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システムの発動

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『はい。元、です』

「どういうこと…?」


自然と眉間にしわが寄る。

『ミスカトニック図書館、元館長は不正アクセスの介入によりプログラムが書き換えられたことで消去されました。図書館は館長が居て成り立つもの。よって、急遽、このシステムが発動されました。』


それは無機質に答える。

「…システムの発動?」

『館長が居ない空席の状態では図書館の存在意義が成されません。万が一のことを考え、新たに作られた制度になります。尚、これはマスターによって予め作られたプログラムではなく、アリスである私の独断による、追加で新たに作られた法となります。故に、マスターと言えど、これについては異論を受け付けません』


「……なんだって?異論を受け付けない?」


いや、まずツッコミどころが満載なんだけど。

「それに、館長が消去されたって、、まさか…!」


『ええ、貴方のお察しのとおり… 外部からの介入者は貴方の叔父君。罪を裁ききれない神々と悪魔・幻獣… それから禁術、あらゆる叡智が詰まったミスカトニック図書館の館長になるということはそれを支配下に置くということ… 彼は外部より不正アクセスで介入し、プログラムを書き換え、元館長を消去し、自らが館長になろうとしました』

「…!叔父上が!?」

『しかし、それは私はそれを容認しません。当然でしょう。彼のような野心深い人間がこのミスカトニック図書館の館長の座に就けば、このゲーム世界はゲーム世界ではなくなる… 彼の独裁政治によってこの世界が支配されることが目に見えています』


「…………(なんてことだ)」

状況は思っていたよりも悪いのかもしれない。


叔父上は政治家だ。それも野心深く、金と権力で欲しいと思ったものを思いのまま、手に入れてきた欲深い男だ。そんな人間に人望など集まる筈もなく、長年夢見てきた首相という地位を議員たちの投票により、呆気なく破れ、喉から手が出るほどに欲していたその名声は叔父上が敵対視している男の手に渡ったと聞いている。

しかし、自分こそがトップに立つべきだと1ミリも疑わない叔父上はそれに納得いかず、議会に反論を申し立てた。けど、叔父上が主張するその正当性が認められず、即座にその反論は撥ね除けられた。



 しかし、

その数日後。新しい首相はその席に就いて間もないにも関わらず、消息が断って行方知らず。昔から黒い噂が絶えない叔父上。首相の地位を手に出来ず、しかしそれに大人しく引き下がるわけでもなく、裏側の人間を雇い、そして… 新しく首相の座に就いたまだ若い男を殺したと… 世間を専ら騒つかせている。

警察も目を光らせているという話だけど、証拠がなくて逮捕に至らないというのが世間での話しだ。


そして、僕らの父さんと母さんが事故で他界した不審な点も…。事故死して葬儀を行う間もなく、叔父上が事実上この屋敷にやってきて乗っ取ろうとしたことも… 僕は知っている。ただでさえ、兄さんをあんな目に遭わせたあの男の存在が…僕は許せない。叔父上は本当に諦めの悪い男で、父の会社と僕と悠が相続した遺産を奪おうと画作している。

……やっぱり、今回の件は…


(兄さん達のこともあるし、)


さらに、アリスは続けた。
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