ち○○で楽しむ異世界生活

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55 浄化

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 「申し訳ありません・・・」
 「しょうがないよ。たまにはこういう事もある」
 案の定サーシャは身体を痛めた。お医者さんによれば、括約筋とふくらはぎが切れているそうだ。
 そういや連続絶頂中の女性にもう止めてくれって言われたことは一度も無いな。女性の方が快感に忠実なのか、快感の最中で痛みに鈍感になるのか。サーシャも昨日はあれだけ溜めてもまだ求めていたものなぁ。なんにせよセックスの時の安全管理は男の仕事だ。女性の方が夢中になってしまうのだから、これはもう仕方が無い。俺のちんこも折れずに無事で良かった。

 サーシャと俺、それに護衛二人を連れて預言者様のところへと行く途中だ。
 雪が止んだので屋根付きの馬ぞりで移動している。いつもなら馬に乗ってサーシャと二人で王城へ行けばいいんだけれど、この調子じゃサーシャ自身が身を守ることだって難しいだろう。
 「きちんと身体が治るまで君は抱けないなぁ」
 「そんな・・・いえ・・・そうですね・・・」
 ヘコんでいるというよりも、恥じているという感じだなぁ。
 「やっぱり俺が危ないと思ったら止めるよ。今回みたいに怪我をさせるようなことはしたくない」
 「アラヒト様に余計なお手を煩わせてしまい申し訳ありません・・・」
 俺もけっこういい年になったのに、年齢を重ねてもセックスってやっぱり難しいなぁ。肉体的な制限無しでいくらでもイケるんだったら永遠にイカせたいんだけれど・・・もうそれ人間を相手にしているのかどうかも分からない話だな。
 「しかし、なんで俺たちが預言者様に呼び出されたんだろうな?」

 王城へ着くと預言者様のお世話係の人に呼ばれて、俺とサーシャは預言者様の部屋へと向かった。
 「お部屋に入ってもいいんでしょうか?」
 「預言者様がお待ちです。お二人とも入ってください」
 部屋に入ると預言者様が挨拶もせずにつかつかと俺たちに寄ってきた。
 「サーシャ。目をよく見せなさい」
 「はい」
 サーシャは跪いて預言者様の目線に合わせた。あの深紅の瞳がサーシャを凝視している。
 「・・・信じられない。あなた、魂が浄化されているわよ!」
 サーシャもまた信じられないという顔で驚いている。
 「アラヒト、あなた何をやったの?」
 なにって・・・ナニ以外してませんが。
 「ふつうに彼女を抱いた以外に、特に何もしてませんよ」
 「・・・性は生に通じ、聖へと誘う唯一の道」
 なんの話だ。性?あー、うん。
 「以前に床の技術の話をされていましたが、サーシャとは特に相性がいいですね」
 「もう少し詳しく教えて」
 どう説明したらいいんだ。
 「彼女だけ特別な絶頂の迎え方ができるんですよ。どっかーんって感じですかね」
 「どっかーん・・・たぶんそれね。精霊たちが騒いでいたから二人を呼び出しましたが、実際に目の前で見るまで信じられませんでした」
 
 「私にも説明してもらえませんか?そもそも魂の浄化ってどういうことなんでしょうか?」
 「生命を殺めれば魂に汚れがつく。特に人間を殺した時はそうね。精霊が忌み嫌う血の匂いってのは魂の汚泥のことよ。浄化というのは魂から汚泥が消えた状態なの」
 へぇー。そういう宗教・・・っていうよりもそういうことが分かってしまう世界なんだな。
 「汚泥は圧倒的な性の快楽によってのみ取り除かれるの。アラヒトからももう血の匂いがしないわね」
 俺?・・・あー。たぶん俺の方はアレだな。アンナだ。
 「私も圧倒的な快楽を味わったので、その影響でしょうね」
 セックスで死後の霊的な立ち位置みたいなもんが変化するのか。預言者様がやたら床の技術にご執心だったのは、たんに好き者というワケではなく宗教的な意味合いがあったんだな。
 あれだけ大変だったアンナの相手をすることで、俺の魂が浄化されるとはなぁ・・・

 「私からも質問をしてよろしいでしょうか?」
 サーシャの言葉に、預言者様は首を縦に振っただけだった。
 「浄化されたということは、私は死後に魔物になることもなく、精霊になり得るということでしょうか?」
 「そうね。たぶん精霊になれるわ」
 サーシャが喜びの涙を浮かべ崩れ落ちた。感謝の言葉を言っているようだが、嗚咽でなにを言っているのか分からない。
 「この世界では、人は死んだ後に魔物になったり精霊になったりするんですか?」
 「この世界よりももっと高次の世界でね。精霊と魔物は私たちが住んでいる場所とは別の場所ではるか昔から戦い続けているの。戦いが精霊に有利になれば精霊はこの世界に遊びに来て色々と教えてくれるけれど、不利になると遊びに来れる精霊も少なくなって魔物もこの世界にたくさん出てくるの」
 魔物。出るのか。この世界に。
 ってか、俺はこの世界で死んだら魔物になっていたかもしれないのか。
 「血の匂いが付いた魂の持ち主が増えれば増えるほど、精霊と魔物がいる世界では魔物が有利になるということなんでしょうか?」
 「その通りね。私が話せる精霊の数も年々減ってきているわ。このところずっと戦争が続いていたものね。魔物がこの世にたくさん出てくるようであれば、たぶん汚れた魂の持ち主はさらに増えてこの世界も精霊の世界も魔物だらけになるでしょうね」
 ・・・おっかねぇな。

 「魂を浄化させるほどの絶頂ねぇ・・・本当にあるのね。伝承でしか知らなかったけれど、現実に見ると・・・納得するしかないわね」
 サーシャはまだ泣いている。どう声をかけたらいいのか分からないな。
 「アラヒト、サーシャ。血の匂いが無い限りあなた達もこの部屋への入室を許すわ。アラヒトはまた異世界のお話でもしてちょうだい」
 「分かりました」
 「サーシャ。あなたも覚悟の上で選んだ道でしょう?もう泣くのはおよしなさい」
 「・・・ですが・・・ですが!」
 なにを言ったらいいのか分からないという感じだな。
 「運が良かったのよ、あなた。あら?怪我をしているのかしら?・・・ん?あらそう」
 誰かと話していたと思ったら、急に預言者様の両手がまばゆい光を放ち出し、跪いているサーシャの頭を両手で抱えた。数秒後には光が消え、預言者様はサーシャから手を放した。
 「精霊があなたを祝福してくれたのよ。珍しいものを感じさせてくれたお礼だそうよ。もうどこも痛くないでしょう?」
 「はい・・・」
 サーシャは預言者様の胸元に抱き付き再び泣き始めた。
 そうか。
 彼女たちは死んだあとの世界で苦しむことが分かっていたのに、覚悟してこの国のために手を汚してきているのか。
 俺のちんこでどうにかなるというのであれば、少しは力になってやりたいもんだな。
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