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手帳とペンはポケットに入っていたのでサーシャの話を聞き、必要ならメモをする。
地図の提供は断られた。軍事情報に値するものなのかもな。
国の特産品はジャガイモと木材に石灰。それを別の国に売って他の国から必要な物資を手に入れているそうだ。貴金属の類は発見されていない。
鉄が見つかっていないので製鉄の技術は弱く、それゆえに国家としての軍事力も弱い。
南北にある大きな山に囲まれていてそれらが天然の砦として機能している。
東西南北に巨大な国家がありそれらの国家が虎視眈々と狙っているが、今のところこの国には手が出せないということらしい。どこか一国がこのペテルグを侵略したとしても(以前そういうことがあったそうだ)、他の三つの国がここを解放し、結局のところ傀儡に近いかたちでこの国は存在しているようだ。
うーむ・・・国ガチャで思い切り残念なやつを引いたようだ。
「あの・・・アラヒト様。ひとつ質問してもよろしいでしょうか?」
「いいよ。どうしたの?」
「その・・・紙に書かれている記号は何なのでしょうか?」
「俺の居た国の文字だ」
「・・・モジ・・・とは?」
は?
改めて定義を聞かれると難しいな。
「こうやって言葉は話せるよね?」
「はい」
「この言葉を記号にして落とし込んだものが文字」
俺はメモを少し暗唱した。
「凄いものですね・・・憶えるのではなく記録するための記号があるとは」
いや・・・ちょっと待て。
「ペテルグでの出来事や歴史をどうやって記録しているの?」
「耳にしたり聞いたりしたことを記憶しています。あとはわらべ歌などですね」
文字が無いのか!いや、俺が居た世界でも文字を持たない人たちがいたが・・・あれは国という単位などではなく少数民族だったはずだ。
「税金の徴収はどうやっているの?」
文字もなしに。
「物納ですから、獲れた分から収められるだけ王家に納めます。あとは私のように労働力でお仕えすることもあります」
ザル過ぎるだろう。国が弱まるワケだ。
「他の国でもそうなのか?」
「書き言葉というものがあるそうですが、それがアラヒト様が言う文字に当たるかもしれません」
少しずつ分かってきた。この国は外敵によって教育機会を奪われたのか。
国を弱体化させるには無知な人間を量産すればいい。
「7足す8は分かるか?」
「15ですよね。」
「78引く65は?」
「10より大きな数字は・・・専門家でないと分からないかと」
「それは他の国でもそうなのか?」
「貿易国家であるリーベリではそういう計算も民間人ができるとは聞いております」
文字・・・それに数字か・・・数学・・・
「サーシャ。今から俺は異世界の道具を使う。集中力が必要になるから、ちょっと外に出ていてもらえないか?」
「一人にならないと使えないもの、ということでしょうか?」
「議論している時間も惜しい。この道具はあと数日のうちに使えなくなってしまう」
不満げだが、承知しましたと言ってサーシャは出ていった。なにかしらこの部屋を監視する目はあるだろう。にしてもやっておくことがある。
俺はスマホの電源を入れた。残りのバッテリーは60%。使いどころはここしか無いな。
電卓アプリを起動してスマホを横にすると関数電卓になる。
俺は片っ端から数字を入れていき、関数表を作り出していった。
三角関数の値が分かれば、回転する機械類の製作もできるだろう。正確な測量も可能だ。投擲武器も作れるかもしれない。
俺は時間を忘れて関数表を作り出した。バッテリーはもう残っていない。
これで俺のスマホはただのガラクタになったわけだ。
おそらく諜報員として高度な教育を受けて来たであろうサーシャでさえ文字を知らない。
文字と数字が無い国家、ペテルグか。
ざっくり俺が居た時代から千年前というところか。
関数表ができたところで俺は服を脱ぎ、疲れて寝てしまった。
地図の提供は断られた。軍事情報に値するものなのかもな。
国の特産品はジャガイモと木材に石灰。それを別の国に売って他の国から必要な物資を手に入れているそうだ。貴金属の類は発見されていない。
鉄が見つかっていないので製鉄の技術は弱く、それゆえに国家としての軍事力も弱い。
南北にある大きな山に囲まれていてそれらが天然の砦として機能している。
東西南北に巨大な国家がありそれらの国家が虎視眈々と狙っているが、今のところこの国には手が出せないということらしい。どこか一国がこのペテルグを侵略したとしても(以前そういうことがあったそうだ)、他の三つの国がここを解放し、結局のところ傀儡に近いかたちでこの国は存在しているようだ。
うーむ・・・国ガチャで思い切り残念なやつを引いたようだ。
「あの・・・アラヒト様。ひとつ質問してもよろしいでしょうか?」
「いいよ。どうしたの?」
「その・・・紙に書かれている記号は何なのでしょうか?」
「俺の居た国の文字だ」
「・・・モジ・・・とは?」
は?
改めて定義を聞かれると難しいな。
「こうやって言葉は話せるよね?」
「はい」
「この言葉を記号にして落とし込んだものが文字」
俺はメモを少し暗唱した。
「凄いものですね・・・憶えるのではなく記録するための記号があるとは」
いや・・・ちょっと待て。
「ペテルグでの出来事や歴史をどうやって記録しているの?」
「耳にしたり聞いたりしたことを記憶しています。あとはわらべ歌などですね」
文字が無いのか!いや、俺が居た世界でも文字を持たない人たちがいたが・・・あれは国という単位などではなく少数民族だったはずだ。
「税金の徴収はどうやっているの?」
文字もなしに。
「物納ですから、獲れた分から収められるだけ王家に納めます。あとは私のように労働力でお仕えすることもあります」
ザル過ぎるだろう。国が弱まるワケだ。
「他の国でもそうなのか?」
「書き言葉というものがあるそうですが、それがアラヒト様が言う文字に当たるかもしれません」
少しずつ分かってきた。この国は外敵によって教育機会を奪われたのか。
国を弱体化させるには無知な人間を量産すればいい。
「7足す8は分かるか?」
「15ですよね。」
「78引く65は?」
「10より大きな数字は・・・専門家でないと分からないかと」
「それは他の国でもそうなのか?」
「貿易国家であるリーベリではそういう計算も民間人ができるとは聞いております」
文字・・・それに数字か・・・数学・・・
「サーシャ。今から俺は異世界の道具を使う。集中力が必要になるから、ちょっと外に出ていてもらえないか?」
「一人にならないと使えないもの、ということでしょうか?」
「議論している時間も惜しい。この道具はあと数日のうちに使えなくなってしまう」
不満げだが、承知しましたと言ってサーシャは出ていった。なにかしらこの部屋を監視する目はあるだろう。にしてもやっておくことがある。
俺はスマホの電源を入れた。残りのバッテリーは60%。使いどころはここしか無いな。
電卓アプリを起動してスマホを横にすると関数電卓になる。
俺は片っ端から数字を入れていき、関数表を作り出していった。
三角関数の値が分かれば、回転する機械類の製作もできるだろう。正確な測量も可能だ。投擲武器も作れるかもしれない。
俺は時間を忘れて関数表を作り出した。バッテリーはもう残っていない。
これで俺のスマホはただのガラクタになったわけだ。
おそらく諜報員として高度な教育を受けて来たであろうサーシャでさえ文字を知らない。
文字と数字が無い国家、ペテルグか。
ざっくり俺が居た時代から千年前というところか。
関数表ができたところで俺は服を脱ぎ、疲れて寝てしまった。
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