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第9章
デート "ノエル、アイリス編"④
しおりを挟むバニラアイスを食べ終え、"パラダイ"を後にした俺達は再びメインストリートに戻って服屋さんに寄っていた。
今回は特に混んでいたりはしなかったので、予定していた服屋に無事行くことが出来た。
ここは大変品ぞろえがよく、ガインの店とまでは行かないものの時々掘り出し物や他店より優れた服が売っている。
何度か来たこともあるので、もう店員さんとも顔見知りだ。
眼鏡をかけたその店員さんにお願いすると、彼女は嬉々として二人に似合いそうな服を見繕って試着させてくれた。
やはり女性同士で通じるものがあるのか、彼女が選んできた服はことごとくノエルとアイリスも気に入ったらしい。
どうやらお願いして正解だったようだ。
…………………………ただ、興奮のあまり二人に似合う服を自作したいと言ったのには驚かされたが。
「お願い!お願いだから二人が身に纏う服を作らせて!!」
そう鼻息荒く詰め寄られたため断りずらく、結局お願いした。
まぁ彼女の腕前は服飾の予約が殺到するほどなので、わざわざ二人のために作ってくれるのは非常にありがたい。
こんな機会滅多にないだろう。
だがしかし。
その……………彼女の体調がすごく心配だ。
何せ今も目の下のクマがすごく、もう何日もちゃんと寝ていないのが易々と目に取れる。
曰く仕事が溜まりに溜まって、やってもやっても終わらないらしく…………。
そんな中で俺達まで仕事を頼むのはものすごく申し訳なかった。
と言うかむしろその時間で寝て欲しい。
さすがにノエルとアイリスも遠慮がちに話を切ろうとした─────────のだが。
なぜか彼女は断固としてやると言って聞かなかったのだ。
何が彼女をあそこまで駆り立てているのだろうか。
結局、無理をしない程度にと約束してお願いすることにした。
マジで無理だけはしないでね…………?
「あれ、これって…………」
「水着ですね」
「おぉ、もうそんな時期か」
代金を払って服屋を出ようとした時に、ふと入口の横のスペースに女性物の水着が飾られているのを見つけた。
素材は撥水性のある魔物の皮などを使っているものの、外見は前世のと何ら変わりない。
むしろ質で言えばこっちの方が上かもしれないな。
ぽんっ、と手を叩いたノエルの横で俺も頷く。
そうだよね、最近結構暑くなって来てたし……………時期的に言うと、そろそろ前世での七月後半くらいかな?
絶賛海水浴シーズンだ。
でも、こっちの世界じゃあんまり海で泳いでる人見ないよな……………いや、ここがあんまり海に近くないからかもしれないけどさ。
そもそもこの世界の海って、魔物やら何やらのせいで前世とは比べ物にならないくらい危ないしね。
あんまり魔物とかが居ない、リゾート的な場所があればいいけど………………残念ながらそんな場所を俺は知らない。
「今度、皆で来た時に買おっか」
「うむ!」
「はい、そうしましょう!」
しかし、それは皆の水着姿を拝まない理由にはならん!
せっかくの夏なのだ。
絶対に海辺で皆とキャッキャウフフするんだぁー!
さて。
そんな風に内心燃え上がっていた俺はさておき、その後もデートは続いた。
やがて日は暮れて空に夕焼けが広がる。
暗くなるのも時間の問題だろう。
そのため、そろそろ本日最後の予定と行きたいのだが………………。
実は、これについて俺は何も言われていなかった。
ただ何かしらの予定を入れたいから、三、四時間ほど時間を空けておいて欲しいと二人から頼まれていたのだ。
だから俺は知らない。
ノエルとアイリス曰く、当日のお楽しみだそうで。
「ご主人様、こっちです!」
「え、本当にこっち…………?」
「早く行くのだ!」
「お、おう」
二人に手を引かれまず案内されたのは、なんとまさかの細い裏道。
メインストリートからはかけ離れた俺さえ知らない道だ。
この先ってなんかあったっけな…………。
戸惑い気味の俺を置いて二人は楽しそうに手を引き、入り組んだ道を迷いなく進む。
うーむ、ガインの店みたいな穴場のお店……………はさすがにないか。
そこら辺に何個もあったら、もはやそれは穴場じゃないしな。
一体どこへ────────。
俺が思考に耽っているうちに、どうやら目的地に着いたらしい。
十分ほど歩いただろうか。
徐々に暗かった道に光が差し、開けた視界の向こうには…………………。
「………………………あの、ノエルさんアイリスさん。ここってまさか……………」
「「 ? 」」
開けた視界の向こう側。
そびえるのはいくつもの怪しい建物と、行き交う人々。
中でも扇情的な格好のお姉さんは非常に目立つ。
すっかり暗くなった空を彩るのは色とりどりのネオン(?)だ。
完全にホテル街じゃん。
目の前の建物とか、もはや言い逃れする間もなくラブホじゃん。
呆然と目の前の豪華な宿屋を見つめていると、不意に両腕ががっしりホールドされた。
もちろん犯人は言わずもがなノエルとアイリスの二人。
「やっぱりシメはこれなのだ!」
「さあご主人様、行きましょう♡もう予約は済ませていますから」
「準備万端だね!?」
当然二人に拘束された俺に抵抗する権利なんぞ無く、警察に連行される犯人のごとく宿屋の入口に吸い込まれた。
なるほどね、だから三、四時間欲しいって言ってたのか納得だわ。
あまりにも予想外すぎるが……………まぁ、全然ウェルカムっす。
ちなみにアイリスがいつの間にか予約していたこの宿屋、割と…………と言うか結構良いところだったらしく、部屋に小さな露天風呂が付いてた。
もちろん可能性は無いに等しいが、覗きの可能性もあるので魔法で外からじゃ見えないようになっている万全設計。
「あー、体がほぐれるぅ~……………」
だらしない声を漏らしながら、俺は岩に背中を預けて湯船に浸かる。
行為の前にお風呂に入るのは常識ってお母さん言ってたけど、もはやガッツリ風呂浸かっちゃったな……………。
いや、でもこうして一旦落ち着かないとこの急激な事態についていけない気がする。
てかこんな場所にホテル街があるなんて初めて知ったんだけど……………二人はどうやって知ったんだろう。
まさかどこぞの馬鹿に吹き込まれたんじゃあるまいな。
「ヒントはギルドの受付嬢さんですよ」
「シゼルさんだな」
一発で分かったわ。
あの人、うちの嫁になんて事教えてるんだ……………………ありがとうございます!
これは後日ひっそりと感謝を伝える必要がありそうだ。
岩に頭を乗っけて後ろを見ると、逆さになった世界で二人の美少女が俺に微笑む。
ノエルはタオル巻かない派か。
ちなみにノエルがすっぽんぽんなのに対し、アイリスはタオルを体に巻いていた。
浮き出た体のラインやら主張の激しい胸が非常にエロい。
どちらも大変素晴らしかった。
眼福眼福ぅ~…………。
「さて。ご主人様、早速始めましょう♡」
「え、ここで?」
「もう我慢できないのだー!」
「ですね」
宿屋的には別に全然オッケーらしい。
ならば遠慮する必要は無い!
俺達は存分に露天風呂エッチを堪能し、部屋に戻ってからの延長戦も終えて帰路に着いた。
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