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46_朝
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「またか…」
俺は起きた瞬間ため息をつく。俺の隣には俺を抱きしめて寝るフィルさんの姿があった。シングルで狭いんだからやめろっていっているのにフィルさんは一向にやめないんだ。温いんだと。俺はフィルさんを起こさないように抜け出そうとする。
「ん…」
「ちょ…」
座ったところでフィルさんは向け出そうとする俺の腰をがっちりつかんで離さない。
「どうしよう…」
そう呟くとフィルさんに手を引かれた。俺はベットに再び寝る形になる。
「…起きてるでしょ?」
「…」
フィルさんは俺の言葉を無視すると、俺を抱きしめ、頭を撫でた。こんなことされたら、普段の俺なら慌てるだろうが相手はフィルさん。もう慣れた。
「おはよう」
「おはよう…ちゅ」
「ん」
フィルさんは俺のほっぺにキスをする。これはフィルさんのおはようの儀式らしい。これをしないと1日が不幸になるそうで、俺は幼い頃からこの儀式に付き合っている。
コンコンッ
「はい?」
「失礼します。やはり、ここにいらしゃいましたね。フィル様」
入って来たのはメガネをかけた長身イケメンのリムさんだ。リムさんは、フィルさんの秘書をしていて、真面目で堅物で良い人だ。
「邪魔するな」
「します。リトル様が帰ってこられていても仕事はきっちりこなして頂けないと困ります」
「1日休んだところで問題ないだろう」
「問題あります。それにそもそもフィル様は今日からリトル様が帰られるまで、半日休暇を取られているではありませんか」
「それじゃあ、リトル不足なんだよ」
「リトル様不足で死ぬことはありません」
終わらない攻防に呆れる俺。だってよ?フィルさんが俺のことで仕事休むなんて日常茶飯事だったんだぜ?その度にリムさんはこうやって戦ってるんだよ。
「フィルさん、ちゃんと仕事しないと俺もう戻ってこないよ?フィルさんの迷惑になりたくない」
「…ずるいぞ。リトル」
「さぁ、リトル様もこうおっしゃっています。仕事してください」
フィルさんはリムさんと視線を合わしてしばらく動かなかったが、俺がトントンと背中を叩くとため息を吐いて立ち上がった。
「分かったよ。やれば良いんだろ。朝食は書斎に持って来てくれ」
「すでに手配済みです」
さすがリムさんだ。
「用意周到すぎて怖いんだけど」
「これくらいできなくては、フィル様の秘書として失格です」
「大袈裟だな。あ、リトルはお昼過ぎまでに支度しとけよ。遊びに行くからな」
「え?うん!」
フィルさんはじゃあ行ってくる。ご機嫌に部屋を出て行った。
「…ヒルエの部屋行こう」
俺は寝巻きのまま隣のヒルエの部屋に向かった。ヒルエの部屋で寝れば絶対起こしてもらえる。フィルさんとの約束を寝坊せずに済む。
「ヒルエー、起きてるー?」
「起きてる」
俺が部屋に入るとヒルエはすでに着替えて優雅にコーヒーを飲みながらテレビを見ていた。
「お前、着替えぐらいしろよ」
「良いんだ。俺はもう少し寝る」
俺はヒルエの布団に潜り込む。まだ暖かい気がする。
「お昼に起こして」
「…はぁ」
ヒルエはため息をついて俺のそばに寄ってくる。
「一回で起きなかったら犯す」
「そりゃないよ、ヒルエさん。俺寝起き悪いもん」
「分かってんなら直せ」
いやいや、分かってるくらいで治せるなら人はコンプレックスなんて持たないと思う。
「むり…」
「じゃあ、寝るな」
ヒルエは俺のほっぺを摘んで言った。
「いたひ!!」
「これで 寝ないで済むな」
鬼、鬼だ!!!
