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南条家との出会い編
拾われました。
『ハァハ…ァ…ッ!』
真っ暗な暗闇でひたすら走っていた。まるで何かから逃げるように。けれど、それが何なのか… 自分が何から逃げているのか。自分が…
――『誰なのか。』
それさえも思い出せない中、必死に走り続けた。
暗い暗い暗闇に捕まる寸前で、目の前が瞬く間に明るくなった。
バサッ
「ハ…ァ…ッ!」
『!良かった。目が覚めたようですね…』
荒くなった呼吸に驚きつつも、胸を押さえて必死に呼吸を整える。
『落ち着いて。…此処にあなたを傷付ける人間はいません。だから安心しなさい』
目の前の和服の着物を着た銀縁の眼鏡をかけた20代の男に怪訝な目を向ける。そして、下に落ちた掛け布団…
どうやら、先ほどの音は自分が起きた拍子にこの掛け布団が落ちた音のようだ。
「ぃた…っ!」
ズキリ、と痛む頭を押さえると布地らしき手触りがあった。
はらりと落ちるそれは…
白い包帯で。
『あぁダメですよ。手当てしたばかりなんです。せっかく巻いた包帯が取れてしまいますよ』
そう言って心配そうに眉尻を下げるこの男こそ、南条家の現当主であり、
この先、自分が仕える主人となる人間だった。
そんな彼との出会いはいろんな意味で退屈はしなかった――‥ 。
──────……
───…
「貴方は… だ、れですか?」
「俺は、俺は… 一体…」
自分が一体何者なのか。自分の名前が思い出せなくて… 焦燥して震える声に、
目の前の男は隣の燕尾服を着た執事らしき男と顔を見合わせ、言った。
「――‥ 南くん。…忘れてしまったんですか、私との日々を…」
眉根を八の字にして微かに震える睫毛。
「…すみません。俺、自分の名前も思い出せなくて」
震える手を握り締めると、その人はその手をそっと握り締め…
「私とあなたは…」
そこで一端言葉を切った。
「恋人だったんです」
ふぅ、と その人は小さく溜め息ついた。
「え…っ?」
一瞬、信じられなくて。…確かに、彼は同性の俺から見ても、中性的で綺麗な人だけども… 自分も相手も男だ。それも、相手は執事付き。
このイマイチ現状を把握出来てない中、さらなるカミングアウトに驚きに目を見開いていると、
『……旦那様』
隣に立つ執事の男が、何故だろうか… 呆れた目をしている
『旦那様、いくら気に入ったからと彼が何も覚えていないことをいい事に嘘を言うものではありませんよ』
きょとん。。
「え… 嘘?」
目をパチパチ。視線を『旦那様』と呼ばれた目の前の中性的な顔の男に向けると、
「くすくすくす…。
すみません。あなたがあまりにも可愛いらしくて… つい、そんな嘘をついてしまいました」
「は、はぁ…。」
くすくすくす笑う彼は悪びれもないけれど、なぜか怒る気にもなれなくて、
『……こういうときは怒っていいんですよ』
目の前の主人の男に対し臆することもなく、俺にそんな助言をする執事の男に困惑した表情を向けた。
真っ暗な暗闇でひたすら走っていた。まるで何かから逃げるように。けれど、それが何なのか… 自分が何から逃げているのか。自分が…
――『誰なのか。』
それさえも思い出せない中、必死に走り続けた。
暗い暗い暗闇に捕まる寸前で、目の前が瞬く間に明るくなった。
バサッ
「ハ…ァ…ッ!」
『!良かった。目が覚めたようですね…』
荒くなった呼吸に驚きつつも、胸を押さえて必死に呼吸を整える。
『落ち着いて。…此処にあなたを傷付ける人間はいません。だから安心しなさい』
目の前の和服の着物を着た銀縁の眼鏡をかけた20代の男に怪訝な目を向ける。そして、下に落ちた掛け布団…
どうやら、先ほどの音は自分が起きた拍子にこの掛け布団が落ちた音のようだ。
「ぃた…っ!」
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白い包帯で。
『あぁダメですよ。手当てしたばかりなんです。せっかく巻いた包帯が取れてしまいますよ』
そう言って心配そうに眉尻を下げるこの男こそ、南条家の現当主であり、
この先、自分が仕える主人となる人間だった。
そんな彼との出会いはいろんな意味で退屈はしなかった――‥ 。
──────……
───…
「貴方は… だ、れですか?」
「俺は、俺は… 一体…」
自分が一体何者なのか。自分の名前が思い出せなくて… 焦燥して震える声に、
目の前の男は隣の燕尾服を着た執事らしき男と顔を見合わせ、言った。
「――‥ 南くん。…忘れてしまったんですか、私との日々を…」
眉根を八の字にして微かに震える睫毛。
「…すみません。俺、自分の名前も思い出せなくて」
震える手を握り締めると、その人はその手をそっと握り締め…
「私とあなたは…」
そこで一端言葉を切った。
「恋人だったんです」
ふぅ、と その人は小さく溜め息ついた。
「え…っ?」
一瞬、信じられなくて。…確かに、彼は同性の俺から見ても、中性的で綺麗な人だけども… 自分も相手も男だ。それも、相手は執事付き。
このイマイチ現状を把握出来てない中、さらなるカミングアウトに驚きに目を見開いていると、
『……旦那様』
隣に立つ執事の男が、何故だろうか… 呆れた目をしている
『旦那様、いくら気に入ったからと彼が何も覚えていないことをいい事に嘘を言うものではありませんよ』
きょとん。。
「え… 嘘?」
目をパチパチ。視線を『旦那様』と呼ばれた目の前の中性的な顔の男に向けると、
「くすくすくす…。
すみません。あなたがあまりにも可愛いらしくて… つい、そんな嘘をついてしまいました」
「は、はぁ…。」
くすくすくす笑う彼は悪びれもないけれど、なぜか怒る気にもなれなくて、
『……こういうときは怒っていいんですよ』
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