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ポップコーン
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「え、今この人、私のポップコーン食べなかった?」
こんな日に限って、昨夜の渾身の努力が祟って
(急に食べたくなって、夜中の3時までティラミスを作っていたのだ)
仕事帰り、猛ダッシュで電車に乗り込んだものの、つい
向かいの席でお母さんの膝の上で気持ちよさそうにふわふわしている赤ちゃんを見ているうちに、あたしの意識もふわふわどっかに行ってしまったのだ。
まぁ、最初は予告だし、大丈夫っちゃ大丈夫なんだけど
あたし映画館で見る予告も結構好きなんだよね。
映画泥棒のやつも、なんか好きなんだよな...
「あ、えっと、キャラメルポップコーンとジンジャエールでお願いします」
ふぅ、なんとか間に合った。
「すみません、すみません」
掻き分け掻き分け、やっと座れた。
左の手すりにドリンクホルダーをかけたところで
丁度映画が始まった。
しばらくして、あたしの左隣にごそごそと着席したのは
大きなスキンヘッドの白人だった。
その隣は彼女さんらしかった(日本人かな?)
異変に気付いたのは、それから10分後くらいだった。
すぅー...がさっ...ぼりぼり
すぅー...がさっ...ぼりぼり
と、、、隣の外人が
あたしのキャラメルポップコーンをぼりぼりと食べているではないか!
なんなの、、、わざと?バカなの?ちょっ、、、
勢いは止まらない、、、あたしの大事なキャラメルポップコーンが、、、
しかし、強面のゴリラみたいな外人に
あたしが何か言えるわけもなく
今日は運が悪かったと思うしかなかった。
しかし、次の瞬間
「あぉっ!」
隣のゴリラが一瞬たじろいだ。
「ちょっと!何してんの!それ、隣の人のでしょう?
あんたのはこっち!」
あたしは、映画に集中して聞こえないフリを続ける事にした。
「もう信じらんない。これ、ほら早く、戻して!」
すると、そのゴリラは、本来自分が食べるはずだったポップコーン
(多分カレー味)を、ガサゴソガサゴソ
あたしのポップコーンの入れ物に入れ始めた。
ちょ、、、臭いんだけど、、、
「ちょっと、もっとそぉっと、静かに戻しなさいよ。
気付かれちゃうじゃない!」
彼女さん、小声で話しているつもりなのだろうか?
そうしたら、隣のゴリラが今度はフォームを変えて、そぉっとそぉっと
ポップコーンを戻し始めた。
あたしは可笑しくて可笑しくて
笑いをこらえながら
ただただ視線をスクリーンに固定した。
しばらくして、外人は自分が盗んだ分を戻し終えたと満足したらしく
誇らしげに静かになった。
あたしは、カレー味とキャラメル味のポップコーンを食べながら
外国人の彼氏もいいもんだなぁと
ジンジャエールを流し込むのだった。
こんな日に限って、昨夜の渾身の努力が祟って
(急に食べたくなって、夜中の3時までティラミスを作っていたのだ)
仕事帰り、猛ダッシュで電車に乗り込んだものの、つい
向かいの席でお母さんの膝の上で気持ちよさそうにふわふわしている赤ちゃんを見ているうちに、あたしの意識もふわふわどっかに行ってしまったのだ。
まぁ、最初は予告だし、大丈夫っちゃ大丈夫なんだけど
あたし映画館で見る予告も結構好きなんだよね。
映画泥棒のやつも、なんか好きなんだよな...
「あ、えっと、キャラメルポップコーンとジンジャエールでお願いします」
ふぅ、なんとか間に合った。
「すみません、すみません」
掻き分け掻き分け、やっと座れた。
左の手すりにドリンクホルダーをかけたところで
丁度映画が始まった。
しばらくして、あたしの左隣にごそごそと着席したのは
大きなスキンヘッドの白人だった。
その隣は彼女さんらしかった(日本人かな?)
異変に気付いたのは、それから10分後くらいだった。
すぅー...がさっ...ぼりぼり
すぅー...がさっ...ぼりぼり
と、、、隣の外人が
あたしのキャラメルポップコーンをぼりぼりと食べているではないか!
なんなの、、、わざと?バカなの?ちょっ、、、
勢いは止まらない、、、あたしの大事なキャラメルポップコーンが、、、
しかし、強面のゴリラみたいな外人に
あたしが何か言えるわけもなく
今日は運が悪かったと思うしかなかった。
しかし、次の瞬間
「あぉっ!」
隣のゴリラが一瞬たじろいだ。
「ちょっと!何してんの!それ、隣の人のでしょう?
あんたのはこっち!」
あたしは、映画に集中して聞こえないフリを続ける事にした。
「もう信じらんない。これ、ほら早く、戻して!」
すると、そのゴリラは、本来自分が食べるはずだったポップコーン
(多分カレー味)を、ガサゴソガサゴソ
あたしのポップコーンの入れ物に入れ始めた。
ちょ、、、臭いんだけど、、、
「ちょっと、もっとそぉっと、静かに戻しなさいよ。
気付かれちゃうじゃない!」
彼女さん、小声で話しているつもりなのだろうか?
そうしたら、隣のゴリラが今度はフォームを変えて、そぉっとそぉっと
ポップコーンを戻し始めた。
あたしは可笑しくて可笑しくて
笑いをこらえながら
ただただ視線をスクリーンに固定した。
しばらくして、外人は自分が盗んだ分を戻し終えたと満足したらしく
誇らしげに静かになった。
あたしは、カレー味とキャラメル味のポップコーンを食べながら
外国人の彼氏もいいもんだなぁと
ジンジャエールを流し込むのだった。
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