「いひゃいでおひるかりゃ」
「最初からそう言え」
ヒルエは俺のほっぺからやっと手を離す。俺はほっぺをさすりながら布団の中に入る。絶対一回で起きてやる。そう自分に言い聞かせながら、俺は眠りについた。
俺は起きた瞬間ため息をつく。俺の隣には俺を抱きしめて寝るフィルさんの姿があった。シングルで狭いんだからやめろっていっているのにフィルさんは一向にやめないんだ。温いんだと。俺はフィルさんを起こさないように抜け出そうとする。
「ん…」
「ちょ…」
座ったところでフィルさんは向け出そうとする俺の腰をがっちりつかんで離さない。
「どうしよう…」
そう呟くとフィルさんに手を引かれた。俺はベットに再び寝る形になる。
「…起きてるでしょ?」
「…」
フィルさんは俺の言葉を無視すると、俺を抱きしめ、頭を撫でた。こんなことされたら、普段の俺なら慌てるだろうが相手はフィルさん。もう慣れた。
「おはよう」
「おはよう…ちゅ」
「ん」
フィルさんは俺のほっぺにキスをする。これはフィルさんのおはようの儀式らしい。これをしないと1日が不幸になるそうで、俺は幼い頃からこの儀式に付き合っている。
コンコンッ
「はい?」
「失礼します。やはり、ここにいらしゃいましたね。フィル様」
入って来たのはメガネをかけた長身イケメンのリムさんだ。リムさんは、フィルさんの秘書をしていて、真面目で堅物で良い人だ。
「邪魔するな」
「します。リトル様が帰ってこられていても仕事はきっちりこなして頂けないと困ります」
「1日休んだところで問題ないだろう」
「問題あります。それにそもそもフィル様は今日からリトル様が帰られるまで、半日休暇を取られているではありませんか」
「それじゃあ、リトル不足なんだよ」
「リトル様不足で死ぬことはありません」
終わらない攻防に呆れる俺。だってよ?フィルさんが俺のことで仕事休むなんて日常茶飯事だったんだぜ?その度にリムさんはこうやって戦ってるんだよ。
「フィルさん、ちゃんと仕事しないと俺もう戻ってこないよ?フィルさんの迷惑になりたくない」
「…ずるいぞ。リトル」
「さぁ、リトル様もこうおっしゃっています。仕事してください」
フィルさんはリムさんと視線を合わしてしばらく動かなかったが、俺がトントンと背中を叩くとため息を吐いて立ち上がった。
「分かったよ。やれば良いんだろ。朝食は書斎に持って来てくれ」
「すでに手配済みです」
さすがリムさんだ。
「用意周到すぎて怖いんだけど」
「これくらいできなくては、フィル様の秘書として失格です」
「大袈裟だな。あ、リトルはお昼過ぎまでに支度しとけよ。遊びに行くからな」
「え?うん!」
フィルさんはじゃあ行ってくる。ご機嫌に部屋を出て行った。
「…ヒルエの部屋行こう」
俺は寝巻きのまま隣のヒルエの部屋に向かった。ヒルエの部屋で寝れば絶対起こしてもらえる。フィルさんとの約束を寝坊せずに済む。
「ヒルエー、起きてるー?」
「起きてる」
俺が部屋に入るとヒルエはすでに着替えて優雅にコーヒーを飲みながらテレビを見ていた。
「お前、着替えぐらいしろよ」
「良いんだ。俺はもう少し寝る」
俺はヒルエの布団に潜り込む。まだ暖かい気がする。
「お昼に起こして」
「…はぁ」
ヒルエはため息をついて俺のそばに寄ってくる。
「一回で起きなかったら犯す」
「そりゃないよ、ヒルエさん。俺寝起き悪いもん」
「分かってんなら直せ」
いやいや、分かってるくらいで治せるなら人はコンプレックスなんて持たないと思う。
「むり…」
「じゃあ、寝るな」
ヒルエは俺のほっぺを摘んで言った。
「いたひ!!」
「これで 寝ないで済むな」
鬼、鬼だ!!!
「いひゃいでおひるかりゃ」
「最初からそう言え」
ヒルエは俺のほっぺからやっと手を離す。俺はほっぺをさすりながら布団の中に入る。絶対一回で起きてやる。そう自分に言い聞かせながら、俺は眠りについた。
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