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- アルファード王国と黒い獅子 -
『精霊の森と黒き獅子』
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ピチュパチュチュチュッ!
チュチュッ…
「ふ、ふふっ。擽ったい…」
瞼が下りたところで、小鳥が邪魔をする。けれど、それさえも可愛らしく感じて…
気が付いたらまた笑っていた。
◇◇◇
――‥ ?side
” どうしよう。此処へは来てはいけないのに… ”
” せっかく逃げられたのに此処にいてはまた捕まってしまう ”
” 早く… 早く逃さないと ”
” 逃げて。逃げて… 彼に見つかる前に ”
普段人型を取っているが、いつものように気晴らしに獅子の体になって精霊の森に行くと、
いつもと違って、やけに精霊たちがざわついていた。
(おや、珍しい。いつもは無関心な精霊たちが…)
騒ついているその中心に足を向けると、そこには小鳥に扮した精霊と戯れる… 子供が否、少年がいた。
しかし、『おや?』と首を傾げる。
その少年の姿に見覚えがあった。否、向こうはこの姿の私に気付いていないのだろうが、確か…
――‥ それにしても、
あの少年ならば、小鳥の正体に気づきそうだけども、小鳥と戯れることが楽しくて気付いてないようだね…。
ふむ、しかし。
精霊がうるさい。
◇◇◇
―― カサッ
葉を踏む音に、ハッとして視線を向けると…
体が… 震えた。
「こ、これが… 噂に聞く、もふもふというものでしょうか」
『………』
歓喜に震える琥珀を無視し、琥珀の前に腰を下ろした。軽く寝そべる姿に琥珀の興奮は止まらない
「確か、ライオン…という生き物でしたっけ?前に、大王に裁きを受けた… サバンナの密猟者の、生前の罪を映す罪裁きの鏡に確か映っていました…
しかし、それにしてもあのライオンとは色も大きさも違うんですね」
琥珀は首を傾げる…
琥珀が生前密猟者だった人間の罪裁きの鏡に映っていたのは黄色のたてがみと立派な躰つきのライオンだったが、今目の前で寝そべっているのはそれよりもふた回りも大きく、また黄色ではなく、艶やかな漆黒の… ライオン 否、獅子だった。
恐る恐る…
『…………』
ちょん、
触ってみる。
一瞬、ピクピクと片方の耳が動いたが、ライオンもといふた回り以上も大きいこの漆黒の獅子は眠たそうに目を細めるだけだった。
ばふっ!
思いきって抱きついてみた。しかし、相変わらず黒い獅子は動かない。それを良いことに琥珀はモフモフしたその毛触りを堪能する…
「もふもふ… それに、暖かい体温」
「堪らないですね。この手触りがなんとも… 」
ふふっ、
小さく笑うと、幸せを噛みしめて、そしてまたその大きく逞しい躰に抱きついた。
チュチュッ…
「ふ、ふふっ。擽ったい…」
瞼が下りたところで、小鳥が邪魔をする。けれど、それさえも可愛らしく感じて…
気が付いたらまた笑っていた。
◇◇◇
――‥ ?side
” どうしよう。此処へは来てはいけないのに… ”
” せっかく逃げられたのに此処にいてはまた捕まってしまう ”
” 早く… 早く逃さないと ”
” 逃げて。逃げて… 彼に見つかる前に ”
普段人型を取っているが、いつものように気晴らしに獅子の体になって精霊の森に行くと、
いつもと違って、やけに精霊たちがざわついていた。
(おや、珍しい。いつもは無関心な精霊たちが…)
騒ついているその中心に足を向けると、そこには小鳥に扮した精霊と戯れる… 子供が否、少年がいた。
しかし、『おや?』と首を傾げる。
その少年の姿に見覚えがあった。否、向こうはこの姿の私に気付いていないのだろうが、確か…
――‥ それにしても、
あの少年ならば、小鳥の正体に気づきそうだけども、小鳥と戯れることが楽しくて気付いてないようだね…。
ふむ、しかし。
精霊がうるさい。
◇◇◇
―― カサッ
葉を踏む音に、ハッとして視線を向けると…
体が… 震えた。
「こ、これが… 噂に聞く、もふもふというものでしょうか」
『………』
歓喜に震える琥珀を無視し、琥珀の前に腰を下ろした。軽く寝そべる姿に琥珀の興奮は止まらない
「確か、ライオン…という生き物でしたっけ?前に、大王に裁きを受けた… サバンナの密猟者の、生前の罪を映す罪裁きの鏡に確か映っていました…
しかし、それにしてもあのライオンとは色も大きさも違うんですね」
琥珀は首を傾げる…
琥珀が生前密猟者だった人間の罪裁きの鏡に映っていたのは黄色のたてがみと立派な躰つきのライオンだったが、今目の前で寝そべっているのはそれよりもふた回りも大きく、また黄色ではなく、艶やかな漆黒の… ライオン 否、獅子だった。
恐る恐る…
『…………』
ちょん、
触ってみる。
一瞬、ピクピクと片方の耳が動いたが、ライオンもといふた回り以上も大きいこの漆黒の獅子は眠たそうに目を細めるだけだった。
ばふっ!
思いきって抱きついてみた。しかし、相変わらず黒い獅子は動かない。それを良いことに琥珀はモフモフしたその毛触りを堪能する…
「もふもふ… それに、暖かい体温」
「堪らないですね。この手触りがなんとも… 」
ふふっ、
小さく笑うと、幸せを噛みしめて、そしてまたその大きく逞しい躰に抱きついた。
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