生徒会補佐様は平凡を望む

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南条家との出会い編

───雪斗side②

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───雪斗side


ゆらり、とゆっくり立ち上がる南くんはどこか目の焦点が定まらず、その瞳は先ほどの生気が宿った瞳とは打って変わって… 虚ろで。

    そして、突然のことだった。


「みな…!『旦那様!!!』

──ザザッ!

「(く…っ、速い!)」

こちらに虚ろな目を向けた南くんが突如として… 襲って来たのは───。

普通、襲撃してくる刺客はその瞳に明確な殺意が宿っている。けど、南くんの場合は…!

「南くんっつ!!!」

その瞳に一切、殺意が無い。殺意が無ければ殺気も無い。なのに、南くんの攻撃は一切の迷いがなく、ただ目の前にあるモノに飛び掛かっているように見える…

───ダンッッ!!!

強く地を蹴り、体を素早く回転させるとその勢いに任せて突っ込んでくる。

「は…っ! く…っ、」

その、顔面に向かってきた南くんの蹴りを避け、後ろに滑るように後退した。


いくら呼び掛けても戦闘態勢を解かない南くんにセツがすぐに臨戦態勢に入る。


       ヒュン!

                カッ、キィイン!!!

一閃が交わる刃、

      ── ッ!?


「セツ!!! だめですっっ!!南くんは恐らく… 暗示に掛かっているだけですっ 彼自身に私を殺す意思はありません!殺すつもりなら、とっくに機会はあったはず…!だから、殺しては…」

尚も攻撃を止めない南くんにセツが銃を取り出したのを目で捉え慌てて制止の声をかける。

『では、どうしろと!?声は届かない!こちらがその気は無くても向こうは殺す気で掛かってるのですよ!?……くっ、!』

どうすればいいのか…。南くんを傷付けず、南くんを正気に戻す方法はないのか、手をこまねいている間にも、南くんは虚ろな瞳を向け、トンッ!と軽くステップを踏むと、高く跳躍し… 片足を軸に素早く身体をくるりと回転させる

      ───そして、

交差させた手には指と指の間に長針が…

 その刹那、

勢いに任せてその長針を放って来た。

「───ッ」


ハッと息を呑んだその瞬間、1つの影が前を横切る…

『やあ… 久しぶりだね、雪斗』

唐突に聞こえた第三者の声、


「随分、面白そうなことになってるけど… 君はいつからそんな腑抜けになったんだい?───天下の副会長サマ?」

南くんと私との間に立ち塞がる金髪碧眼の… どこの貴公子かと思わざるを得ないほど見目麗しい青年、否。成人した男は後ろで鬱陶しげに一括りに束ねた髪を後ろに払い退ける…

「う、ウィリアムズ…!」

突然の乱入者に、戸惑いよりも驚きが勝り… 大きく大きく目を見開く。

そこに立っていたのは母校の、かつての生徒会長サマで。裏社会を束ね、世界最恐のマフィアのボス。

───ウィリアムズ・リチャードが立っていた。
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