リトル君の魔法学園生活

鬼灯

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83_魔物の群れ

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朝御飯を食べた後、緊張した面持ちで俺達は森の入り口に立つ。

「俺、やっぱ帰る…」

俺が背を向けて歩き出すと、ヒルエが首根っこをつかむ。俺は引こずられることが分かっていたため、とりあえず、しゃがむ。ヒルエの手は予想通り離れた。

「今帰ったら犯す」

「犯されるのは嫌だ!でも、こんな森入ったら死んでしまう!嫌な予感がするんだよ」

「予感ね…」

禍々しい雰囲気に包まれた森は俺の声に反応するように木々を揺らす。ヒルエの目線は俺を見下ろしている。その目は悲しそうだ。

「ヒルエ…大丈夫か?」

無意識にそう声をかけてしまった。

「お前が大丈夫かよ」

視線が外れたヒルエの表情はいつも通りに戻っている。

「僕がリトルを守るから大丈夫だよ」

「俺もいる」

セルトは俺の手を両手で握って力説する。ギルもセルトの肩に手を置いてそう言った。

「リトル君、僕が風魔法で運んで上げようか?そうしたらすぐ逃げられるよ」

「それは怖いから辞めておく!!」


置いていかれたり、地面に落とされるかもしれない…。

「行くぞ、魔物狩った後に魔物の一部を切り取るのが時間かかるんだからさっさとしろよ」

ヒルエはダルそうに森に向かって歩いていく。その勇気が凄いよ。尊敬するよ。

俺はセルトに手を引かれながら森の中に入っていく。森の中は暗くじめじめしていた。薄暗いがインディアは大丈夫なんだろうか…。

俺はインディアを盗み見る。いつもと変わらない様子だ。おそらく大丈夫だろう。

「おい、ホーンラビットだ」

ヒルエが早速魔物を見つけた。ホーンラビットはそんなに強い魔物じゃない。ただ…


「数、えげつなぁ…」

何百匹いるんだよ。いくら群れで行動するからって多すぎだろ。

「とりあえず、片っ端から片付けていくか」

ギルはもう戦闘体制に入っている。

ザンッ

目の前にいたホーンラビットの首が切り落とされた。

「それがいいね、手っ取り早い」

どうやらインディアが風魔法を使ったみたいだ。でも、詠唱なんて聞こえなかった。

「我の剣をここへーサモン」

セルトが自身の刀を召喚する。それを合図にホーンラビットはこちらに気づいたようで一斉に襲いかかってくる。

「し、死ぬ…」

「リトルは隠れてて!」

俺はお言葉に甘えて、草陰に隠れる。お前も戦えって?この戦力見てよ、問題ないよ、俺要らない。


「俺、角集めるわ…」

何もしないのも申し訳ないから俺はホーンラビットの角を集める。ヒルエが仕留めたホーンラビットは燃えてて角が何個か灰になってる。加減してよ。

「終わったね」

「おかしい…」

ヒルエは顎に手を添えて考える素振りを見せる。

「ヒルエも気になるか?」

「ギルも気づいたか。ホーンラビットはこんなに攻撃的じゃ…」

言葉を続けようとしたヒルエの目は驚きで見開かれていた。俺もヒルエの視線を追いかける。

「…うそ、だろ」

目の前には魔物の群れがあった。目をギラギラさせてこちらを見ている。いやあり得ないだろ。いくら黒の森だと言ってもまだ、序盤だ。そもそもこんなに魔物が群れることはない。

「リトル、シールドを張れ!!誰も戦うな!」

「ひ、光よ。何者も拒み、我を守り給えーシールド」

俺はとっさにみんなの回りにシールドを張った。
声の主は会長だった。魔物達は様子を伺ってる様子だ。

「この状況は非常に危険だ、一旦、転送魔法で移動する」

皆が会長の言葉に頷く。

ガルゥウウウ

唸り声と共に魔物が一斉に襲いかかってきた。

「うわぁあ」

俺はシールドに注ぐ魔力量を増やす。パニックだパニックを起こしている。怖い。

「クソッ、俺様の周りに集まれ、転送するぞ!」

「魔力干渉は?」

「俺様の魔力を大量に注ぐ。干渉できるならしてみやがれ」

会長は魔力を放出させた。凄い魔力量だ。圧倒されてしまう。

「じゃあ、僕はサポートしてあげる」

インディアは会長の手を握る。

「は、干渉を妨害できるなら、最初から言えよ」

「完璧にできる訳じゃない、君の魔力あってこそだよ」

インディアも魔力を解放する。

「シールドがもたないよ!リトルが苦しそう」

「リトル、気張れ」


そう言われても、結構な魔力量を使っている。そもそも多くない魔力量だ。

「行くぞ、」


会長がそう言うと、浮遊感を感じた。
転送される。
俺はシールドをギリギリまで保てるよう踏ん張った。










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