リトル君の魔法学園生活

鬼灯

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37_デート

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「はぁ、はぁ、死ぬ」

「リトル、大丈夫?」

なんでこいつはあんなに走ったのに息すら切れてないんだ。これが、イケメンとの差なのか…

「イケメン滅べ」

「イケメンは関係ないよ。僕は剣士だから、体力はあるんだよ」


そうだった…。

「リトルの息が整ったら服屋に行こうね。せっかくだからコーディネートさせて」

そういえば、そんな約束をした気がする。

「是非お願いします!」

「じゃあ、行こうか」

俺たちはセルトの案内で服屋に向かった。俺は服に詳しくない。わかんないしな。任せるのが一番だ。

「俺は服に詳しくないから、頼むな?」

「うん!楽しみだな。あ、ここに入ろう」

セルトが指をさしたのは、そこそこ広い男性ものの服屋だった。オシャレでシックな店で、俺1人だったら絶対この店には入れない。

「リトルはどんなのが好き?」

セルトは早速俺の体に服を合わせていく。

「派手じゃないのかな…」

俺みたいな平凡が派手なのを着ると悪目立ちしてしまう。俺は自分のことをしっかり理解している平凡なんだ。

「じゃあ…これと、これと、これが良いかな!じゃあ、着てみて?」

バッと渡された服ごと試着室に放り込まれた。セルトは結構強引なんだな…。

「めっちゃオシャレだな…」

白のVネックにジャケットに綿パン俺みたいな平凡にはレベルが高すぎる気がする。

「セルト~、着たぞ」

「ん?わぁ!リトル可愛い!」

こんなかっこいい服着て可愛いと言われる俺って…。

「じゃあ、行こっか!」

「え!?ちょ、着替えないと」

「大丈夫、もう買ったから」

「いつ!?」

「リトルが着替えてる時。あ、お金を払うなんて野暮なこと言わないでよ!僕に格好つけさせてね」

クソ、こいつは何処までもイケメンなのか。納得いかない、イケメン滅びろ。

「それに、リトルが僕の選んだ服を着てる間はリトルを独占してる気分になれるから」


さらっと恥ずかしいことを言いやがって、なんなんだよこのイケメンは。何がしたいんだよ。男の俺を落とそうってのか。イケメン滅べ。

「お前、意外にたらしか?//」

「リトルだけにね」

「あー!もう、恥ずかしいことばっか言うんじゃねぇよ!」

「リトル、顔真っ赤」

「うるせぇ!//行くぞ!」

俺はセルトに背を向けて歩き始める。今日のこいつはおかしいんだきっと。

「待ってよ、リトル。今日は僕がエスコートするんだから。せっかくのデートでしょ」

「俺は女か!これは、逃亡だ!」

「リトルは男だよ?だから可愛いんじゃないか。それにせっかく久しぶりに2人で出かけられたんだから、そっちの方が素敵でしょ?」

セルトは俺の手を握ってそう言った。こいつタラシだ。絶対タラシだ。

「イケメン滅びろ!!」

俺の悲痛の思いは風に乗ってきっと全国のイケメンに届いたはずだ。
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