リトル君の魔法学園生活

鬼灯

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48_ピアス

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子供達とバイバイしたところで、俺たちは怪しげな店にやってきた。此処は魔法薬や魔法道具が売っている店だ。はっきり言ってこういう店は苦手だ陰気臭い。外で待っていよう。


「リトル、お前も入るんだ」

「いやだ…」

「ビビり」

どうせビビりだよ。怖いもんは怖い。こういう雰囲気は嫌いなんだ。

「ヒルエ、任せたぞ。俺は先に入って準備しておく」

なんの準備!?余計入りたくないんだけど!!怖い怖い!

「リトル、入るぞ」

「い・や・だ!」

俺は逃げ出してみようと後ろを向くが、すぐに首根っこを掴まれ後ろからがっしり抱きしめられる。

「良いのか…?入らなきゃこの場でお前を犯すぞ。朝はみすみす逃したしな。それに今ならフィルもいるぞ」

耳元で囁かれ背中がゾワゾワする。平凡のくせにセクシーな声を出すな。でも、こうなるとヒルエは危険。有言実行だから。まぁ、俺を本気で抱くとは思えないけどな。

「…入ります」

「…チッ」

ヒルエは俺を離して店に入っていく。

「置いてくな!」

俺はヒルエを慌てて追いかけて中に入った。
中に入った感想はまぁ、うん。怖いよね。横を見たら目玉がホルマリン漬けにしてあるし、怪しい薬たくさんあるし、動物の頭(本物ぽい)とか、骸骨とかあるし、怖すぎて気持ち悪い。

そんな店の中で明るい声でフィルさんは話していた。フィルさんを初めてすごいと思ったよ。

「やっときたな」

「ひぃ」

俺は思わず声を上げてしまった。だって、フィルさんと話している人は黒いマントを羽織っていて黒い髪が顔を隠してるんだもん。怖い。

「おやおや、私が怖いのかい」

「…怖い!」

思わず言ってしまった。どうしよう。呪われたりしたら。

「大丈夫だよ。僕は怪しいものじゃない。この店の息子でコールっていうのさ。学校も学年も君と一緒だよ」

知りません知りません知りません知りません知りません知りません知りません知りません知りません知りません知りません知りません。解放してください。

「そのうち会うさ。んじゃ、頼むぜ。コール」

「ヒヒ、任せてください」

コールさんは俺に近づいてくる。俺は思わず後ずさる。それでもゆっくりゆっくり近づいてくる。怖い!俺は壁に追い詰められた。逃げ場がない。

「その表情…。良いですねぇ。」

やめてくれ。楽しまないでくれ!

「じゃあ、ちょっと失礼しますよ」

俺は恐怖で強く目を瞑った。

ガチャ

「いたぁ!」

大きな音が聞こえたと思ったら耳に激痛が走った。

「綺麗に開きましたね」

楽しそうな声でそう言ったコールを俺は殴った。

「…何をするんですか」

「ヒルエ~!」

俺は殴ってすぐヒルエへ抱きつく。フィルさんはダメだ。絶対グルだから。

「おー、よしよし(棒)」

ヒルエは俺の頭を撫でる。めんどくさそうだな。そんな俺の手をフィルさんは引っ張り俺を抱き寄せた。突然のことで反応できなかった。

「せっかく穴開けたんだから、ピアスつけないとな」

フィルさんは白い宝石のようなものがついた小さなピアスを耳につける。

「これは魔力玉を加工したものだからいざとなったら使えるぞ」

「使えるぞって俺、ピアスをつける気ないんだけど」

「良いじゃねぇか。似合ってるぜ」

「まぁ、フィルさんがそういうなら…」

ピアスってチャラチャラしてるようであんまり好きじゃないけど、小さいから髪に隠れるし、魔力玉だし。いざとなったら魔法で塞げば良い。

「よし、お前らは大通りで待ってろ」

フィルさんは俺の頭を優しく撫でる。俺はこれが意外に嫌いじゃない。欲を言えばフィルさんがイケメンじゃなければもっと良い。

「行くぞ、リトル」

ヒルエに呼ばれて、俺は外に向かう。喜んで行きますよ!





-----------


リトルはヒルエに呼ばれて外に出て行く。

「大丈夫か?」

俺はコールの頬に手を置いて、治癒する。

「凶暴な恋人ですねぇ」

「恋人じゃねぇよ。ガキに手を出すわけねぇだろう」

「ヒヒ、じゃあ、なんでわざわざピアスに加工して魔力玉を渡したんですか?」

「…無くさないようにだよ」

あいつはバカだからな。あと1つ理由を挙げるとしたら…

「ヒヒ、素直じゃないですねぇ。どうせ、虫除けでしょうに」

「…うるせぇ」

コールの治療が終わるとコールを立ち上がらせ、俺は出口の方へ歩いて行く。

「あ、そうだそうだ。ちゃんと機能はつけときましたよ」

「…ああ、助かる。じゃあな」

俺は外に出る。冷たい風が心から湧き上がる熱情を落ち着かせる。

「俺はリトルを守る。それがお前との約束だから」

俺は胸のペンダントを強く握った。

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