていた内部を一掃し、国を一から立て直したときに付いたものだと思っているだろうが事実は違う」
「あの…!」
命を削って、そう言ったジークに気になったことがあって、新たに口を開きかけたジークを止めた。
「ん?どうした?」
「さっき、先代の国王夫妻は命を削って、と言いましたよね?それって、先代の国王が病に伏せた理由と、前王妃が早くに亡くなった理由に関係しているんですか?」
……どうして、兄上も知らない事実をジークが知っているのか気になりますが、それよりも気になった先代の国王夫妻の死因の答えを兄上の一従者であるジークが知るはずがないのに… なんとなく、聞かなければいけない気がして、聞いてしまいました。
「そう… だな」
僕の疑問に、歯切れ悪そうに渋るジークは僕の目を見て何故か苦笑すると、
「フッ、やはりジキルドと似ているな。そういうところは…。」
「わ、わ…ッ!ちょ、なにするんですかッ!」
いきなり、クシャクシャと頭を撫でられ肩を竦められました。Σ…って、いや、肩を竦めたいのは寧ろ、僕のほうなんですが!
ボサボサに乱された髪を手ぐしで整えていると、ジークから、クックッと喉の奥で笑う独特の声が降りてきました。…まったくもうッ!人のことを何だと思ってるんでしょうか!?
…だけど、
なんだか、ごまかされたように感じて、時おりジークの瞳の奥に映る… 兄上とは違うものを含んだ瞳が気になって、僕はジークに話の続きを促した。
「直接的な死には関わってはいないが、間接的には関わっているだろうな」
「間接的って…?どういう??」
「そうだな、先代の国王陛下は… 病に伏せた。だがそれは、寿命を削ったことによって免疫力が低下し、本来死ぬはずがない軽い病だった。つまり、その寿命を削らなければ病はただの風邪として、死に至るほどでもなかったということだ」
そんな…ッ!
「それは前王妃にも言えることだ。命を削り、本来の己の運命を変えてしまったことで天寿を全うする死の運命も変えてしまった。直接的な死因はそれぞれ違うにしろ、本来の運命を変えたことでそれぞれの天寿を変えてしまったことが二人の早死にの要因だ」
「…………」
「まあ、あくまで要因の一つだが。だが、前王妃の死に関しては、未だに謎がある…」
え?
意外でした。何もかもわかっているように話すのに、そう言って顎に指を添えて考え込む厳しい表情のジークは僕がキョトン… としていたからでしょうか。難しい表情をやめて少し困ったように笑うと、
「お前に… この話はまだ早いな」
ごまかすように少し乱暴に頭を撫でられました。
「あの…!」
命を削って、そう言ったジークに気になったことがあって、新たに口を開きかけたジークを止めた。
「ん?どうした?」
「さっき、先代の国王夫妻は命を削って、と言いましたよね?それって、先代の国王が病に伏せた理由と、前王妃が早くに亡くなった理由に関係しているんですか?」
……どうして、兄上も知らない事実をジークが知っているのか気になりますが、それよりも気になった先代の国王夫妻の死因の答えを兄上の一従者であるジークが知るはずがないのに… なんとなく、聞かなければいけない気がして、聞いてしまいました。
「そう… だな」
僕の疑問に、歯切れ悪そうに渋るジークは僕の目を見て何故か苦笑すると、
「フッ、やはりジキルドと似ているな。そういうところは…。」
「わ、わ…ッ!ちょ、なにするんですかッ!」
いきなり、クシャクシャと頭を撫でられ肩を竦められました。Σ…って、いや、肩を竦めたいのは寧ろ、僕のほうなんですが!
ボサボサに乱された髪を手ぐしで整えていると、ジークから、クックッと喉の奥で笑う独特の声が降りてきました。…まったくもうッ!人のことを何だと思ってるんでしょうか!?
…だけど、
なんだか、ごまかされたように感じて、時おりジークの瞳の奥に映る… 兄上とは違うものを含んだ瞳が気になって、僕はジークに話の続きを促した。
「直接的な死には関わってはいないが、間接的には関わっているだろうな」
「間接的って…?どういう??」
「そうだな、先代の国王陛下は… 病に伏せた。だがそれは、寿命を削ったことによって免疫力が低下し、本来死ぬはずがない軽い病だった。つまり、その寿命を削らなければ病はただの風邪として、死に至るほどでもなかったということだ」
そんな…ッ!
「それは前王妃にも言えることだ。命を削り、本来の己の運命を変えてしまったことで天寿を全うする死の運命も変えてしまった。直接的な死因はそれぞれ違うにしろ、本来の運命を変えたことでそれぞれの天寿を変えてしまったことが二人の早死にの要因だ」
「…………」
「まあ、あくまで要因の一つだが。だが、前王妃の死に関しては、未だに謎がある…」
え?
意外でした。何もかもわかっているように話すのに、そう言って顎に指を添えて考え込む厳しい表情のジークは僕がキョトン… としていたからでしょうか。難しい表情をやめて少し困ったように笑うと、
「お前に… この話はまだ早いな」
ごまかすように少し乱暴に頭を撫でられました。
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