生徒会補佐様は平凡を望む

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南条家との出会い編

垣間見える血濡れた記憶と既視感と覚醒

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山と積もる屍… それから、赤い血の水溜り。

さっきまで何も感じなかったのに、突然として既視感を覚える… 


    きっかけは、

『…おや?どうやら雨が降って来たようですね』

さっきまで聞こえなかった外から聞こえる、ザザ降りの… 雨の音だった。


─── どっくん…!

何故だろう、ドクンッと鼓動が跳ねる。鼓動がドクドクと大きく動き、微かに手先が震えるのは───…


     …どうして?

震える自分の手の平が、何もないのに、あるはずのない真っ赤に血で濡れた手が知らないはず・・・・・・の記憶を呼び戻す。

ざり、と唐突にノイズが走る。それと同時に鮮明な映像がノイズによって途切れ途切れに部分的に思い出す…


「ぁ、あ… あぁッ!」

『!』

『南くんっ!?』


頭が痛い。足に力がはいらず、ガクリと膝をつく。


───そう、あの日も… 雨がよく降る夜だった。母が殺されたのは… 。


「南くん!?南くん…っ!しっかりしてください!南くん!!!」

父上が、あの日… 力無き者は一族に要らないと、目の前で平然と母さんの胸を剣で貫いたのは… 外から聞こえる雨の音と血の水溜りと横たわる遺体に思い出したくなかった忌まわしい過去の記憶と被る

…あの人は言った。

うちの一族に弱きモノは要らないと。


あの人は言った。

敗者は… 死すべきだ、と。彼はそう言ってまだ幼かった俺の目の前で母を殺した。崩れ落ちる母の体から出た血しぶきが血の水溜りとなって、そこに顔面蒼白でガタガタ震える俺が立っていた。

あの人は… 震える俺の耳にそっと低すぎない甘い美声で囁いた


『───彼女は弱かった。だから死んだ。うちの一族に弱き人間は要らない。敗者には、死を… これは一族の掟だ』

女性にモテる甘いマスクと甘い美声、見目麗しい青年と見紛う成人した、肩まで伸びた金髪を後ろに束ねたチャイナ服を着た男は… 整った顔立ちと甘い美声とは真逆の残虐で非道な冷酷な人間だった。

─── 南くんっ!?どうしたんですかっ南くん!!!

義父さんの霞んだ声が遠くで聞こえた気がするけれど、父上の… あの人の言葉がまるで鎖のように俺の思考をがんじがらめにしていく

『いいかい?お前は昔の僕に瓜二つだ。僕の自慢の息子であり、我が一族の… 僕の後継者はお前だ。死んだアレはお前にとって、邪魔にしかならない。大切なものは、お前の弱みになるからね』

ニコニコと血塗れになった母の亡骸を前にあの人は、あの男は… アレと呼ぶ。弱みになるから、と死んで構わない人間だと… あの人はまるで幼かった俺にトラウマの如く戒めとして一族の血に縛り付けるように、暗示の如く、何度も何度も繰り返し、告げる。

    ───うちの一族に弱き人間は要らない。


敗者には死を、負けることは恥だと。敗者は死すべきだ、と何度も何度も… 幼かった俺に繰り返しそう告げた。決まって、雨のよく降る夜に、あの人は自身の腕を切りつけ、赤い血を垂らし、下に落ちる赤い雫を俺に見せながら、

あの人は… 決まってこう言った。

『……さあ、目覚めの時間だよ』と。


───そして、目の前が真っ暗になった。
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