ザ・兄貴っ！

ねぇねぇ！俺もねっ 召喚魔法できるよ？

気を取り直して――…


『私達が来たからもう大丈夫！』

「信号機に言われてもねぇ…」


『『『…………』』』

『君、ちょっと黙ってような？進まないからストーリーが』


ザキに言われ山田は大人しくしていたが、


『俺達の愛と勇気と光の魔法の力でお前を倒す!!!!』

『ガーハハハハッッ！！やってみるがいい！お前たちに俺が倒せるわけがない！』


――… が、

「魔法？召喚魔法なら‥ 俺、得意だよ？」


山田の言葉に一瞬固まる。……が、そんな山田に突っ掛かったのはレッドだった。

「フンッ！だったら、やってみろよ！」

それは散々邪魔された苛立ちから、つい口から出てしまったことだった‥。

重い空気に、ハッと気づいたレッドは気まずそうにするが山田は特に気にした様子もなく――…


「うん。いいよ」

さらりと答えた。


「は！？お前、意味わかってる!!?」


ブルーも思わず山田にそう訊くが、


「うん。召喚でしょ？

俺が敵を倒しちゃってもいいんだよね？？今頃、お腹空いてると思うから… もしかしたらお腹の中で消化しちゃったら、ごめんね？」

（（（すみません！意味がわかりません！！！）））


何も知らない彼らはそう思うが、野次馬の生徒たちは山田の‥"消化したらごめんね？"という発言に心当たりがあるのが大半。一目散に逃げていた…。


『え、なに！？』

『野次馬がごっそりいなくなったんだけど！！』


『な、なんであんな必死に逃げるんだ！？』


彼らは知るはずもない。



悪気のない山田の… 恐ろしさを-

       理事長が旧友の頼みに渋ったのも‥


すぐに思い知らされることとなる――。