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南条家との出会い編
その写真が意味するものは───。
「…寝てしまいましたね」
「ええ」
セツは眠りに落ちた南を見つめてから、自身が仕える主に目を移した。
「はぁ、どうするんですか。彼…?まさか、本当に南条家に入れるおつもりで?」
「おや、セツは反対ですか?」
わかっていて、それでいて含んだ笑みを浮かべる困った旦那さまに深い溜め息が漏れる…
その視線の先に気付いた旦那さまは少しまた笑うとその先にあった握りしめていた片方の手を開く。そこから出てきたのは一枚の古びた写真。
チャイナ服を着た金髪を後ろに束ねた見目麗しい青年を真ん中に、色とりどりの花というべきか。いろんな色のチャイナ服を身に纏う外見のタイプが異なる女性たちがその男を囲うように立っていて、その青年の前に子供が写っていた。
南、そう旦那さまが名付けたばかりの彼を見つけたときに強く握りしめていた写真だった。
「───わかっておいででしょう?その写真が意味することが」
「………ええ、わかっていますよ。この子はあの、李家の人間だということもね」
「ならば、何故です?彼を側に置くことは…」
あまりに危険では?そう口にするも旦那さまは首を横に振るだけ。
「ですが、今の彼は何も覚えいない。…そうでしょう?セツ。それに、状況から見るとあそこから逃げて来たのかもしれません。それなのに、放り出すというのは… 酷というものでしょう?」
「…………」
「ふふっ、セツもそんな表情をしないでください。それに、李家と南条家は切っても切れない関係。それはあなたも知っているでしょう?」
「……今でこそは、日本で南条家という大きな財閥となりましたが、元は中国の李家と縁を切り、国を出た分家の末端」
苦虫潰したような表情に旦那さまはまたくすりと笑う
「そんな表情をしていますが、私も分家の末端とはいえ、一応は彼らと同じ血を引いてはいるのですよ?セツ」
「ですが、旦那さまは…!」
「しぃー…静かに。南くんが起きてしまいます。本家である李家は暗殺業を生業とした一族。プロの殺し屋です。分家の末端に成り下がったとはいえ、彼は私の兄、ですからねぇ… 分家の末端とはいえ、煩わしく感じれば刺客を寄越さないとは限らないあの男です」
「……だからこそ、南条家には信頼の置ける人間しか置いていないのですよ。それと、彼らと太刀打ち出来る人間を。迷惑かけますねセツ…」
迷惑かけますね、と言いつつ、ふふっと小さく笑みを浮かべるこの人の心情は計り知れなくて、いつもに増して溜め息が増える。
「迷惑掛けられるのは… 今に始まったことではありませんので」
そう短く告げると、小さく微笑んだ。
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